日本理学療法士協会の新生涯学習制度について⑩ ~新制度における認定・専門理学療法士の更新要件について~
こんにちは、理学療法士いくちゃんです。
前回は新制度における専門理学療法士についてまとめてみました。
今回は新制度における認定・専門理学療法士の更新要件についてまとめてみようと思います。
お時間があれば最後まで読んでいただけると幸いです。
1、認定理学療法士・専門理学療法士の更新
認定理学療法士および専門理学療法士は取得して終わりではなく、5年ごとに更新する必要があり、そのためには一定基準の更新要件を満たさなければいけません。
そのうえで取得期間の最終年度に更新申請を行う必要があります。(ちなみに登録理学療法士は更新要件を満たしていれば自動更新)
旧制度においても5年ごとの更新制でしたが、日本理学療法士協会は新制度においても更新制度を設けることより、社会における認定理学療法士および専門理学療法士の質を担保しようとしているのだと考えらます。
なお、一定の条件で更新延長を行うことも可能なようですが、詳細については現時点では不明です。
2、更新するうえでの前提条件
認定理学療法士・専門理学療法士の更新要件を理解するうえで、下記のような前提条件が2つあります。
1つ目は「登録理学療法士を取得していること」です。
つまり、登録理学療法士を失効した場合には更新申請を行うことができないということになります。そのため、認定・専門理学療法士の更新とは別に登録理学療法士の更新も必要になります。
2つ目は1つ目と内容がややかぶりますが、「登録理学療法士の更新に関わるポイントと認定・専門理学療法士の更新に関わる点数は、重複して取得できない」ということです。
そもそも新制度では、登録理学療法士更新に関わるものはポイント、認定・専門理学療法士の更新に関わるものは点数として呼称を分けます。
認定・専門理学療法士と登録理学療法士は別々に更新しなければならないことを考えると、混乱しないように注意が必要ですね。
例、都道府県士会主催の研修会の参加(3時間の場合)
3ポイント(登録理学療法士の更新ポイントとして取得する場合)
3点(認定・専門理学療法士の更新の点数として取得する場合)
3、認定理学療法士・専門理学療法士の更新要件
認定理学療法士および専門理学療法士の更新要件は共通しており、それぞれ以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】維持・研鑽のための活動における100点の取得
【要件2】下記のいずれかの活動を1つ行うこと
・都道府県理学療法士会学術雑誌への投稿(筆頭著者に限る)
・ブロック主催学会での一般発表の筆頭演者
・都道府県理学療法士学会での一般発表の筆頭演者
【要件3】更新時研修
では、ひとつひとつ見ていきましょう。
4、【要件1】維持・研鑽のための活動における100点の取得
要件1の考え方は、登録理学療法士更新における活動ポイント50ポイント取得とほぼ同じです。
点数の取り方は大きく分けると以下の4つです。
・学会参加および講習会・研修会の受講(30分あたり0.5点)
・論文および著作(雑誌により40~80点)
・学会での発表等(活動により5~20点)
・講習会および研修会の講師等(活動により10~20点)
※ただし、【要件2】で行った活動は除く
登録理学療法士の更新における活動が研修会受講や学会参加が主だったことと比べると、認定・専門理学療法士の更新における活動には上記に加えて論文・学会発表・講師等の活動も含まれています。
認定・専門理学療法士に求められる役割の広さが伝わってきますね。
5、【要件2】下記のいずれかの活動のうち1つ
要件2は、下記の活動のうちいずれか1つを行う必要があります。
・都道府県理学療法士会学術雑誌への投稿(筆頭著者に限る)
・ブロック主催学会での一般発表の筆頭演者
・都道府県理学療法士学会での一般発表の筆頭演者
要件1と同様に認定・専門理学療法士に求められる役割の広さを表しているのだと思います。
私個人の考えとしては、5年に1回以上は何かしらの形で外部に発信をすることは自分自身を成長させていくうえで大変有用だと思っています。
ちなみに【要件2】の3つの活動のうち、「都道府県理学療法士学会においてポスター発表で症例報告を行う」のが、一番ハードルが低いかなと思っています。
また、旧制度のうちに認定および専門理学療法士を取得していた方は、新制度移行後最初の更新時に限り【要件2】は免除されるようです。
6、【要件3】更新時研修
要件3は更新時研修です。
これも登録理学療法士更新の際の研修と考え方はほぼ同じかなと思います。
ただ、認定・専門理学療法士更新時の研修は1日程度の研修のようです。
eラーニングも想定しているようですが、詳細は現時点では不明です。
7、まとめ
今回は新制度における認定・専門理学療法士の更新要件について説明しました。
旧制度においても認定・専門理学療法士は更新制でしたが、新制度においてもそれを引き継いでいるようです。
しかし、旧制度と一番異なるところは「5年間で1回以上は論文投稿か学会発表をしなさい」という日本理学療法士協会からのメッセージが強く示されたところではないでしょうか。
複数領域の認定および専門理学療法士を有している人は大変でしょうが、自己研鑽という意味では日本理学療法士協会が半ば強制的にお手伝いしてくれると考えると前向きにとらえられるのではないでしょうか。
皆さんはどのように感じましたか。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。