注文の多い下っ端達
先日、目の前の席に座っている同僚に怒鳴られた。
うちの部長は職員朝礼の司会をしているのだが、通院のために月1度ほど休むので、代わりをしなければならない。私は人前に立って話すのが大嫌いなので、この代役を同じ部署の人たちと持ち回りでやりたいと考えていた。すでに私は何度か代役をこなしていたので、その目の前に座っている同僚に、「明日の司会はお願いします」と言ったところ、やりたくない、との回答だった。「私もやりたくないけれども、何度かすでにやっています。みんながしたくない仕事は持ち回りでするのが平等な仕事分担だと思います」といった主張をしたところ、「お前は正社員だろ!俺は臨時雇用だ。だからお前がやれ!お前、しつこいんじゃ。朝から気悪い奴やな。そんな偉そうな仕事臨時には出来へんやろ!気悪い奴や!」と怒鳴られた、と言った事の次第である。
この「自分は臨時雇用だ!」と言い張る同僚は、私より20~30も年上のじいさまである。普段は年上風を吹かせて、コピーも取らないし、職場の掃除もしない。ゴミ捨て当番もやりたくないと言ってやらないし、その他当番ごとも涼しい顔でサボっている。その癖下っ端だから偉い人の代役はしないと言う。ちなみにうちの部署には他にもじいさま達がいるのだが、みんなコピーだの、ポスターの張り替えだの、予定の書き換えだのという下っ端の仕事を私にさせるのだが、いざという時は「僕たちは臨時雇用、君は正社員」とこっちに責任を押し付けてくる。とんだ下っ端様たちである。
この前は、私たち専門職のアシスタントの立場にある別のじいさまが部長(もじいさまで臨時雇用なのだが…)に食ってかかっているところを見た。会議の資料が自分の席に配られていない、と言う。その資料を配ったのは私だったが、その席に置いた記憶はあったので「部長、余りの紙と一緒に○○さんの資料も回収してしまっていませんか?」と聞いたら「あぁ、ごめん」と言って資料をアシスタントのじいさまに渡した。部長が一応謝ったと言うのに、アシスタントのじいさまの勢いは止まらず「資料を渡さないってことは会議には出なくていいということか!」と怒鳴る。お次は自分の席のパソコンのLANケーブルがつながっていない、と部長にキレている。「自分の席でパソコン使うなって言っているのか!」と。部長は別にパソコン関係のインフラ整備の責任者でも何でもないのだが、アシスタントのじいさまはそんなの関係ねぇとばかりに「俺が全部ひっくり返して見たらなあかんのか!」と鼻息が荒い。一応確認であるが、アシスタント職の人たちは専門職の人たちの業務を軽減するために雇われている。
昔懐かしの庶務ニ課のような仕事をしている人も職場にいるのだが、このじいさまもまぁ気難しい。電球一つ替えてもらうのにも平身低頭でお願いしなければならない。事前に根回しをし、指示は明確に完璧にし、端々まで段取りをした上で、最終的に事務長から命じられなければ俺様は動かない、という態度だ。クライアントとの打ち合わせ中に声が聞こえなくなるような爆音で草刈りをしていたので、時間をずらして欲しいとお願いしたところ、「じゃあ、お前が草刈りしやがれ!」キレられた。
同じ専門職で、正社員の若い子達もなかなかのものだ。先輩(私)が職場を細々整理したり、掃除機をかけたりしていてもどこ吹く風で、「お手伝いしましょうか?」と言ってくれる殊勝な子は一人もいない。コピー用紙を倉庫から印刷室に運んで欲しいとお願いしても「何で俺がやらなきゃいけないんですか?」などとのたまう。それだからといって責任の重い仕事を喜んで引き受ける訳でもない。
じいさまも若者達も正社員も臨時雇用も下っ端様達は「俺様が仕事をしてやっている」という態度なのでしっちゃかめっちゃかになっている。上司達が下っ端の気持ちを尊重してくれるのをいいことにやりたい放題になっている。これは『パワハラ』という言葉が跳梁跋扈したせいなのだろうか。
私は今、若くもなければ(自分の部署では最年少だが)偉くもないという万年平社員の立場であるが、こんな職場で出世しよう、責任のある仕事をしよう、とは思えない。責められるばかりである。うちの職場が特殊なのだと信じたいが、じわりじわりと「偉そうで無責任な下っ端様達」が日本中で増えて来ているのではないだろうか。
上司は部下を思いやり、部下は上司を尊重する。お互いがお互いを認め合い(例えば、職場でトイレ掃除をして下さる方がいらっしゃるなら、出来るだけトイレを綺麗に使うのも、立派な思いやりである)、出来るだけ仕事がやりやすいような環境を作るべく、お互いに出来ることはする。そういうワケにはいかないのだろうか。
自戒の意味も込めて、最後に書きたい。
態度のでかい、ズルく仕事から逃げ回る、相手の気持ちはどこ吹く風、そんなお偉い下っ端様達、卒業しませんか?
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