知らない間に屋根裏に誰かがいた
最近また、屋根裏が騒がしい。
我が家は築45年くらいの賃貸一軒家である。
入居当初、ねずみと生活を共にしていたのだが、連夜の屋根裏パレードで眠れないので大家さんに言ったところ、狼のおしっこをという瓶を持ってきてくれた。それを家の周りに撒くと、パレードはぱったりとおさまった。
そこから大家さんが年に2度ほど、黄色い液体を撒きにきてくれている。
定期的に狼の尿を家の周りに撒くなんて、どこの荒野に住んでんのかって感じだけど、変な薬撒くよりよっぽどいい。
それからしばらくはねずみの気配はしなかったのだが、閉めても開いてる玄関の隙間からアリが列を作ってたり、キッチンの床下で誰かが脱獄しようとしてたりと、いろいろ賑やかな我が家である。いつも誰かいる感があって寂しくない。
しかし2週間前くらい前から、すっかりご無沙汰だった天井で、なにかの歩みを感じるようになった。
きしみ経験から察するに、おばけでもねずみでもなく、慎重な猫っぽい。
今まさにここにいる!ってときに鍵盤ハーモニカで(手近な長いものがそれしかなかった)天井を突くと、トットコ走るけれどねずみほどの細かさはなく、ちょっと移動してまた悠々と歩いている余裕を感じる。
ただでさえ暑い2階なのに、屋根裏に潜り込むなんてさては、よほどのサウナ好きキャット。
大家さんに連絡すると、さっそく追ションしに来てくれた。
でも、今回はもう少し大物っぽいから侵入箇所を見つけなきゃと思って、2階のベランダに這い出る。
そう、この部屋のベランダが曲者で、腰より高い位置に低い窓があり、踏み台を使いつつ頭を低くし、出たところはベランダの床面という構造。しかも広め。布団干しに恨みでもあるのかなって感じだ。
そんなベランダに出て脚立で軒を見上げたら、1秒で穴が見つかった。
屋根の二等辺三角形の底角の片っぽの壁が、ぶちぬけとる。
今更驚きもしないけれど(そういうおうちだから)、細い直角三角形をドゥーイットユアセルフでふさいだ感があって、グレた息子がグーパンしたら空いちゃったんだと思う。
こないだの大雨大風のときには、さぞ水が入ったことだろう。想像したくもない。
よく見ると、手前の木には獣が引っ掛けたであろう毛が動かぬ証拠としてついている。奥を覗くとなんか光る眼がある気がする。いや、向こうが付きぬけて入り込む光なのかもしれない。
こりゃ、ねずみだろうとねこだろうと楽勝だわ、と原因がわかってすっきり。しかし、放置しておくわけにはいかない。大家さんが来てくれる前に応急処置をすることにした。
穴がちょっと入り込んでいるためがばっと覆うのが難しく、ちょうどいい形に段ボールを切って貼ることに。
こんな感じで。
テキトーながら隙間なくおさまった感じでよい。耐久性はないが、ひとまず侵入者は諦めるだろう。
待てよ、もし今すでに中にいたら、アイツは屋根裏で蒸されてしまう。
むむむ、もしや身重な母猫だったから動きが遅かったのか、安全な産み場所を探しにきていたのだったらどうしよう・・。
もしものことがあれば、それこそ天井に猫型のシミができたり、毎晩無念ねこの鳴き声が聞こえてくるかもしれない。
なんだか心配になってきてしまって、天井から音が聞こえないかとテレビも音楽もつけず、なるべく静かにすごしている。