二人組の演奏の相性
Chère Musique
イントロダクション
私の主宰する音楽アトリエヴォアクレール(vc)では、生徒さんのためのコンサートやクリスマスイベントでソロだけでなくアンサンブルも多く出演されます。
“二人組”の演奏もたくさんあります。
その二人組に二人に対して一緒にレッスンしていて、皆さん良い感じに大切なところで相性が合っている、と思える時がたびたびあります。
歌の二人組とは?
演奏の二人組の種類というと、何があるでしょうか。
vcの音楽イベントでは、二人ともが対等にメインヴォーカル、という二人がいます。
この二人のための編曲では、曲中にちょうど同じくらいソロの時があり、ある部分ではメインヴォーカルとコーラスパートとなるところもあり、サビなど盛り上がるところではいっしょにメロディを歌ったりハモったり、、となるように作ります。
このパターンの二人組に必要な条件は、違うタイプでも良いのでそれぞれが個性をしっかり持っていること。
双子が歌う時のようにまったく同じになるのもおもしろいですが、普通はそうはならないので、それなら逆に個性が強めの方が上手くいくと思います。
ポップスではデュオと呼ぶことが多く、クラシックでは重唱と言います。
まったく対等という二人組はそんなに多くはなく、一般的には例えばそれぞれがメインヴォーカルとコーラスパートどちらかに徹する、つまり主役はどちらか一人、という形が二人で歌う一番多い例でしょう。
連弾、二台ピアノ
ピアノ演奏の二人組もあります。
”連弾”というのが一台のピアノを二人(または三人以上)で弾くことで、”二台ピアノ”という一人一台ずつのピアノを弾く形態もあります。
vcの二年に一度の大きな演奏会では、ステージに二台のピアノを向かい合わせに置いて、二台ピアノの二人組が何組か演奏します。
ソロよりは圧倒的に弾く機会も聴く機会も少ない形態なので、弾く生徒さんも聴くお客様もとても楽しんでいただけています。
でもクリスマスは、いつものライブハウスの舞台には当たり前に一台だけしかありませんから、このイベントでは連弾を楽しむ!と決めているようです。
主役と伴奏
ピアノと歌それぞれ一人ずつの組み合わせでは、まず99%、歌が主役でピアノが伴奏です。
でもそんな中でも、伴奏のはずのピアノがとても素晴らしい内容に作ってあって、作曲者または編曲者は明らかに対等になることを狙って作ったなと思える作品もあるのです。
私がやっている“音の華”では、相方がとても素晴らしいピアニストなので、歌が主役の演目でもピアノの内容ができるだけ濃い編曲が、私は好みです。
仲の良さとは関係ないこともある
その他にもいくつも二人組の演奏の形がありますが、実はこれ、二人の仲が良いと上手くいく、とも限らないのです。
意外に思われる方も多いかもしれません。
逆も同じ。
もちろん仲が悪い二人がやることはほとんどないとは思いますが、取り立てて親しくしていない、相手のことをそんなに深く知っているわけではない二人で、とても良い演奏になる例もたくさんあるのです。
これは本当にやってみないと分からない、音楽面での“相性”ということだと思います。
対等だと上手くいかなくて、一人が主役もう一人が脇役という形だとストレスなく良い演奏が出来る、などという不思議な例もあります。
二台と連弾
ピアノでおもしろいのは、二台ピアノに向いている二人と、連弾に向いている二人というのがいるということ。
やってみないと分からないとは思いますが、まず弾いている本人たちが、その違いを一番感じると思います。
プロのピアニストの中には、二台のパートナーと連弾のパートナーをきっちり分けている人も少なくありません。
この二つの形態は、相手とのアンサンブルの中で考えることや大切に思うことがまったく異なります。
相性の合う合わないは、この違いからくるものなのでしょうね。
生徒さん向けに『連弾と二台ピアノの違い』という講座がありますが、いつかそれを公開動画にしてみたいと思っています。
Musique, Elle a des ailes.