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idenshi195 の成り立ち

朗読劇を書き始めた当初、まさか自分が主宰となってユニットを立ち上げるなどとは思ってもみませんでした。

朗読劇人生の始まりは2001年

わたしは観客の想像力に向けてアプローチする舞台表現の虜となりました。
以来、「耳に飽きない朗読劇とは」「舞台だからこそ生きる朗読劇とは」と、観察、分析、試行錯誤を繰り返し、2011年に今のスタイルである朗読劇独自の脚本【言葉の楽譜】が完成しました。

2006年から2010年、経王寺の花まつりで釈迦の誕生から悟りをひらくまでを描いた『大樹釈尊』を四部作として書き、演出しました。
雅楽、声明(しょうみょう)、朗読のコラボレーションでお届けする朗読劇です。

それまでも、声の重奏、言葉を綾なし語ることはありました。
ただ、あくまで演出上のポイントとして使っていたにすぎません。

最終回となる2010年、悪魔とシッダールタの心のやりとりを書いていて(まさにそれは今の重奏の書き方で)、「あれ? これは楽譜なんじゃないか?」と気づきました。
そして、「全編、言葉の楽譜として書いたら、とても面白いものができるのでは」と思ったのです。

2011_潮騒の祈り

2011年12月、[言葉の楽譜]完成

2011年12月、荻窪の音楽専用空間クレモニアで上演した『潮騒の祈り』、これが自分が「朗読脚本は“言葉の楽譜”なんだ」と自覚し、全編にその要素を散りばめて書いた初めての作品です。

出演は、山下亜矢香さん、こもだまりさん、東野醒子さん。
彼女たちは、今もわたしが活動を続ける上で、表現者として尊敬する同志だと思っています(一人ずつに対して記事が書けてしまう勢いにて、紹介はまた別の機会に)。
シンガーソングライターanoa(あのあ)さんの『月のように』の世界の中で、この作品を奏でました。

観客の反応に、わたしは大きな手応えを得ました。
現在、この公演を遡ってidenshi195の第0回公演としています。

idenshi195_logo_DIC2496のコピー

idenshi195(いでんしイチキュウゴ)というユニット名

2011年公演の手応えをもって、わたしは「この朗読表現を広めたい」という欲望を抱きました。
続けるためには、ユニット名をつけなくてはなりません。
しかし、いくら頭をこねくり回しても、いまいちピンとくるものが出てきません。

そんなとき、当時夫だったMが「idenshi195でいいんじゃないの」と言いました。
(夫婦関係を解消している今でも、彼はわたしにとって恩人であり、人生で初のわたしのファンであり、大切な親友です。って、唐突に何を書いているのか)

idenshi195は、わたしが仕事用のメールアドレスを作るときにつけたローカル部でです。
わたしにとって作品は子どものようなもの。
「郁子=195」の遺伝子を残し続ける決意でつけたものです。
なお、195の読みは「いくこ」ではありません。
それは流石にカッコ悪い。こそばゆい。恥ずかしい。
あくまでも「いでんしイチキュウゴです」なのです。

ユニットを立ち上げるにあたり、わたしは『潮騒の祈り』の再演を繰り返すことを決めました。
母と娘、海と命の物語であるこの作品を上演し続ける意味でも、「遺伝子」がその名に入るのは相応しいと思いました。
読み方は違うにしても自分の名が由来なのは、多少気恥ずかしいものがありましたが、腹を決めました。
今は、やはりこの名がぴったりだと思っています。

当記事の見出し画像は、当時のホームページのトップ画像です。
描いてくれたのは、今も頻繁にタッグを組んでいる美術家ホンマアキコさんの手によるもの。
第0回公演の宣伝美術と美術を手掛けてくれたのも、現在の、海と月と命(胎児)をモチーフにしたロゴマークをデザインしてくれたのも彼女です。

【決】shiosai-omote

2014年12月、本格始動。

2014年12月の文化放送主催公演『潮騒の祈り』
idenshi195はこの公演によってスタートしました。
出演は、柊瑠美さん、春名風花さん、東野醒子さん。
上畑正和さんによる、ピアノとオルガンの即興演奏と共に言葉の楽譜を奏でました。

まもなく20年

2021年(来年)は、わたしが朗読劇を始めて20年。
言葉の楽譜が完成して10年という節目になります。

次の周期に向けて弾みをつけたい。
勝負をかけるなら今年しかない。
これまでの出会いの中で、わたしは今年11月に上演する朗読キネマ『船弁慶』で、演出的にも大きな挑戦をすることに決めました。
そこに焦点を合わせ、連動企画として据えるのが4月に上演する朗読キネマ『葵上』でです。目前のそちらを、多くの方にぜひご体感いただきたいです。

[言葉の楽譜][朗読キネマ]については、記事を改めて詳しく書くつもりです。
今後もどうぞご贔屓に。

*[言葉の楽譜]は[朗読キネマ]と共に商標登録を出願中。

〈後日談〉
無事に商標として認められました。
朗読キネマ[登録商標第6241074号]
言葉の楽譜[登録商標第6232812号]

(2021.08.30修正)

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高橋郁子
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