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♪モーツァルトの処方箋♪

ドラマ「夜のあぐら」で使用したモーツァルトの処方箋です。

ふざけてばかりで天真爛漫で頭脳明晰で、精神年齢はきっと小学生。
天才すぎるあまりに常識的な人間生活とは無縁の、一生フワフワした生き方だったので35歳で死んでしまいました。「病は気から」って言いますが、モーツァルトの場合も大いにそれがあったと思います。

 短い生涯の間には“人類の宝物”ともいえる音楽をたくさん残してくれました。 モーツァルトの音楽も彼の人間性そのもの。

きちんとした服装で礼儀正しく真面目にしていた次の瞬間に、ゲラゲラ笑って度を過ぎるくらいふざけちゃう。そんな友達がいたら腹が立つけど、モーツァルトはそれをとびきり美しい音楽で表現していて、それがすごくチャーミングで素敵なのです!

 モーツァルトの音楽を聞いていると”自分の中のもっといい自分”を見つけ出させてくれるような気持になります。そして幸せになっちゃう。

 不思議なのは、荒唐無稽ともいえる生活を送っていたモーツァルトが作った音楽なのに“邪悪”とか“不幸”というネガティブな感情が無いということ。
彼自身はまったくウソの無いピュアな人間だったんだろうと思います。

国や時代の知識なんてモーツァルトの音楽の前では一切考えないでいいです。頭脳で邪魔しないように気をつけて。ただ聞いて、ふうーんって思って、笑って。それがモーツァルトの正しい聞き方だと思います。


☆まず聞いてほしいなと思うのは フィガロの結婚 序曲
オペラ「フィガロの結婚」の本編が始まる前のオーケストラだけの曲です。5分ほどの曲ですがモーツァルトのキラキラがいっぱい詰まっていて本当に素敵な曲です。オペラの本編は非常に低俗でアホらしいストーリーなので、とりあえずスルーでいいでしょう。序曲が素晴らしいので序曲だけオーケストラで演奏されることも多いのです。

 ☆もう1曲素晴らしい序曲があります。魔笛 序曲大げさなごあいさつみたいな長めのイントロの後に続くのが”笑い“のモチーフ。
「ハハハハ」「ハハハハ」って笑っているのが聞こえますか?
ハッピーになれる名曲です。魔笛のオペラ本編は迷走SF的なストーリーなので、とりあえずスルーでいいでしょう。

☆ピアノの曲を聞いてみようか、と思うなら ピアノ協奏曲21番
当時ピアノはまだ無くてクラヴィーアやチェンバロでしたが、モーツァルトはそれらを弾くことが大好きでした。たくさんのピアノ曲はモーツァルトの日記のように感じます。

オーケストラと一緒に演奏するピアノ協奏曲は自らピアノ演奏するモーツァルトにとってすごく特別なカッコいい自分をアピールするチャンスでした。

21番は素直で楽しくてキラキラしていて、2楽章は本当に天上の音楽です。「ほら!ボクってすごいでしょ?」「はいはい、わかりました」みたいな感じで無理せず“ながら聞き”してください。聞き終わったら心の中でいっぱい褒めてあげてください。きっとモーツァルトはすごく喜びます。

 

☆ドラマ「夜のあぐら」で演奏したのはピアノソナタkv545の2楽章です。まずkvはケッヘルと読みます。モーツァルトの作品を整理したケッヘル氏が自分の名前をつけちゃいました。

ではソナタって何?

ソナタとは、しっかりものの長女、おっとり次女、とりあえず元気ならいいわの三女の三姉妹セットのこと。気合入っている場合やしつこい性格の作曲家の場合は、時々四姉妹になります。

モーツァルトはピアノソナタもたくさん作曲しました。モーツァルトはスマートな作曲家なので見事に三姉妹でまとめています。数あるので駄作も名作もありますが今回のkv545は全楽章とても有名で簡潔で美しい、という三拍子そろった名作です。

あと私が好きな2楽章はkv330だな。複雑な造りですがとてもキレイです。1楽章はキャストが豪華な昼ドラみたいな感じで、当時は昼ドラ感覚でご婦人方がドキドキしながら聞いたのでは?と思います。3楽章は「巻きでいってください!」と言われたかのようにめっちゃ巻いてます。

 

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