ユーミンと社会彫刻
ある朝ラジオをきいていると、ユーミンがこんなようなことをいっていた。自分の持つ傷つきやすい心を大切にしたいけど、そのままのかたちで外に出せばすぐに傷ついて壊れてしまう。多くのひとは鈍感になることで自分を守ろうとシフトしていくけれど、わたしは創作することによって自分の感受性を守っています、と。
その晩、『ナウトピアへ サンフランシスコの直接行動』の著者である堀田真紀子さんにはじめてお会いし、そこでヨーゼフ・ボイスの「すべての人間は芸術家」ということばに再会した。
ボイスがいっているのは絵画とか彫刻とか、いわゆるファインアートのことではなくて、誰もが自分の手でよりよい社会をつくっていくことができ、そのための創造性をわたしたちはあまねく有している、ということ。
堀田さんが教えてくれた「はちどりのしずく」というお話がとてもすき。あるとき山火事が起きて、あらゆる動物は火の手から一目散に逃げていくんだけど、はちどりだけは山へ向かって飛んでいく。そうして、口に含んだ水滴を、ぽとり、ぽとりとひとしずくずつ地上に落としていく。何度も引き返しては、山へ向かう。それは誰の目にも留まらないちいさなアクションかもしれないけど、はちどりはいま自分にできることを自分なりにやっているだけ。絶望でなにもできなくなったり、怖れに急かされるのとはちがう生きかた。
そのようなふるまいをボイスはあたたかみと呼んでいて、あたたかみこそが社会彫刻、つまりわたしたちが望むような未来や社会をかたちづくっていくものだとしている。
わたしたちは本来的にみな「つくり手」であるということ。つくり続けることでやわらかな心を守っていくことができるということ。
わたしにも実証できるだろうか。
(2016.12.1)
念願のサブ機購入!といいたいところですが、おやつ買っちゃうと思います。ありがとうございます。