【家族の話】管だらけでも笑かす父はナニモノ?
入院3日目の父からラインで、「コーリかってきて」と送ってきたので、院内のコンビニでカップ入りの氷を買って面会に行った。
父はいろんな管につながれていた。
氷を口に入れてあげると、すごくおいしそうになめていた。
「うまい!」と言ってくれた。
これからは日本酒じゃなくて氷にするか、と言おうかなと思ったが、こんな時にそんな意地悪を言うのはやめておいた。
主治医からいろんな説明をしてもらった。
明日は管をもうちっと奥まで入れる処置をしてくれるらしい。
そのあと父にも説明をしてくれた。
「そのように考えておりますが、よろしいですか?」とお医者さん。
「先生がやってくれはることにまかせます。な、それでええか?」
と私に聞く。
言い方がなぜだか面白くて、お医者さんとふたりで吹きだしてしまった。
そのあと、内視鏡の担当の先生が問診に来てくれた。
問診だから、いろいろ聞かれる。
耳が悪い父に大きな声でゆっくり質問してくださる。
「ガンになられたことはない?」
「ない。あ、頭がガンやな」
管だらけでも笑かす父はナニモノだ?やっぱり大物だ。
「ばあさんはどうしてる?ムク(犬)の散歩行けてる?」と父が聞く。
ばあさん(父の妻)は一人で外出できないので、いつも父が付き添っているのである。
「行ってる行ってる。私も一緒に行ってるで~」
「お~、ありがとうな~」
今日いちばんの笑顔だ。
(続く)