映画「ロストケア」 舞台挨拶付上映
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映画は、とてもリアルで。
他人事じゃなく身近に起こり得る未来を先に見てるような、そんな気持ちになった。
介護士の同僚からも、
出向いている要介護者のいるお家の家族からも、
『本当に親切で優しいいい介護士さん』
と言われている介護士の男性が主人公。
主人公の介護士役の松山ケンイチさん、検事役の長澤まさみさん、介護士斯波の父役の柄本明さんの演技が迫力あって本当に凄かった。
グイグイと感情を揺さぶられる。
以下、個人的に印象に残ったポイント。(鑑賞中にメモした分)
⚪聖書の教えの一文( #黄金律 )
「自分がしてもらいたいことを、人にしてあげなさい。」(マタイによる福音書 第七章 十二節)
⚪おばあちゃんやおじいちゃんの背中を自然とさすってあげる斯波(松ケン)の手
⚪「人には見たいものと見たくないものがあるんだね」っていう検事:大友(長澤まさみ)の台詞
⚪裁判で斯波が
「絆は呪縛でもある。ロストケアは、自分ではどうにも出来ない呪縛から自分を解き放つ為のもの。死ぬときくらい、親を、家族を、やめさせてあげても良いじゃないですか。」と言うシーン。
⚪役所の介護福祉課窓口で斯波が職員に冷たくあしらわれる場面
⚪斯波の父親が「お前のことを覚えているうちに死にたい」と言う場面
⚪折り鶴の中に書かれた手紙
⚪斯波と大友検事が刑務所で面会するシーン
⚪介護する側だった女性の
「きっと誰にも迷惑かけないで生きていける人なんて、一人も居ないんです。」という台詞
色んな映像と言葉の欠片が刺さった。
主人公の斯波、検事、それぞれの親、親の介護をしている人達、それぞれの気持ちに感情移入して、共感しすぎなくらい共感するドラマだった。
撮り方が本当にすばらしくて。
カメラワーク、カット割りが、自然と登場人物の心情に感情移入させてくれると言うか。
視線誘導、感情誘導が上手。
映画に出てきたのは、自分の親を介護してる人たちだったけど、義理の親を介護してきた人、今現在してる人も沢山いると思う。
これから介護する側になる世代の方や、介護し終えた方々、そして今介護してる真っ最中の方も。
そしてまだまだ介護なんて…という若い世代の人にも見て欲しいな、と思う作品。
他人事ではなくて、いつか自分事になる介護問題。
要介護者のためというよりも、
要介護者を介護する側の中高年やヤングケアラーのために。
介護士の給与を上げて、休みもしっかり取らせるとか、そういう福利厚生や職場環境作りをしていくことも、大事なんじゃないかな、と。
いや、もうむしろ、介護士を公務員にすればいいんじゃ?とすら思った。
公務員と同等の給与や環境や福利厚生がしっかりしていれば、介護士という職を希望する人も増えるんじゃないかな?と、帰りの電車に揺られながら思いました。
随分昔だけど、区役所の福祉介護課でアルバイトをしたことがあって。
区役所で斯波が冷たく対応されるシーンを見て、バイトしてた当時のことを思い出した。
正直な話、この人こそ助けが必要なんじゃないかな?と思う人が、受給規定に満たないという理由で受給出来なかったり…というのを、近くで見ていたので、よけいに感情移入した。
介護で着の身着のまま窓口に来て助けを求める人がいても、申請を受理出来ない。
介護課や保護課どちらにも行ったけど、どちらも無理だと言われて途方にくれる人もいた。
私は児童福祉の担当部署だったから直接お話を聞いたわけじゃないけど、あまりに辛そうで見てられなくて、「介護してる側の人に何かしら助けになる施策って無いんですか?」って、当時自分がいた部署の係長さんに聞いてみた。
「ああいう人にこそ助けが必要なのに、行き渡らないのよね…」と、同じ係にいる公務員の方々も言ってた。
なんだかとても理不尽な気持ちになったのを覚えてる。
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【舞台挨拶】
上映後、改めて #森山直太朗 さんの #さもありなん がBGMで流れる中、しばらくしてから、
シャンパンゴールドのロングフレアドレスに白のレースのボレロ(ケープかも)で登場した長澤まさみちゃん。
松ケン→長澤まさみちゃん→監督の順で舞台向かって右手側から登場。
松ケンが階段を登り切って、その場で立ち止まって、長澤まさみちゃんをエスコートしようと手を差出したんだけど、長澤まさみちゃんはドレスの裾を踏まないように足元に視線を落としていたので気づかず………😂
松ケンの差出した手がちょっと切ない…😂
自然とエスコートしようと立ち止まって、長澤まさみちゃんを待つ姿が、素敵でした✨
舞台挨拶では、「ケンちゃん」「まぁちゃん」とお互いを呼んでらして、ほのぼのしました😊
大阪での上映後舞台挨拶ということで、どんな反応があるのか、お二人も監督も登場するまで、舞台袖でドキドキしていたそうです。
松ケン、長澤まさみちゃん、監督の3人のトークが、微妙に噛み合わなくて妙な間が出来るのがなんか面白かった♪
長澤まさみちゃんは、松山ケンイチさんと共演してみたかったそうで、今回そのオファーが来て光栄だったそう。
松ケン「個人的には、ロストケアで大友検事、シン·ウルトラマンでサソリやってる、ギャップが凄いから、是非、セット上映とかしてほしいなと思います」ってコメントして、場内笑いで沸く。
長澤まさみ「この作品を見た方々から『いい映画を作ったね』って褒めてもらうことが多いです。実際に介護していたり、自分の親の介護をして向き合ってる人から、『良い作品をやってくれた』って言われて、嬉しいです。アチラ(シンウルトラマン)がいっぱいだな、じゃあロストケアを見よう!って見てもらえたら嬉しいです。」
監督「『松山ケンイチと長澤まさみが凄い芝居をしていて、凄く心に響いた』というのを言ってもらえる。現場でそれを間近で見てて震えていた。それを皆さんに伝えたいと思いました。」
MC「大阪は久しぶり?」
松ケン「久しぶりですね。去年か一昨年に来てます。舞台があったので。」
長澤「去年ドラマの撮影で大阪来てました。」
MC「大阪のお客様を前にしてどうですか?」
松ケン「どういうふうに迎えてくれるんだろう?って、物凄く緊張するんです。」
長澤「『まぁちゃん、イカ焼きで〜す!とかってやってよ〜!』って(松ケンが)言ったりして。」
松ケン的に長澤まさみちゃんの衣装がイカ焼きみたいに見えたらしく、それでツカミを取ってほしかったみたい😂
長澤まさみちゃん、クルッとターンして、衣装見せてくれる。(かわいい)
松ケン「対応してくれてありがとう。まぁちゃんが全部まとめてくれるから、監督がスベっても大丈夫!」
監督「僕はイカなんか言ってないよ!“天使ちゃん”!」
この3人の絶妙に噛み合わない会話が面白かった。
MC「撮影中どんなかんじで演技されたんですか?」
松ケン「今迄も見てる俳優(長澤まさみちゃん)だげど、話したことがないから、それを使いたいなと…。」
松ケン話してる途中でMCの女性が屈んだか躓いたかで、ペンか何かをぴょ〜〜〜んと飛ばしてしまうw
松ケン「お互いバックグラウンドとか解らない方がいいかと思ってやってました。」
と話しながら、MCが飛ばしてしまった物を松ケンが結構移動して拾って渡してあげて、立ち位置に戻る。(優しくて素敵✨)
長澤「けんちゃんと、できる共演が凄く楽しみで、憧れていた大先輩で、緊張したけど、そこで怖気づかずに行こうと思っていて。憧れていたから、今共演出来て良かったと思います。不思議な巡り合わせで、けんちゃんとの共演が今であることに運命を感じていて。だからこそ、見てもらいたい思いが強くて。作り手の思いがとても詰まった作品です。」
監督「撮影終わってから、けんちゃんまぁちゃんってお互い呼ぶようになって、漫才コンビになる。ハマってるんです。二人が。」
松ケン「まぁちゃんけんちゃんてっちゃんのトリオでしょ?」
MC「松山さんの横顔を撮ってる目が、優しいです。」
松ケン「カメラマンさんと監督のお陰です。」
監督「それは長澤さんを見つめてるからそうなんですよ。」
長澤「それはちょっと違うことになっつくると思います。」
監督「全て演出なんです。」
長澤「えっ?」
松ケン「スベリ芸って言うんですw」
監督「ムツカシイ…、なかなか勇気がいる…。」
松ケン「皆さんの感想とか聞いてみたいですね。感想Twitterとか色々見て、ストックしてるんです。」
この後、お客さんの中から挙手で一人選ばれて感想を聞いてました。
その当てられた方も言ってたけれど、カメラワークがとても良かった。
ここぞというところでググッとお顔アップで撮ったりとか、映像の繋ぎ方とか、あえて効果的に引きで取ってたりとか、見る側の視線や感情の誘導がとても上手くて、映画の世界観に引き込まれました。
三十代四十代のこの先介護をする側になっていく世代や、五十代六十代のこれから介護される側になっていく世代の方、そしてまだまだ介護なんて…と思いがちな若い世代の方にも、是非見てもらいたい作品だなと思いました。