応募先ファームにアポ無し訪問したところ...
ワーホリビザでメルボルンに滞在中のKです。自己紹介の記事はこちらから。
現在1stビザ中で、この1ヶ月は通常通り仕事をしつつ、ビクトリア州内でビザを伸ばせる仕事を探してきました。今回の記事では、その仕事探しの中でも、この先長く記憶に残るであろう1日について記します。
次の一歩が未定の退職
先日、約半年勤めた企業を退職した。日本人比率が多く英語学習のあてにはできない環境だったが、安定したシフト=収入源を確保でき、大変ありがたかった。
同日にもう一人退職するとのことで、退職日当日の夜に同僚たちが開催してくれた送別会。真面目な話は一旦脇へ置き、なんでもない話をしながら大人数でお酒を飲む機会はいつ振りか。お世話になった方の新しい一面が見えたり、ポジションの関係上あまり関われていなかった方と意外と気が合うことが分かったりと、本当に楽しい夜だった。いつも制服姿で会っている皆と、私服姿でCBD内を歩いている事実だけでも心が躍る。
しかしふとした瞬間に、退職後への不安が顔を出す。
というのも、ビザ延長のためのジョブ探しが順調ではなかった。この時点で応募数は30件程度。その中でもひときわ興味を持っていたファームからの返信を1週間待っており、
『応募メールにも、フォローアップメッセージにも返信が無いなら不採用なのだろう。』
と自分を納得させつつも、心のどこかで諦められない…
という大変ヤキモキする状態だった。
送別会2軒目のBarにて、たまらずにその不安を先輩へ零すと
「一度そのファームへ行ってみたらどう?ダメならダメで、切り替えて次へ進めるでしょう。」
数日前にそのアイディアが頭を過ったことはあったが、たしかに、明日からは時間に溢れている。どうせ時間の使い道が自由なのなら、タイミングがあるときに一度行ってみようという気になった。
二日酔いの二度寝から起きた
その2時間後に私は
翌日午前、頭が覚醒したのは11時。寝ぼけ眼でSNSを眺めていると、友人から件のファームがマーケットに出店するという情報が共有された。すぐに準備して車で飛び出しても、終了時刻までに間に合うかどうかという距離だが、昨晩の先輩の言葉がよみがえる。
行動しない後悔より、行動した上での後悔だ。
二度寝から起きた2時間後に私は、晴天の下のファーマーズマーケットに居た。
到着したのは午後1時3分。ギリギリ終了時刻に間に合わなかった。全体が店じまいを始めていて、中にはちょうど車で帰路につくブースもあった。そんな中いくら探しても、人に尋ねても、目当てのファームブースが見つからない。もしかしたら早々に完売して切り上げていた可能性もある。
がっくりと落ち込みながら、喉が渇いたのでアイスのロングブラックを購入した。来る途中にあった綺麗なビーチにでも立ち寄って帰ろうかと考えながら一口飲む。
胃の中に広がる冷たい感覚、カフェインで冴える頭。
いや、せっかくファームまで1時間強の距離まで近づいたのだから、直接訪問してみよう。
大体この辺だったはず
ファームの名前をGoogle mapで検索してもヒットしなかった。Webページにあるサバーブ名のみを頼りに車を走らせるも、目星をつけていた場所の表札横に書かれている電話番号は、Webに掲載されているものと一致しなかった。
近くの小さなカフェでスナックを購入しがてら、店員の方々に聞いてみるも収穫は無し。あとは航空写真で探すしかないかと再度気落ちしたが、同行者が来た道に養鶏場らしきものがあったことを思い出した。Google mapストリートビューでその付近を確認すると、ビンゴ。目当てのファームの看板を見つけた。
ファームのゲート前に到着したが、郵便受けとそこに書かれた電話番号のみで、インターホンはなし。
選考結果の連絡も待たず、休日の午後3時半に押し掛けるのは迷惑かもしれない。レジュメを郵便受けに入れて帰宅しようか。いや、ここまで来た時点で十分変な奴だ。相手の反応が分からなくて不安だからここまで来たんじゃないか。どうせなら迷惑に思われて採用の可能性がゼロになるか、行動力を認められるか、のどちらかの状態まで持っていってしまおう。
5コールくらい鳴らしただろうか。
女性が電話に応えた。
緊張しながらも言葉を紡ぐ。
こんなに時間をかけてくれるなんて
10分ほど待っただろうか。丘の上から降りてくるSUVに乗り、ファームを運営するご夫婦がゲート前まで来てくれた。突然の訪問に少し驚いている様子だったが、立ち話でもしようかと、ゲート外の日陰に案内される。
そこで話した内容は、職歴とそこでの評価、重いものを運べるか、悪天候の中でも大丈夫か等、ほぼ面接のような内容だった。さらに、自分たちは自然を愛していて、自給自足に近いこの生活に満足しているが、娯楽が少ない土地で生活することに抵抗はないかを聞かれた。
同行者の助け舟を借りながら、自分らしくかつ端的に、ポイントを押さえながら回答する。すると、紙のレジュメを受取ってくださり、なんと「実際に重いものを持ってみようか」とファームの中へ招いてくださった。
詳細は後日別記事にまとめる予定だが、様々な実務のテストを受けた。
予期していなかったフォークリフトのテストでは、やはり実務経験がほぼ無いことがバレてしまったが、理屈は分かっているから慣れていけば良いとの評価。
この運転テスト中に、私の同行者が運営者の女性と多くのことを話していた。
後から聞くと、求人応募のために直接ファームを訪れた人は今までおらず、ゲート前から電話するのには勇気がいることだっただろうにとお褒めくださったらしい。また、応募者が25人以上いたためリスト化して選考途中だったことも聞き、1週間連絡がなかったことにも納得がいった。
すべてのテストが終わってファームを後にした時には、午後5時半を回っていた。
長い長い一日の終わりに
帰りの2時間の間、ハンドルを握る同行者は、助手席で百面相をする私の様子に疲れたことだろう。昨晩背中を押してくれた先輩へ報告テキストを打ちながら涙ぐんだり、かと思えば鼻息荒く今日の内容について振り返ったり、神に感謝をしたり。
結果の連絡は後日とのことだったが、どちらにせよ悔いはない。休日の夕食前にあれだけの時間を確保してくれた運営ご夫婦にはもちろんのこと、今日一日の幸運と周囲の協力に感謝し、自分の行動力を褒め称えたいという気持ちに満たされていた。
家を飛び出した午前11時半が遠い過去のように感じられた。
一日の幕を閉じるため、シャワーを浴びようとした午後10時に鳴るスマホの通知音。
特に何かを期待して画面を見たわけではないが、もしかしたら。
もしかした。採用の連絡がきた。
こんなに素敵な文章をいただいて嬉しくないわけがない。案の定、大量に分泌されるアドレナリンによって、日を跨いでも眠りにつくことはできなかった。
翌日電話で詳細を話し合い、その時点でやっと、ビザ延長を含めてこの先数年の予定がクリアになるという確信を得た。勤務開始までに時間の余裕があるため、新しい仕事内容への準備と、今の環境にしっかりと別れを告げる期間にしたいと思う。
あとがき 重なった奇跡
ここまでお読みくださりありがとうございました。
どの職種も競争力が高まっているオーストラリアワーホリ。前職の退職から、ほぼ切れ目なくファームジョブを獲得できたことは、助力くださった周囲の存在と、たくさんの奇跡が重なった結果だと感じています。
送別会で先輩が背中を押してくれなかったら。
友人がマーケット出店情報を送ってくれなかったら。
マーケットに間に合ったとして、スタッフにレジュメを渡しただけで終わっていたら。
同行者が偶然通りがかった風景を覚えていなかったら。
運営者がファームを不在にしていたら。
本当に運が良かったです。ただ、自分がしてきた努力も、その運を掴むために必要不可欠だったと感じます。
コツコツと勉強してきた英語をお褒めいただけたし、オーストラリア到着直後に取得したフォークリフトの免許も役に立った。前職で培った経験や仕事に対する姿勢について、アピールできるよう日頃から言語化するよう努め、事前にファームジョブとの共通点を整理しておいて良かった。自家用車を購入したのは正解だった。
ともあれ、気を抜いてばかりはいられないので、事前資料に目を通しつつ、新たな環境に慣れるための下調べと準備を丁寧にしていきます。
今読んでくださっているあなたの元にも、今までの積み重ねと奇跡が、目標に対して良い結果を運んできてくれることをお祈りして、この記事の締めとします。
インタビュー内容や実務テストの内容は別記事にまとめる予定なので、お楽しみに。
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