1990年代の中学生とミスターフレンドリー
ここ数年、「平成レトロ」という言葉とともに、80~90年代がフィーチャーされるのをよく目にする。
たとえば、ここ5~6年で「オサムグッズ」が突如オシャレなキャラクターとして定着した。当時、ミスドのない田舎町に住んでいて、何のアイテムも持っていなかった私も、このリバイバルブームに乗ってバッグを持ったりTシャツを着たりしている。これについては「懐かしい」というより、「憧れていた、アレ」が再びこちらへ向かってやってきた、という感覚なのかもしれないが。
ところで、そんな平成レトロブームの中、ひとつだけ忘れられているキャラクターがある。それが「MR.FRIENDRY(ミスターフレンドリー)」だ。
さまざまなメディアで、オサムグッズはもちろん、サンリオやサンエックスなどのキャラクターがたびたび懐古されているが、ミスターフレンドリーが取り上げられているのはあまり見かけない気がする。
公式HPには、
とあるが、毎年、キャラクター大賞にも欠かさず投票する「サンリオガチ勢」だった私が、ふと「あれ?なんかたあ坊って子どもっぽくない?」と冷めてしまったのが小学校高学年の頃。そして、オトナっぽいものに憧れる小学校高学年から中学生にかけての女子心にがっちりハマったのがこのミスターフレンドリーだった。
困り眉とニッコリスマイルがちょっとシニカルで、原色カラーのデザインの上に並ぶ英語がフツーにカッコよかった。「1周回って漢字がいい」とか言わなくてよかった時代。
さて、ミスドすらない田舎町でどうやってミスターフレンドリーグッズを手に入れていたのかというと、当時、「メールオーダーシステム」というサービスがあったのだ。B4三つ折りのカタログが月1ぐらいで届き、注文したいものをハガキかなんかで送ると後日届くという仕組み。お金は先払いだったか後払いだったかは忘れてしまった。
このサービスには、カタログが届いた時と、商品が届いた時、2回の楽しみがある。四畳半の部屋の自分の机で、ワクワクしながら封を開けていた光景を今も思い出せる。ミスターフレンドリーというオトナっぽくて、都会的なキャラクターを通して、東京と、世界と、つながっている感覚を得ていたように思う。
当時、ミスターフレンドリーのショップは憧れの街、代官山にあった。中学生の頃は行きたくて行きたくてたまらなかったが、上京し、いつでも行けるようになった頃にはミスターフレンドリーのことなど忘れていた。
ショップは2008年にカフェとしてリニューアル。そして、昨今のレトロブームでミスターフレンドリーの存在を思い出した私は、先日、代官山のそのカフェに行ってみたのである。実に30年越しの邂逅。
近年、キャラクターカフェはどこも予約必須でなかなか入れないイメージだが、すんなり入店。そして、「グッズをいっぱいオトナ買いしちゃおう♡」なんて意気込んでいたが、だいぶラインナップを絞っているようで、期待していた紙系アイテムはほとんどなかった。付箋とマステだけ買った。
後日、ガシャポンで出したミスターフレンドリーのキーホルダーを、同世代っぽいママ友に「懐かしくない?」見せてみたが、「うーん…見たことあるような気はするけど…」と困らせてしまった。局地的な人気だったのだろうか。とりあえず、当時の私に「憧れてやまない代官山のお店、30年後に行けるからね」とやさしく教えてあげたい。