『夜のクラゲは泳げない』6話までの感想+宣伝

はじめに

こんにちは。
今期はというより今期も、面白いアニメがたくさんあって追うのが大変ですね。
嬉しい悲鳴です。

そして、そんな2024年春アニメでイチオシなのが『夜のクラゲは泳げない』です。

日常系や女の子たちの物語に定評のある動画工房が手掛けるオリジナルアニメで、同社のオリジナルアニメは『多田くんは恋をしない』と『SELECTION PROJECT』がありますが、それ以来になりますね。
21〜22年あたりの作品は新型コロナもあったからか作画が怪しかったりバタバタだった印象がありましたがあの『推しの子』や他の作品でそういった負のイメージは払拭されたと感じています。

本来動画工房の作品はクオリティが高く、自分の好きな作品がたくさんあって、その上で先ほどの『多田くん』は僕が見てきたアニメの中でも上位に入るくらい好きでした。
そのためヨルクラの制作が発表された時、動画工房のオリジナル作品であること、キービジュアルやストーリーを見てこれは絶対見ようと決めました。
元々僕はオリジナルアニメを応援したい人というのもあります。
そしてその直感は間違っていなかった、とここまでのオンエアを見て確信しています。
今回はおおよそ前半部分である6話までを振り返りつつ僕の感想や考えを語っていこうと思います。
その前に…。

pixivに2本小説を上げていますのでよかったら読んでみてください。
どちらもまひると花音の話です。

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本題に移りましょう。
まずは作品全体の印象を書いていきます。

この作品は前提として非常にテンポが速いです。
1話でまひかのが出会いJELEEの活動をすることに。
2話3話でめいとキウイが加入。
4話5話で花音以外のメンバーは全員自分の過去と向き合いまた前に進む決意をするイベントが起こった。
このスピーディーさは見ていてちょっと飛ばし過ぎ?と思うくらいのものでした。
劇中時間としては第1話が2023年10月下旬(ハロウィンがあるため)〜第6話のボイスドラマでは翌年の3月というセリフがありました。
いつのまにか半年近く経ってます、びっくり!

これは逆に言えばやり方が現代的、合理的とも取れますね。
まさにこの作品が謳っている『スマホがなんでも教えてくれる時代』である娯楽にあふれた令和6年、原作人気に頼れないオリジナルアニメが注目を集めるのはかなり難しいです。
そのため序盤、掴みの部分は出来る限り目を惹くドラマ性を残した上で展開を速くしたのではないかと思います。

ここ5年くらいで大きな注目を集めたオリジナルテレビアニメといえば『リコリス・リコイル』『宇宙よりも遠い場所』辺りが挙げられますね。
僕もこの二作品は視聴しましたし、どちらもクオリティの高い素晴らしい作品でした。
そして、今回のヨルクラと特にリコリコのメディア展開には少し共通点が見られるように思います。

具体的にどの辺りかと言いますと、公式SNSが非常に活発なこと、番組ラジオも毎週ゲストを呼び積極的なこと、配信プラットフォームが非常に多く、無料一挙放送もどんどんなされていること、リアルでのイベントを積極的に行っていることなどです。
そしてどちらの作品も行っている施策として一番印象的なのがショート動画で見どころの場面をXやYouTubeで公開していることです。
そんなことしていいのだろうかと思うところですが、これもまた今風なやり方ですね。
同じことを書いてしまいますがオリジナルアニメは普通のアニメにはある原作パワーが0なわけで、どんなに内容が良くてもまず見てもらわなければ始まらないわけです。
短くまとめた良い場面を見せて興味を持ってもらって、視聴への入り口を作るという手法なのでしょう。
素人なので正解かはわかりませんがそう感じました。
これまで挙げたやり方はリコリコだけでなく大ヒット作にはよく見られるもので、CMとSNSによる放送告知だけにあぐらをかいていてはいけない時代なのだということなのかなとも思います。
宣伝の甲斐あって、ヨルクラの魅力は結構な数の人に伝わっているようで公式Xのポストが万バズすることもちらほら見られるようになりました。

少し話がずれましたがこの作品のテーマについて。
正解は制作の方々が知るところでしょうが、僕はここまでで3つのことを感じました。
『過去と向き合う』『自分とは』『何かを好きということ』
この辺りはとても伝わってくるなぁと思って見ていました。
特に過去というのはOP映像を見ていればすぐにわかりますね、4人の今、そして昔の自分が出てきています。

次の項ではキャラクターについて書いていきます。
特に花音はこのスピーディーな展開の中で意図的に過去や設定が部分的に隠されているので全てを正しく語ることは出来ないでしょう。
それを前提としてJELEEの4人のここまでの印象や僕なりの解釈を書いていこうと思います。

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光月まひるさんについて

主人公………?
もちろん公式サイトでもキャラクター紹介で一番最初に出てきますし、アニメのキャストクレジットでも最初に書かれています。
番組ラジオのパーソナリティもまひる役の伊藤美来さんです。
ただ、公式サイトに主人公とは一言も書いていないのです。
じゃあなんなんだ、というと主人公よりヒロイン寄りではないかと僕は考えています。
これが何故かというと、この物語はまひるのあのイラストがきっかけで花音がまひるの手を引いて始めたものだからです。
好きなこととなると暴走しがちな、それでいて真っ直ぐな花音をしょうがないなぁと受け止めるまひるという構図。
気配りも出来て人に合わせることが出来るけれど、繊細で傷つきやすい性格もどこかスタンダードなヒロイン像のように思います。
ただ、ヒロインが物語の中心にいてはいけないわけではありません。
まひるにも訪れた試練を乗り越えていくシーンもありますし、未知のことに挑戦しているわけです。
もしかしたら後半戦では今度は花音の手を引くような主人公ムーブたくさんかましてくるかもしれません、そしたらまひるさんごめんなさいと謝るしかないです!

彼女のエピソードの中で最も刺さったのは第5話『コメント欄』の「私より上手い人が描かないでよ」というモノローグです。
まひるにも視聴者にもあまりにも不意打ちだった花音のキスや『渋谷アクアリウム』のMV・歌詞にSNSがザワついた回でしたが、僕はその中で上記のセリフが心に刺さったまま抜けませんでした。
それは何故か。

僕も同じように考えたことがあったからです。

創作をしている立場でこれを書くのは少しはばかられますが、この作品に関して本気で語りたいので敢えて書きます。
昔あったことなのですが自分より上手い字書きさんがいて、同じジャンルの同じようなキャラクターや組み合わせで書いてたりするわけです。
読んでみるとやはり自分よりよほど上手いわけです、自分より評価もされています。
それこそまひるのようにこのジャンルで書くのは自分じゃなくても…と考えてしまった時期がありました。
しかし、そこでブレてしまったら何も始まらないわけです。
何のために『好き』を表現しているのかを一度考えてみました。
そして僕はまず自分が納得する最高のものを書いていこう、人の評価は人のものだと切り替えて今に至ります。
絵と文章ですから全く同じわけではありませんが創作という意味では共感するというか、胸を抉られる部分は大きかったです。
このエピソードでまひるのことがそれまでは特にいなかった推しキャラになるくらい好きになれました。
嘘です次に書く人のことが最初は若干気になってました。

山ノ内花音さんについて

この子は…一言で言って罪深!まずそれです。
気に入った子に対する距離の詰め方がバグってます。
しかも顔が良いとかセコくないですか?めっちゃ顔が良い。
意図的なものなのでしょうか、ファッションに疎い僕でもわかるくらい明確に服飾のセンスが良いんですよね、細い子ながらだぼっとしたシルエットの服がすごくかわいいと思います、しかも顔が良い。
その割に計画性がなかったり鈍感だったり人並みの羞恥心はちゃんとあったりアンニュイな表情からコミカルな表情、カッコいいもかわいいも見せてくれる顔が良い女の子ですね。
…しつこいですね、失礼しました。

先述しましたがおそらく最も6話時点で語るには早いキャラクターだと思います。
他の3人に比べて見えている部分が少ないですからね。
花音の過去や家庭の問題は後半の大きな焦点になるでしょう。
あまり予想を書いてもし正解が出てしまったら自分が一番後悔しそうなのでこの辺りにしておきましょう。

彼女のエピソードの中で最も刺さったのは…きっとこの後、6話以降の話数にあることでしょう。
いや、そりゃチューした5話はびっくりしましたが。
アフレコアフタートークやラジオで伊藤さん高橋さんはまひるはまんざらでもなさそう、いきなりあそこまで距離詰まる?不自然にめいちゃんキウイちゃんいなくなったよね、きゃーでしたよ、とかおっしゃってました。
キャスト陣にはアフレコの一週間前に台本が渡されるそうで、その展開にたいそう驚いたらしいです。
表情見る限り割と勢いでやっちまったっぽいですね。
勢いでもやれるのはすごいですが…。
とはいえ同性だとしてもした側もされた側もその後普通に接してて、後からあのキスはなんだったの?っていたずらっぽく聞けちゃう辺りもうお互い信頼し切ってるっていうことで、行為以上にそこが尊いポイントなのかなと思いました。
あ、めいちゃんすまない…。

渡瀬キウイさんについて

ゲーム配信VTuberやってて、動画作成も出来て、音楽もかじってて弁もたつ成績優秀な生徒会長(7話の予告見る限りかなり頭良いみたいですが)、つまり私が最強…なんてね。

積み上がった自信や自己肯定感がへし折られた時って本当に心へのダメージが計り知れないんだろうなと、キウイの姿を見ていて考えていました。
もちろん逆も然りですが男の子っぽい趣味を持つ女の子って仲間を見つけられないとどうしても周りと齟齬が生まれてしまいますね。
僕が学生だったのはいつのことだったかな、って感じなので令和の高校生活は想像でしか語れないですが本当に悩んでいる暇もないほどやることがたくさんあるんじゃないかなぁと勝手に思ってます。
友達に合わせないと置いてかれてしまいますからね。
キウイは女子校だったようですしグループが出来てしまって馴染めなかったのでしょう。

ネットの世界に居場所を作る程度の能力があったのは不幸中の幸いだったのかもしれません。
しかし自分の状況をおそらく最も信頼している友達のまひるに正直に言えなかった約2年間、通話している時嘘の学校生活を話していた際に出る何気ない言葉にズキズキ心が痛んでいたのかもなぁと想像したり。

彼女のエピソードで最も刺さったのは第3話『渡瀬キウイ』の夜のセンター街のシーンです。
考えただけでお腹痛くなってきそうで、自棄になって追い詰められていくキウイは本当に見ていて苦しかったです。
ただ、まひるはキウイの嘘を受け入れてくれて(変な踊りをして)、リアルでの居場所を見つけられて本当に良かった。
一番尖っているからこそ見守りたくなる、そんなキャラクターですね。

JELEEの4人はみんな声がハマっていて聴いてて違和感が全くない、完璧なキャスティングなのですが富田美憂さんは別格ですね。
富田さんの演技はどんな作品でも凄い、と舌を巻くのですが今作もやはり素晴らしい。
役作りをすると感情移入してしまうタイプのようで、第3話の収録はかなり苦しみながら出し切ったそうです。
まだ若いのに過酷な大穴を探検したり風◯店をレビューしたりして場数が違います、流石です。

高梨・キム・アヌーク・めいさんについて

4人の中で最も登場の際のインパクトが凄かったですね。
周りに負けず劣らず濃いキャラしてます。
それなりに厄介オタクな面は出てましたが登場回以降は一応弁えている辺り話のわからない子ではありません。

『推し』という言葉が使われるようになって久しいですね。
推しの人物、推しのキャラクター、推しの作品、推しのものなどなど。
好きを超えた、愛を注ぐ対象として使われていますね。
この言葉、僕はそんなに軽く使いたくないなと思っています。
本気で推しているという自覚がある時にのみ使うことにしています。
もちろん人に押し付けるつもりはありません、あくまで自分の中のルールです。

めいは学校にも家にも居場所を見つけられない鬱屈とした日々の中にいた頃、その後推しとなる橘ののかという存在に救われたのです。
大げさではありません、文字通りの意味です。自己を見失っていた時に手を取って、写真も撮ってくれて、共感し、肯定してくれた。
そんなののたんを推したい、応援したいと思うのは自然なことです。
こういったことは現実にも起こり得ることで、僕もめいほどドラマチックではありませんが経験したことがあります。
辛い時、逃げ出したい時、諦めたい時。
負の感情が心にある時に推しが支えになってくれることはたくさんあります。
握手してお話しした好きなスポーツ選手の活躍や素敵な作品との出会い、聴いた音楽の歌詞やメロディ。
励まされ元気をもらい背中を押してもらえる推しの存在は日々に彩りを与えてくれます。
そういったところはめいに共感する部分が多く、あるあるそういうのという感じで見てました。

彼女のエピソードで最も刺さったのはやはり第3話ラストの「解釈違いです」でしょうか。
この言葉もまた幅広い人々に使われるようになった言葉ですね。
マイナスな、攻撃的な面を持つ言葉なのですが、めいは素敵な笑顔で言っていました。
今の花音を受け入れて吹っ切れた証なのでしょう、そこからは目の前で推しの部屋の空気回収したり何も隠さなくなりましたし(台無し)

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おわりに

前半だけであまりに濃ゆい内容で、後半はどうなっちゃうのって期待は高まるばかりです。
僕の中でヨルクラの主人公と定義した花音の物語が鍵を握ることになると思いますが、果たして。

作品の聖地巡礼に積極的な僕ですが、主な舞台である渋谷や新宿にはまだ行っていません。
思い立てば行ける場所なので放送も進みましたしそろそろ行こうかなという気持ちでいるのですが土日が忙しくて行けていないのがもどかしい。
暇な土日や平日が空いたらすぐにでも行こうと思います。
数多ある作品の中でまさに『推し』になったヨルクラを応援していきたいと思います。





まひかのしか勝たん!

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