ルールは守られる為にある。

突然だけど、今から書く事は何の面白さもない、ただの体験談だ。

当時は悩んで、姉が心配して泣き、先輩が心配し、未だに鮮明に覚えている嫌な思い出だ。

ただ、このタイミングでこの体験をしってもらうことで、1人でも肝に免じてくれるんじゃないかな。



ルールは守られる為にある。





20歳の時、マッチングアプリで出会った彼は、音楽の趣味も良く、歌も上手く、スケボーが上手な男性だった。

数回のデートをし、連絡を取り合って、お互いの恋愛観を聞き合って、このまま一緒にいたら好きになるだろうなとも思った。

ただ、何か会う度に不思議な香りがしていた。




私の職場の近くにスケボーショップがあって、よく人が集まってるのを知っていた。

その中の1人だった彼は、動画を編集することもあり、ある日動画を見せてもらった。

その中の一つに、友達の誕生日に向けてのメッセージ動画があった。
仲が良いのが伝わる楽しそうな動画。

ただ、みんな共通して煙草みたいなものを持っていて、でもなんか違うなって分かって
煙草?気になって軽い気持ちで聞いてみた。

彼は嬉しそうに、すこし恥ずかしげに車の端から何かを取り出してくれた。










ベビースターラーメン丸の亜種。


って思ったら「大麻」って言われた。






押忍

そういえば職を聞いてなかった。なるほど。

あまりに突然のアウトロー。

その後彼は自分からスラスラと語り始めた。
プッシャー(売人)だった。
家で栽培もしていた。



正直なところ、大麻は人に迷惑かけるようなものではない(多分)ので、別によいとは思う。
ただ、今の日本はまだ大麻非合法。

やれば捕まるし持っていれば捕まる。
栽培なんて一発アウト。
これは今の日本の常識、ルールだ。

大麻をしたいのであれば、海外にいくか、日本の憲法を変えるしかない。



私は、体調が悪い時や怪我している時意外は絶対に優先席に座らない人が好きだ。


時間に余裕があるなら、車が通る気配がない深夜の交差点も青になるまで待つ人間だ。



店員さんに「ありがとうございます」「ごちそうさまでした」「お願いします」を言う人が好きだ。


吸ってはいけない場所で吸う。
写真を撮っちゃいけないところで撮る。



今で言うと回転寿司で人の物をつまみ食いする。物を散らかす。ご飯で遊ぶ。



楽しければ許されるような雰囲気だったり、お酒による知能低下だったり、若気の至りだったり、理由は色々あるかも知れない。


けど、ルールがある以上、そこには必ず守っている人がいる。



やってみる?と聞く彼に
いいや。と答える。
お金をもらえるとしてもやらない。少し残念そうにする彼、私は彼といて初めて 帰りたい と思った。


大麻を馬鹿にする人はバカだ。と言った彼はゴホゴホと咽せた後、赤い目をしていた。


いかに日本が遅れているか、大麻が素晴らしいものかを語っていた。
申し訳ないが一歳刺さらなかった。


守ってから言うべきなのだ。
何かを守る様な言葉は、ルールを守っているような人間じゃないとむしろ逆効果だ。
言葉には説得力よりも、信頼性が必要だ。


もしかしたら警察の捜査が入るかも知れなくて、一瞬だけ預かってもらったら助かる。といいだす彼。



無理だと断る。
そもそも、私のお父さんは警察だ。


厳しいながらも甘やかしてくれるお父さんが、今の地位を築くために尋常じゃない程の努力をしている事は、昔こっそり入った書物庫の棚を見て小さい頃から分かっていた。


何百人もの指名手配の顔写真を英語の単語カードみたいに纏めて、お父さんは暗記していた。


私が捕まったりしたら一瞬でお父さんは世間から袋叩きにされるだろう。



自分に情けなさを感じながらも、とりあえず帰る事、犯罪に手を貸さない事、リスクから離れる事だけを考えた。


(帰って調べると一時的に所持することも違法行為だと書いてあった。断って本当によかった。)

彼はこの事を知っていながらも私に持ちかけたのか。怖くなった。

私は彼に親が警察だって事を伝えていた。
私が実家暮らしとも伝えていた。一般よりも見つかりにくいとでも考えたのだろうか。
マッチングアプリは、その為にやっていたのだろうか。

気持ちが冷めてしまったし、犯罪に近づきたくない為、縁を切った。

もう会わない。連絡もしないと伝えるための深夜の1時からの電話で 相手は泣き始めた。

ー友達が捕まり、プッシャーの自分は友達が離れてしまった。もう私しかいない。孤独だ。こんな事ならやらなければ良かった。
もうやめる。栽培したものも捨てる。だから会わないなんて言わないでくれ。

途中から「死ぬ」とまで言い始めた彼に私は「ごめん」しか言わなかった。

最後、あんなに泣いていた彼は急にピタッと泣くのをやめ、「貴女はそういう人間なんだね。分かったよ。」といって深夜4時まで続いた電話を切った。

その翌日、借りていた物を返して私達は会わなくなった。目は合わなかった。連絡先もInstagramもブロックして、完全に繋がりは無くなった。

一週間後ぐらいして、出勤するときに通るスケボーショップで、彼に似ている人がいるのが見えた。

あまり見ない様に通り過ぎた。
でも気になって、最後チラッとその場を見た。

友達に囲まれた彼が 私を指差していた。
その日から私は何となく、その通勤ルートを使うのをやめた。



改めて書きまとめると、本当に自分の馬鹿さに情けなくなった。浅はかすぎる。
あの頃の不安な日々。周りの人の心配。
本当に自分が情けない。

とりあえずこの文章でいいたいのは、どんな理由であれ、とりあえずルール・法律は守っておけという事です。(当たり前だけど)


ルールは破る為にあるとか、そんな言葉もあるけどルールにいる内はとりあえず何とかなります。

むしろこの中じゃないと、何からも守られません。当たり前だけどね。


ルールは私達を守る為にあるって忘れちゃいけないよ。



空気が盛り下がるから。
みんなやっているから。

そんなんで、ルールを破る事で獲れる楽しさなんて一瞬だけです。


ルールはいつでも破ろうと思えば破れます。どんな犯罪だって、やろうと思えばできます。
理性がなければ。後の事をかんがえなければ。


多くの人が犯罪を犯さないのは、自分のためでもあるけど、1人だけの人生じゃないって分かってるからでしょう。

どんなに面白い動画がとりたくても、馬鹿なこと、型破りなことが楽しくて興奮しても、周りの大事な人を思い浮かべて。
悲しませない様な行動をとろうね。
(当たり前だけど)






あと優先席は座らないでおきなさい。


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