『破壊の自然史』 セルゲイ・ロズニツァ
映像はドイツの街並みから始まる。道路を行き交い、カフェに集い、音楽を楽しむ大勢の人たち。そこから不穏な転調が起きる。カメラは意味深に彫像を仰ぐ。鋼鉄製の門がゆっくりと開く。地獄の門であるかのように。骸骨が映る。場面は戦闘機工場に移る。一定のリズムを刻み続ける機械から吐き出される爆撃機の部品。軍需工場で働く女性たち。訪問した軍人がジョークを交えた演説で工員たちを鼓舞する。そして始まる爆撃。操縦席から見下す都市。止むことなく投下される爆弾。花火のように燃え盛る都市が、容赦なく映し