カリンの実
人生を何十年も演っているのに、この実が何の実か知らなかった。
洋ナシの一種かなとも思った。手に取ってみると、甘い香りがする。
直ぐさま齧(かじ)りついてみたいが、硬くて歯が立たない。
あるご婦人が庭に1mほどの苗木を植えたら、今では数mに成長して実をつけた。
梨の仲間では無くて、バラ科だそうだ。生では硬くて渋くて食べられないから、半年ほど焼酎に漬け、布で濾してカリン酒として香りを楽しみ、漬けた実は砂糖で煮て柔らかくして食べるらしい。
木の実には生でそのまま食べられない物が幾つも有る。梅の実とか渋柿とかドングリとか。
つまり加工処理と言う一手間の工程を経て初めて、美味しく頂くことが出来る。
カリンの実もその類(たぐ)いだった。