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アブラカタブラorちちんぷいぷい

どこか知らない、とにかく遠くの山奥にある施設で、小さい少年がカヌーに励んでおりました。
遠足なのか、社会科見学なのか覚えていないけれど一人一台カヌーを与えられ、田舎特有のだだっ広いプールの上に浮かんでいるのです。

小さい少年含め、恐らく30台ほどのカヌーが行ったり来たりしていて一見誰が誰だかわかりません。
そこにお腹を空かした巨人が現れたとしても、誰が誰であろうと関係なく特に選ばずパクリでしょう。

いわば無個性のカヌーの群れの中の一員である小さい少年。
せっせせっせとオールを漕ぎます。

ある時、一瞬前までは無個性だったはずのカヌーに同じく無個性のカヌー達が集まり出しました。

小さい少年も向かいます。

注目の的となったカヌーはひっくり返し。
ぷかぷか浮かぶ坊主の子。

転覆したのです。

海だったら焦るでしょうが、ここは田舎の山奥にあるプール施設。
心配どころか全員ゲラゲラ笑い出しました。
坊主の子も一向にカヌーに戻ろうとしません。
個性が気持ちいいのでしょうか。

ひとしきり笑い合った後カヌー達は解散。
再び行ったり来たり。

小さい少年も再びオールを漕ぎ出しましたが、ついさっきまでの少年ではありません。いつだいつだと様子を伺います。

少年は自ら転覆してやろうと目論んでいるのです。

今だ!と少年は体をできるだけ外へ傾け、水飛沫をあげカヌーから転落。
ぷかぷか浮かぶ少年はニヤケが止まりません。
これで僕も注目の的、、、!

のはずが、誰も集まってきません。
おかしいなとわざと水面を立てて音を出してみても暖簾に腕押し。

それもそのはず。

29台のカヌー達がぷかぷか浮かぶ個性坊主に影響され、
あちらこちらで転覆祭り。

個性に憧れる姿はそれはそれは滑稽で。

同じ個性がここまで増えてしまったらそれはもう個性ではありません。
個性を求めて起こした行動自体が無個性という残酷な状況でした。
小さい少年は無駄に重くなった服と共にカヌーに戻りましたとさ。

そんな小さい少年は、いつの間にやら大きくなり、パソコンの前でこの文章を打ち込んでいます。

あ、どうもいっくんです。

「遊び紙の束 1枚目」をご覧いただきありがとうございます。

記念すべき1枚目はいっくん少年の失敗談からスタートです。最後には製作風景を少しだけ。

さて、先ほどのカヌー体験は小さい頃の思い出ですが、印象強く記憶に残るエピソード。
今の自分の状況を重ねてみると不思議なことに似たり寄ったり。
今Youtubeではどのジャンルが流行っているのか。
研究の末、これかと試してみても時すでに遅し。
なんてことはよくあることです。

昔から何かに影響されやすく、海猿を見たら海上保安官になりたくなったりしたし、BUMPを聴きあさっていたころ描いていた歌詞は偽藤原基央の戯言でした。今でもたまたま通院しただけで医者や看護師になる方法を調べちゃったりする始末。

考え方や思うこともどこかのだれかが言ってたことで形成されているので本当の自分の意見というのがわからないんです。

こう思う人になりたいからこう思っていることにしようって思うんですよね。

わかります?

小さい頃、擦りむいた膝小僧を作ったことも滑り台を逆走したことも。
カヌーから転覆したことも。
結局誰かの真似事で、憧れから取った行動です。

自分自身に迷いがちの性格なんです。

しかしこれが時にいい方向に働くこともあるんですよ。

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いっくんは語る。を運営する様子や裏側。舞台公演に向けた準備の記録。 空を飛べたことやくしゃみがでたことなどの日常や日々の考えも。 半分ぐ…

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