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音楽レビュー『Future Nostalgia』Dua Lipa(2020)細部までよくできた新しい懐かしさ

新しい音楽を聴かない私でも
ハマったデュア・リパ

新しい音楽には詳しくありません。

そんな私でも、
note で映像を紹介する記事
連載しているので、

たまに、新しめの MV を
漁ることがあります。

そこで発見したのが、
デュア・リパでした。

彼女のことは
まったく知りませんでしたが、
MV に魅力的なものが多く、

あっという間に
気に入ってしまいました。

中でも本盤にも収録されている
⑨『Break My Heart』MV の
完成度の高さには驚かされます。

(その映像の素晴らしさは、
 別の記事に書いた)

ものすごく「今」っぽい
感じがするんです。

彼女の媚びていない
クールな感じが
今の時代にウケるのは、
よくわかる気がします。

父の影響で音楽に目覚める

デュア・リパは、
ロンドン生まれですが、

実家はコソボにあり、
’90年代に紛争を逃れて、
両親がロンドンに移住した頃に
生まれたのだそうです。
(’95年生まれ)

デュア・リパが
10代の頃に実家がコソボに戻り、

15歳の頃にミュージシャンを目指し、
再び、単身でロンドンに戻ってきた
という経緯があります。

父親がコソボで
ロックミュージシャンとして
活動している影響もあり、

デュア・リパも
幼少期から、

ボブ・ディラン、
デヴィッド・ボウイ、
スティング
といったアーティストの楽曲を
聴いて育ちました。

その後、
ネリー・ファタド、P!NK、
ディスティニーズ・チャイルド
などに影響を受け、

彼女は YouTube で、
お気に入りのアーティストの
楽曲のカバーを披露していました。

その動画がレコード会社の
目に留まり、
デビューに至ったわけですね。

(同時代のアーティストでは、
 このようなデビューの経緯は
 珍しくない)

デビューシングルは
イギリス国内のチャートで
9位にランクイン、

セカンドシングルは、
イギリスでのチャートインは
逃したものの、

ベルギーやポーランドでは、
1位を記録しました。

その後、着々と国内および、
ヨーロッパでの人気を集め、

今ではアメリカのチャートにも
登場するアーティストに
なっています。

細部までよくできた
新しい懐かしさ

デビューから一貫して
ダンスミュージックを
発表してきた彼女が

満を持して発表した
2枚目のアルバムで、
強く意識したのは、
「ディスコ」でした。

タイトルの
『Future Nostalgia』からも
感じられるように

本作が目指したのは、
「新しく懐かしい」
という感覚です。

’80年代のテクノから
音楽に入ったような私にも
本盤のサウンドは
どこか懐かしく感じます。

それでいて、古臭くなく、
むしろ、新鮮さがあるのが、
これらの楽曲の
素晴らしいところですね。

本盤のほとんどの楽曲で
最初に強い印象を受けるのは、
’80年代っぽい電子音の数々です。

今は、パソコンを使って、
打ち込みの音楽を
作るのが主流ですが、

このアルバムの制作には、
もしかすると、

古いヴィンテージのシンセや
リズムマシンが
使われているかもしれません。

憶測でしかないので、
間違っている可能性もありますが、

そう思ってしまうくらい、
’80年代のエレクトロの音色に
近い印象を受けます。

また、何度も聴いていくと、
特に病みつきになるのが、

シンセベースの
音のおもしろさです。

この記事を書くために、
1曲ずつ、聴き比べてみましたが、

どの曲も1曲ずつ、
ベースの音が
異なっており、

制作者の強いこだわりが
感じられました。

⑥、⑨あたりの楽曲は、
シンセベースではなく、
弦楽器のベースが
使われていると思います。

さらに②、③の一部には、
よく聴くと、
レコードのノイズが
サンプリングされており、

そういった細かい作りにも
感心させられますね。

一聴すると、どの楽曲も
普通のポップスに
聴こえるかもしれませんが、

根底に流れているのは
紛れもなく、ファンクです。


【作品情報】
リリース:2020年
アーティスト:Dua Lipa
レーベル:ワーナー・レコード

【アーティストについて】
イギリスのシンガーソングライター、
ファッションモデル。
’15年、シングル
『New Love』でデビュー。

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