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音楽レビュー『You're All I Need』Marvin Gaye & Tammi Terrell(1968)マーヴィン、タミーの声の相性の秘密

若くして病魔に侵された
タミー・テレル

マーヴィン・ゲイは、
'60~'70年代に
女性ボーカルとのデュエットで
作品を発表していました。

中でも、タミー・テレルとの
デュエットは相性も抜群で、
数々の名曲を送り出しています。

しかし、2枚目のアルバムである
本盤のレコーディングの時点で、
タミー・テレルは脳腫瘍という
病魔に侵されており、

このレコーディングも
間に手術を挟んで
行われたそうです。

そして、残念なことに、
タミー・テレルは
'70年に帰らぬ人となり、

次作が最後のアルバム
となりました。

黄金期のモータウンサウンド

'60年代のモータウンの
作品とあって、サウンドの方も
際立っています。

ドラムやベースの音圧が
凄まじいですし、

繊細なストリングスの音も
この時代ならではの
雰囲気がありますね。

そして、何よりも、
マーヴィンとタミーの
ボーカルのコンビネーションが
魅力的です。

マーヴィン、タミーの
声の相性の秘密

二人の声の相性が
なぜ、こんなにも
魅力的なのかと考えてみると、

声質の違いが
いいのではないかと思います。

マーヴィン・ゲイの声は、
力強くありつつも、
時に優しく包み込むような
抱擁感が感じられます。

一方のタミー・テレルは、
若さを活かした、
明るい響きを放つのです。

(当時の二人の年齢は、
 マーヴィン 29歳、
 タミー 23歳)

タミーの光るような声を
前に出しつつ、

後方からマーヴィンが支える
巧みなボーカルワークがあり、
それが楽曲の安定感に
繋がっているように思われます。

やはり、これだけ
コンビネーションが素晴らしい
男女のデュオは
他にないでしょうね。

1枚目のアルバムもいいですが、
こちらの成熟したサウンドも
甲乙がつけがたいほど、
いいです。

ちなみに、偶然ですが、
明日、4月1日は
マーヴィンの命日のようです。
(亡くなったのは1984年4月1日)

そんな日に彼が残してくれた
数々の名盤を聴いてみるのも、
いいのではないでしょうか。


【作品情報】
リリース:1968年
アーティスト:
マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル
レーベル:タムラ/モータウン

【アーティストについて】
マーヴィン・ゲイ
1939~1984。
タミー・テレル
1945~1970。
ともにアメリカのミュージシャン。

【同じアーティストの作品】

『United』(1967)
『Easy』(1969)


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いっき82
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