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英語は一文字ずつ読まない

昨日の記事では
日本語の発音の
シンプルさについて
書きました。

日本語の発音の種類は、
112種類しかないのに、
英語は3万以上の発音があって、

欧米の学者さんでも
発音の種類を数えるのを
諦めてしまった
という話でした。

この記事の中で、
「英語はアルファベットを
 一文字として認識して
 読む文化がない」
と書きました。

これは前回の記事でも引用した
金田一春彦氏の
『ホンモノの日本語』に
書かれていたことです。

ただ、それ以上の説明がなく、
たぶん、読んでいて
ピンとこない方もいるかもしれない、

と思ったので、
補足させてもらいます。

私は本の紙面を作る仕事に
携わっていまして、
時折、英語の文を
編集することもあります。

別に、英語がスラスラと
読めるわけではないのですが、
20年以上、そんな仕事をしているので、

曲がりなりにも英語の文章の
組み方というのは、
ある程度、身についています。

英語の文章を組む時に、
もっとも気をつけなければ
ならないのは、

一つの単語の中の
文字の間にスペースを
入れてはならない点です。

私たちの業界では
「ばらける」とか
「ばらけ」と言っています。

つまり、
「apple」という単語が
本文中にあったら

↓このように
「a p p l e」

ばらけさせてはいけない
ということなんです。

なぜ、ばらけさせてはいけないのか、

そもそも私が若い頃は
「ばらけさせてはいけない」
ということすら、
知りませんでした。

これがいかに
大事なことであるかを知ったのは、

この仕事をはじめてから
10年以上経って、
自分で勉強するように
なってからのことです。

英語の文章の編集について
(「組版」と言う)
もっと知りたいと思ったのが
きっかけで、

こんな本も読みました。

▼文字やデザインに関わる人は
 必読の書!

この本を読んだ時に、
日本語と英語の違いが
はっきりわかったんですね。

英語というのは、
「わかち書き」というのをします。

例えば、

「I eat an apple」

こんな風に単語の間に
スペースを入れて記述しますよね。

日本語でこれを書くと、

「私はりんごを食べます」

日本語は単語の間を空けませんよね。

しかし、日本語も
これを一種類の文字で記述すると、

「わたしはりんごをたべます」

読めないことはないですが、
読みにくいですよね。

では、こうしてみては
どうでしょうか。

「わたし は りんご を たべます」

単語の間にスペースを入れてみました。

こういうことなんですね。

つまり、アルファベットは、
「アルファベット」という
一種類の文字しか使っていないので、

このように単語の間に
スペースを入れて
記述する文化になったのです。

スペースを入れないと
読みにくいんですよね。

そうすると、逆に今度は、
単語の中のアルファベットが
ばらけてしまうと
読みにくいんです。

「I e a t a n a p p l e」

どうですか。

先ほどと同じ文で、
単語の中にスペースを入れて
ばらけさせました。

読めないですよね。

なので、英語の表記では、
単語の中にスペースを
入れてはいけないんです。

(あくまでも本文の話、
 タイトルなどの表記は
 この限りではない)

こういう記述の仕方なので、
ネイティブな方の英文の読み方は、
日本人の文字の認識とは違って、

単語ごとに読むそうです。

つまり、
「apple」なら
「a」「p」「p」「l」「e」
という一文字ずつの認識ではなく、

「apple」という
塊として認識しています。

ですから、余計に
英語の文字を組む時には
単語の中の文字を
ばらけさせてはいけないのです。

その点、日本語は
知らない言葉でも
一文字ずつ認識しやすいので、

「わ た し は り ん ご を た べ ま す」

こんなにばらけさせても、
読めてしまうんですよね。

こういった
文字や言語の違いによる
表記のしかたの違いは
いろいろあっておもしろいんです。

そんな話をこれからも
たまにしていければと思います。

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いっき82
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