音楽レビュー『My Song』Keith Jarrett(1978)人生に悩む人にこそ聴いてほしい必聴盤
【約1000字/2.5分で読めます】
マニアから初心者まで
幅広い層にオススメできるアルバム
こう断言するのは、本盤に収録された多くの楽曲はメロディーが魅力的で、王道のジャズとは一味違う味わいがあるからです。
聴いていると思わず口ずさみたくなってしまうほど、キャッチーなフレーズが次々に現れ、聴く者の耳を楽しませてくれます。
ここまでメロディーに魅力がある
ジャズもない
本場・アメリカのジャズの王道は、プレイヤーのテクニックを聴かせるものです。
一方の本盤はアメリカのピアニスト、キース・ジャレットがヨーロッパのアーティストと組んだ「ヨーロピアン・カルテット」として録音しています。
そのため、王道のジャズとは違う味わいになっているのです。
人生に悩む人にこそ聴いてほしい必聴盤
①『Quester』でのっけから、胸を掴まれるのはノルウェーのサックス奏者、ヤン・ガルバレクによるテナー・サックスの音色です。
彼の吹くサックスの音色は、冷たさと温かさを両立させたような独特な音色が魅力的です。楽曲によって、さまざまな表情を見せてくれます。
もちろん、キースのピアノも負けてはいません。
①の中盤でピアノソロが出てきます。その音色は永遠に続いてほしいくらい心地いい音です。
私が「人生に悩む人」に本盤を勧めるのは、温かさ・冷たさ、厳しさ・優しさ、せつなさ・甘さ、といった相反する要素を内包した音を感じるからです。
悩んでいる時、人は「絶望」と「希望」を同時に、あるいは交互に感じるような感覚があると思うのです。そんな状況の時に、そっと心に寄り添ってくれるような音楽はそう多くありません。
この音楽を聴いていると、「無理に元気を出す必要はない」と安心できます。ままならない人生に悩む時、「明るさ」と「暗さ」の両方を同時に感じられる、本盤のような音楽の出番なのです。
【同じアーティストの作品】
いいなと思ったら応援しよう!
サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。