聴覚を育てるアルバム10選
※2500字以上の記事です。
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一流の料理人を育てるには、「子どもの頃にどんなものを食べさせるか」が大きいという話を聴いたことがあります。
子どもの頃に、普通の子どもと同じように家庭料理やジャンクフードばかりで育つと「うまい」という感覚の照準が、一般的になってしまうんですね。
逆に、子どもの頃から一流の味を覚えていたら、その分、舌が肥えるということなのでしょう。
この話を聴いて、私は「音楽も同じようなところがあるな」と思いました。
単純に日本でヒットしている音楽だけを聴いていると、養われない「聴覚」は確実にあると思います。
世界には、多様な音楽があり、それぞれの味付けや盛り付けは、時代によっても異なるんですよね。
昔とは違って、今ではそれらの音楽をネットを通じて、たくさん知ることができるでしょう。
一方で、そういうおもしろさを知ることもなく、過ごしている方も相当、居るのではないか、というのが、普段の私が思っていることです。
例えば、私に子どもがいて、その子を一流の「耳」にするために、子ども時代から聴かせる音楽を選ぶとしたら、どんな音楽があるか、考えてみました。
ここに挙げた10作品は、いずれも今の私の「聴覚」を養った重要なアルバムです。
①『深い森のケルト』V.A.(’95)
(※配信にない音源)
その昔、細野晴臣が主宰していたワールドミュージックの専門レーベル「FOA」から発売されたコンピレーションアルバム。
ヨーロッパに古くから伝わるケルト音楽が収録されている。
決して馴染みのある音ではないのに、なぜか、懐かしく感じるサウンドに聴覚が広がっていく感覚を覚える。
②『小澤征爾ベスト101』小澤征爾('10)
(※録音年'72~'02)
指揮者・小澤征爾、8枚組のベスト盤で、特に3枚目の「フランス音楽」がオススメ(演奏はボストン交響楽団。⑮のみフランス国立管弦楽団)。
一流のオーケストラの音を知ると、一気に耳が肥えてくる。
③『Kind Of Blue』Miles Davis(’59)
ジャズのみならず、全ジャンルの音楽を語るうえで、忘れてはならない名盤。ビバップからモードジャズに移行した頃のマイルス・デイヴィスの傑作である。ノイズも交えたマイルスのトランペットの深みは、良質なブラックコーヒーの苦みを彷彿させる。
④『Revolver』The Beatles(’66)
名盤の多いビートルズは、こちらをチョイス。
’60年代にして、スタジオ録音の極みに行きついた一つの到達点ともいえる。
ストリングスやシタールといった多様な音のおもしろさも味わえる。
⑤『Wave』Antonio Carlos Jobim(’67)
ブラジルのボサノヴァを代表する名盤。
アメリカに渡ったことにより、ジャズのテイストも合わさり、非常に聴きやすい。ギター、ピアノ、ウッドベース、ドラムに加え、ホーン、ストリングスが合わさり、音の厚さも一段と増している。
特に、ホールで録音されたと思われるストリングスの音響がすごい!
⑥『What's Going On』Marvin Gaye(’71)
アメリカの R&B の名門・モータウンの雄、マーヴィン・ゲイが、はじめてセルフプロデュースで制作したアルバム。
ソウルミュージックのみならず、音楽全般に多大な影響を与えた傑作となっている。
今も世界からなくならない「戦争」に対して、反戦を掲げた作品でもあり、そのメッセージは今の時代にも合致するものだ。多重録音を駆使したボーカルワーク(コーラスも含む)、モータウンならではのドラムやベースの魅力も溢れるサウンド。
⑦『Ambient 1: Music For Airports』Brian Eno(’78)
「無音よりも静か」。誰が言ったか失念したが、’70年代にブライアン・イーノが提唱したアンビエント・ミュージックを表す、もっともシンプルでわかりやすい言葉だ。
聴けば聴くほど深みにハマっていく終わりのない音楽。
⑧『Solid State Survivor』Yellow Magic Orchestra(’79)
細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一による YMO の傑作。
シンセサイザーによる電子音がおもしろいのはもちろんのこと、メロディー、リズム、ハーモニー、どの面から言っても飽きのこない魅力に溢れる。
おまけにアルバム全体の構成が絶妙なところも特筆すべき点。
⑨『Thriller』Michael Jackson(’82)
’80年代の音楽の魅力は「装飾」のおもしろさだと思う。
レコーディングした音を生のまま聴かせるのではなく、スタジオで徹底的に加工し、音を聴かせるスタイルだ。
その頂点の一つに君臨するのが、この名盤だろう。
大ヒット曲の④『Thriller』、⑤『Beat It』を含む全9曲は、いずれも捨て曲なしで、まるごと楽しめる。
⑩『3 Feet High and Rising』De La Soul(’89)
(※配信にない音源)
ヒップホップの歴史は古く、’70年代からあったが、本格的に流行りはじめたのは’80年代。アフリカ・バンバータやランDMC の活躍によって、一躍、ポップスの主流の一つに押し上げられた。
その後、’80年代末期に登場したデ・ラ・ソウルをはじめとする「ニュー・スクール」のヒップホップは、それまでのヒップホップとは違ったライトなサウンドへ移行。聴きやすさが増したうえに、リズムトラックのおもしろさも格段に上がった。
サンプリングによるレコードのノイズの心地よさも聴き逃すな。
この記事は、まと。さん主宰の投稿企画「4マスのひらめき」への参加記事です。
以下の9つのキーワードの中から
尺度 知る 五感
入る 時間 着る
育つ 働く 移動
二つを選び、自由に書く企画です。
(今回の記事は
「五感」=「聴覚」
「育つ」=「育てる」
「聴覚」×「育てる」から着想)
募集期間は、
2022年12月26日(月)23:59まで
となっています。
「おもしろそう」
と思った方は、
ぜひ、ご参加ください。
なお、投稿の際は、
この3点をお願いします。
▼こちらは以前、私が書いた攻略法です。
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