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音楽レビュー『"Heroes"』David Bowie(1977)’80年代エレポップの布石+実験的要素

ベルリン三部作の2作目

ロックに苦手意識があります。

ですから、こういう作品を
紹介するのも
得意ではないんですが、

せっかく聴いたので、
紹介させてください。

デヴィッド・ボウイは、
’64年にデビューした
イギリスのアーティストで、

もはや、詳しく
説明するまでもないほど、
有名な方ですよね。

私自身は、
デヴィッド・ボウイの作品は
それほど多く聴いておらず、

『Hunky Dory』(’71)
というアルバムを愛聴していた
時代がありました。

このアルバムは、
結構好きだったんですが、

それ以外の作品は
なかなか聴く機会が
なかったんですよね。

しかし、今回ご紹介する
『"Heroes"』は、
高校生の頃に知り、

いつか聴きたい
と思っていました。

この時代のボウイは、
ジャーマン・ロックに
傾倒しており、

私が18~20歳くらいの頃に
聴き込んでいた、
クラフトワークやカンの
影響が強いと言われています。

実際、このアルバムも
ベルリンのスタジオで
録音されたもので、

前作『Low』(’77)

次作『Lodger』(’79)

と合わせて、
「ベルリン三部作」
と呼ばれていますね。

さらに、これらのアルバムには、
ブライアン・イーノが参加しており、

私自身、イーノ関連の作品も
若い頃にずいぶん
聴いていたので、

余計に本盤のことが
気になっていました。

実験的要素が強いB面

デヴィッド・ボウイの
作品の中では、

「ベルリン三部作」が
電子楽器を本格的に
取り入れはじめた作品で、

その後の、
エレクトロポップへの影響も
強いとされています。

私が聴いた限りでは、
そこまで言うほど、
電子音がバリバリ使われている
という感じはしませんでしたが、

ほんのりと、
ところどころにあしらわれた
電子音がいい味を出している

といった感じでしょうか。

その手の作品で、
特筆すべきは
⑥~⑨のトラックですね。

⑥『V-2 Schneider』の曲名は、
クラフトワークの
メンバーの名前からとったもので、

リズムの雰囲気に
クラフトワークに
通じるものがあります。

でも、やっぱり違うなぁ
と思うのは、
ボウイの楽曲は、
サックスが入ることが多く、

この曲でもサックスの音が
入っているんですよね。

そうったところで、
クラフトワークとは
別物になっています。

ボウイ流の解釈なんでしょうね。

⑦~⑨は、
アンビエント的な
インストになっています。

⑧、⑨には、
イーノも作曲者として
クレジットされていますし、

これは明らかに
イーノの影響だと思います。

音色的にも
イーノ的な感じが強いですが、

ボウイとの化学変化が見られて、
イーノ作品ともまた違った
おもしろい作風になっています。

A面のボーカルワークは
’80年代エレポップの布石

私が気になっていた
B面の方を先に紹介しましたが、
(レコードにはA面〈表〉、
 B面〈裏〉があった)

一般的には、A面の方が
人気があるんでしょうね。

テクノ、アンビエント色が強い
B面に比べて、

A面は従来のボウイの正統な
流れを汲んだロックナンバーが
並んでいます。

ここで聴くことができる
ボーカルワークは、

私が好んで聴いてた
’70年代初期のそれとも違い、

’80年代に出てくる
イギリスのエレポップの
アーティストへの影響が
強いように思います。

独特なタメを効かせた
ボウイのボーカルが
絶妙ですね。


【作品情報】
リリース:1977年
アーティスト:David Bowie
レーベル:RCA

【アーティストについて】
1947~2016。
イギリスのミュージシャン。
’64年にデビュー、
’70年代はグラムロックを牽引。
’70年代末からは、
電子音楽も含む実験的な
音楽にも接近した。

【同じアーティストの作品】

【トニー・ヴィスコンティ プロデュース作品】

※トップ画像は、
 Amazon よりお借りしました。

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