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音楽レビュー『The Electricity in Your House Wants to Sing』i am robot and proud(2006)柔らかくて丸いサウンド

【約1500字/4分で読めます】

【こんな人にオススメ】
・電子音が好き
・インストが好き
・オリエンタルな音楽が好き

【こんな時にオススメ】
・リラックスタイム
・ティータイムのおともに
・朝~お昼

i am robot and proud は

中国系カナダ人、ショウハン・リームによるソロプロジェクトです。

トロント王立音楽院で10年間、クラシックピアノを学び、'90年代の半ばに電子楽器を使った音楽をはじめました。

トロント王立音楽院
The Royal Conservatory of Music, RCM。
1886年に設立されたカナダ・トロントの音楽教育機関。
世界的に活躍する音楽家を数多く輩出している。

プロジェクト名の「i am robot and proud」は、高校時代に手塚治虫の『鉄腕アトム』から着想を得てつけたもので、'01年にデビューしてからもその名義を使い続けています。

インタビューでは

影響を受けた音楽として、イギリスのワープ・レコーズ、リフレックス・レコーズ(ともにテクノ系のレーベル)の作品、アメリカのポストロックを挙げています。

ポストロック:
ロックの一種。従来のロックにはなかった「ボーカルの非中心性(器楽的)」「ロック的でない演奏方法」「構成の実験性」といった特徴がある。
'90年代に生まれた言葉だが、その源流をたどると、'60年代のヴェルヴェット・アンダーグラウンド、'60~'70年代のクラウトロック(ジャーマンロック)、'70年代末のパブリック・イメージ・リミテッド(ポスト・パンク)などに行きつく。

また、電子音楽とともに、地元カナダを代表するジョニ・ミッチェル、ザ・バンドといったアコースティックサウンドにも影響を受けたとのことです。

ジョニ・ミッチェル:
'60年代から活動するカナダのシンガーソングライター。フォーク、ポップス、ロック、ジャズとジャンルに捉われない作風を持つ。
ザ・バンド:
カナダのロックバンド。'67~'76年に活動し、'83年に再結成し、メンバーチェンジも経ながら、'99年まで活動した。

影響を受けた
アーティストからもわかるように

基本的には電子音中心の作風ではありますが、一部にアコースティックな音も交えたサウンドが特徴的です。

アコースティック色がもっとも強いのは⑥(アコースティックギターが使われている)で、私はこの曲にビートルズの匂いを感じました。

電子音主体の楽曲も全体的に音が柔らかく、丸い印象です。

さらに、どの曲もメロディーがキャッチーで聴きやすく、一曲が短いのも親しみやすいところではないでしょうか(11曲も収録されているのに、収録時間は36分しかない)。

また、一般的にはあまり言われないことのようなのですが、私はこのアルバムをはじめて聴いた時、東洋の「オリエンタル」な匂いを嗅ぎとったんですよね(最初に聴いた時は、作者が中国系カナダ人というのは知らなかった)。

①、②を聴いてもらえば、わかるでしょう。

電子音の揺れのある音色、メロディーやコードに中国の音楽に通じるものがあります。

これが意図的なものなのか、自然と湧き出てきたものなのかは、他の作品も聴いてみなければわかりませんが、ほんのりと自身のルーツが表われているようで、おもしろく感じました。


【作品情報】
リリース:2006年
アーティスト:アイ・アム・ロボット・アンド・プラウド
レーベル:ダーラ・レコーズ

【アーティストについて】
カナダ出身のショウハン・リームによるソロプロジェクト。
'01年デビュー。

【同じアーティストの作品】

『Grace Days』
(2003)
『Uphill City』
(2008)
『Bird at Sunshine』
(2025)

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いっき82
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