音楽レビュー『Crystal Silence』Chick Coria, Gary Burton(1973)楽しさと静けさと
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ゲイリー・バートンを知ったのは
音楽好きの先輩と地元の商業施設を訪れた時、その施設で流れているオリジナルの楽曲(もしくはフリー音源か?)について、私が「この曲、好きなんですよね」と言った時のことでした。
その音源にはヴィブラフォンらしき音が使われていたんですね。
それを聴いた先輩が「意外とこういう曲でゲイリー・バートンが演奏してるかもしれないよ」と冗談を言ったんです。
その時点で、私はまだゲイリー・バートンを認識していたわけではなかったんですが、その会話の前後に最近、私がハマっている「ECM」の話をしていたので、直感的にそこに参加しているヴィブラフォン奏者の名前だと認識して、笑ってしまいました。
地元の商業施設で流れている曲に、大御所の演奏者が参加しているはずもなく、それを想像すると笑ってしまったのです(いや、あんな曲に注目する人がいないだけに、あながちありえない話でもない)。
そこからすぐに、サブスクの音源でゲイリー・バートンの楽曲を漁りました。
その時に発見したのが、チック・コリアと共演したこのアルバムです。
このコンビの音源は数が多くないものの、長い間一緒にやっていたようで、ライブ盤の存在も確認しました。
ヴィブラフォンと何気なく書きましたが
意外と一般には知られていない楽器な気がします。
しかし、誰もが一度は聴いたことのある音色ではないでしょうか。
鉄琴の一種で、音の出る板がアルミニウム合金製になっています。
鉄琴よりも低く大きい音が出て、板の下にある共鳴管の上側にファンがついているんだそうです。
このファンが管の上端を開閉し、音量が増減し、ヴィブラート(ふるえ)がかかります。
なお、「ヴィブラフォン」という名前は、このヴィブラートに由来するんですよね。
ピアノとヴィブラフォンの
コンビネーションが抜群
なんといっても本盤の魅力はこれに尽きます。
全体的に静かな曲が多いですが、1曲目などはテンポも速めで楽しい楽曲ですよね。
一部の楽曲に既視感を覚えました。確認してみると、一部の楽曲はチック・コリアの『Return to Forever』の楽曲の再演でした(表題曲⑤など)。
再演と言っても、編成も大きく異なりますし、装いも新たな別の楽曲に感じるほど、違いがあります。
楽しさと落ち着いた雰囲気が共存した不思議な聴きごたえのアルバムです。
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