ジャズと私(7)ジャズを知る前に聴いたロックの中のジャズ
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なかなか王道のジャズにたどり着きませんが、当時の私の守備範囲から言って、そういったものはかなり遠くにあったんですよね。
王道のジャズが好きな方にはじれったいかもしれませんが、しばしお待ちください。
何度も書いていますが、当時の私がもっとも興味を持っていたのは、電子音中心の音楽でした。
'70年代末~'80年代のテクノポップ、ニュー・ウェイヴ、あるいは、'90年代以降のテクノ、ハウスですね。
そんな中で、ジャズに近かったのが、私が「テクノ」と一緒くたにして聴いていた「プログレ」系のアーティストたちでした。
とは言っても、私は未だにピンク・フロイドやキング・クリムゾンは、しっかり聴いたことがないんです。
そもそも「プログレ」という言葉も知らずに、プログレ系のアーティストを聴いていたんです。
当時の私が聴いていたプログレ系のアーティストは、クラフトワークやカンをはじめとするドイツの「ジャーマン・ロック」、
あるいはフランク・ザッパの系譜に属していたザ・レジデンツです。
これらのアーティストたちは「テクノ」のルーツともされ、クラフトワークは完全にその後の「テクノ」の礎にもなりました。
どちらかというと、カンのようなギターサウンドが中心のジャーマン・ロックやレジデンツは、テクノから遠い感じもします。
私がテクノを聴き出した時代は、こういうものも一緒くたに「テクノ」として紹介された時代だったんです。
プログレ系のバンドのプレイヤーに共通するのは、ジャズの影響が強いところです。
カンもそうですが、元はジャズの演奏者だったとか、そういう人が多いんですよね。
レジデンツは、どちらかというと、プレイヤーではなく、テープをコラージュして音楽を作っていたようですから、どちらかといえば、クラフトワークのようなタイプのアーティストです(演奏力に特化したアーティストではない)。
しかし、レジデンツもフリージャズの影響が強いんですよね。
彼ら自身の音楽にもそういうところがあるんです。
もっと言うと、私が音楽にハマるきっかけになった YMO の坂本龍一もフリージャズに影響を受けたアーティストでもあります。
こういったプログレ系のアーティスト中でも、もっともジャズ色が強かったのが、ソフト・マシーンというバンドです(ちなみに、元メンバーのロバート・ワイアットは、坂本龍一のアルバム『BEAUTY』('89)にも参加した)。
私がこのバンドを知ったのは、NHK のラジオで聴いた時でした。
'02年に3夜連続で放送された『プログレッシブ・ロックへの招待』という番組(司会は、DJ、ミュージシャンのサワサキヨシヒロ)があり、そこでこの音源を聴いたんですね。
番組で流れたのは②『Slightly All The Time』だったんですが、一発でこの曲に掴まれて、すぐに CD も買ってしまいました。
私もそれほど詳しくないんですが、彼らはイギリスのカンタベリーという地方のバンドで、「カンタベリー・ロック」というらしいですね。
「カンタベリー派」と言われるアーティストには、ジャズとロックの中間のようなバンドが多いようですが、当時の私はそこを深く掘るまでにはいたりませんでした。
こういう音楽も私にとっては、ジャズへの扉でしたね。
(続く)