ロスジェネの最も大きな損失は自信である
ロスジェネ=ロストジェネレーションあるいは氷河期世代。直訳すると失われた世代。
昨今の著しい少子化も「ロスジェネを切り捨てたからだ」という意見も多い。私の代、2001年卒の大学生の就職内定率は6割弱。大卒フリーターになる人、専門学校へ進学する人も決して珍しくは無かった。それ以上に多かったのは希望の業界を諦め、第二、第三希望の会社に就職した人たちだ。100〜150社に履歴書を送り、面接で悉く落とされた人も数多くいたと記憶している。
あれから四半世紀近く経った今、その世代が40代半ばから50代となった。昨今の凶悪犯罪、強盗などのニュースで報じられる容疑者は心なしかこの世代が目立つ。私の妻がそれを見るたび言うのが「また40代か」。これには同感である。
一方で「これは決して他人事では無い」と常に感じるのも確か。目の前の妻と子が居なければもしかして…。被害者の方には申し訳ないが、いつも加害者側の心情を想像してしまう。きっと加害者だって心の底ではやりたくてやってる訳じゃ無いと。
社会に出て躓くことは皆一様に経験しているだろう。それを基に努力し、豊かな生活を勝ち得ている人が世の中の大半。しかしながら、入った企業がブラックで虐げられて生きてきた人、その環境に絶望して少しでも精神的に楽な派遣労働者になった人もそれは数多くいる。私もその一人だ。派遣労働のぬるま湯に入ったらなかなか抜け出せない。そうして気づいたら30代になっている。このような人、意外といるのでは無いか。この間に失ったもの、時間、収入様々あるが、逃げてきたばかりに修羅場の経験なく過ごしたことで自信を失っていた。
自信を失うとどうなるか。答えは簡単。人として大切なもの全てを失う。自分を信じられないから他人を信じられない。他人を信じられないから孤立する。孤立するから身なりを気を付けない。身なりを気を付けないから不潔になる。不潔になるから部屋を掃除しなくなる。掃除しなくなると物を無くす。物を無くすと新たな物を買う。そして金が無くなる。金が無い不潔な男に女は近寄らない。当たり前だ。そうして気付いたら中年。しかも絶望的な中年。こうなると取り返しがつかない。私はそこまで来ていた。犯罪に手を染める寸前まで。