唇
私にしか作れない感情がある
私にしか見ることができない色がある
たくさんたくさん色まみれになって
真っ白な床に倒れて
わたしそのものが絵の具になって
無造作に横たわる絵画になる
一体あなたにはいくつの色が見える?
ほら
わたしの左足の膝についてる色は何?
わたしの掌についているのは?
唇についているのは?
こうして全力で身体を大きく広げているの
一生懸命表現してるの
気づいてほしいな
わかってほしいな
下手だけど精一杯なんだ
ねぇ
君の身体いっぱいに、この気持ち染み込ませたいよ。
同じ血を分け合って同じものを食べて
同じ言葉で眠りたい
わたしだけの全てをあなたで呼吸したいの 分かって わたしをわたしを全部あなたがわたしまみれになって
同じ絵画で横たわりたい
色は止まらないけどそれでも
あなたをその都度染めていきたい
あなたはどれだけの色を知っている?
ぐちゃぐちゃになったわたしを
美しく
儚く
どろどろになったわたしを
お皿に乗せられた感情漬けのわたしを
体温ごと噛み締めて
私に成りたいと願うように味わって。
またこの野望も、一瞬の間に伝え損ねて、雑多な会話で飛び交う教室の床に捨てられた。
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