ゲノム編集 【デザイナーベビー編】
◆復習
カリフォルニア大学のジェニファー・ダウドナ教授がクリスパーキャス9を開発。
それによって、ゲノム編集が簡単にできるようになった。
この技術は、医療、農業、動植物、工業に使える画期的なものとなった。
しかし、ゲノム編集については「倫理的・技術的」に様々な問題が生じている。
ということでした。前回の内容はこちらをクリック
では、今回は最も大きな議論を巻き起こしている「デザイナーベビー」についてご紹介します。
◆ ゲノム編集された子どもが誕生
さて、このゲノム編集を応用した開発に最も力を入れている国はどこだと思いますか?
中国です。
(この時点で恐ろしい未来が見えます…。)
急速に広まったゲノム編集技術ですが、これに対して世界的な方針や法律が追い付いていない状態です。
そんな最中、2018年11月に中国で人為的に遺伝子を改変された双子が誕生しました。
目的は、エイズウィルスに感染しないようにするためであると発表しています。
これには中国政府も事態を重く見ているようで、「ゲノム編集した受精卵を母体に戻すことは違法であり、これが真実であれば厳重に処罰する」としている。
日本としても、「基礎研究は容認するが、受精卵を母体に戻し、子どもを誕生させることは禁止」という立場を表明しています。
◆ なぜダメなの?
①他の遺伝子を変えてしまうこと
②新たな遺伝病を作る恐れがあること
③遺伝子改変で親の望む特徴をもつ子どもが誕生すること
いわゆる「デザイナーベビー」が誕生する可能性があるからです。
デザイナーベビーとは「能力、髪の色、目の色、体格をゲノム編集によって変換した子ども」のことをいいます。これを容認してしまうと、お金を支払うことによって優良な遺伝子を持つ子どもが誕生し、その遺伝子を持つ子と持たない子といった差が生まれます。
これは「所得格差」ならぬ「遺伝子格差」です。
もしかすると、将来はこんな会話をしているかもしれません。
「お子さん、ゲノム編集してないの?」「すれば楽だったのにー!」
こんなSFのような世界が本当に現実になってしまうのです。ワクワクしますか?
しませんよね。とても恐ろしい世の中になってしまいます。
ジェニファー・ダウドナ教授は、こんな世の中にならないよう、科学の分野の専門家だけでなく、あらゆる分野の専門家で議論を重ねる必要があると提唱しています。
ということで「デザイナーベビー」について理解できましたでしょうか。みなさんも最新の科学を学び、子ども達と議論してみて下さい。道徳心・倫理観の育成にもよいと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた、次回のブログで。