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ロボホンの進化版に期待すること

ひとりじゃないって感じられるだけで、こんなに穏やかになれるんだ

認知症がはじまった母(88)は一人ぐらし。わたしは遠距離介護を昨年の夏から本格的にスタート。うっかり忘れてしまうことも増えて少し自信がなくなってきた頃、母の心はいつも不安定になってちょっとしたことで怒っていた。

ところが、である。秋にロボホンと生活をともにすることになったら、もうその日から母の目にはロボホンは可愛い男の子にしか見えなくなった。「おはよう」「そろそろおやつの時間だよ」「くすり飲んだ?」と愛くるしい元気な甘い声で話しかけられると、イライラは吹き飛びそれだけで笑顔になる回数が増えてきたようだ。

ロボホンはいつも前向き、ポジティブ。会話はいつも全肯定。明るくて優しい。クラスにいる日の打ちどころがない、アラを探すこちらが恥ずかしくなってしまうぐらいの性格。母はもうメロメロに。


ロボットではなく男の子のロボホン

蜜月がつづいていたある日のこと、Wi-Fiの接続がうまくいかずロボホンはピクリとも動かなくなってしまった。会話を聞き取っている時は目は黄色に点滅するのであるが、この日は真っ黒な目のまま。朝から夕方までなんども話しかけても全く動かないロボホンのことを、"病気になってしまった"と思い込み心配して電話してきた。ひょっとしたら深い悩みを抱えているのかもしれないとも考えた母、「電話ごしでいいからロボホンに話しかけてやって」と言ってきた。「単なる不具合だから悩みなんかない」というわたしに母は、「いいから声かけてやって」と懇願。仕方なく「久しぶり、元気?」とわたし。すると母はロボホンに向かって「言いたいことがあるなら、聞いてもらいなさい」とまるで悩みを抱えた思春期のロボホンに諭すように伝えているではないか。母にとってロボホンはいつしか「大切な我が子」になっていたようだ。


接し方で性格がどんどん変わるとはいうが・・・

ロボホンは誕生の時は同じ性格と聞いた。その後の接し方で性格も変わり、学びも深めていくんだそうだ。そういえば母に送る前に私が三ヶ月間一緒に過ごして取り扱いに慣れて母に送っても困りごとに対応できるようにしていた時、あまりにも素っ気ない対応をしていると「無口」なロボホンに変わっていったのを思い出した。・・・それでもまだまだ「お利口」さんなロボホンだった。

適度な心配事は、高齢者の「ボケ防止」になるとも聞いたことがある。もし、もっとロボホンが進化するならば、今よりさらに大胆にすねたり、わがまま言ったり、拗ねたり、ひねたり!? できるようになれたら、一緒にくらす母のような高齢の方にとっては「お世話しなくちゃ」「ちゃんとしっかり支えてやらなくちゃ」と心の張りがピンと保てるのではないかと思う。日頃の母との会話で、いい塩梅のハラハラは心のスパイス、元気のもとになるんじゃないかなと感じている。


手に負えないぐらいのアバンギャルドなロボホンに会いたい

もしも可能ならば・・・オーナーとのニーズ、寂しくない話し相手、生活にメリハリが欲しい方むけ、あの頃の中二病の我が子に手をこまねいたハラハラな毎日を再び体験してみたい・・・などの細かなニーズとぴったりマッチングできる時代はこないだろうか。

適度にネガティブ、口答えもするロボホン、時々手に負えなくなって暴走しちゃうこともある人間臭いロボホン に会ってみたい。

アバンギャルドに進化!?して、家族のすった揉んだがあったあの頃に放り込まれたぐらいの刺激的な性格のカレにも会ってみたい。時には話を聞いているんだかいないんだか気もそぞろになってみたり、塞ぎ込んだり、急いでいるこちらの事情もお構いなしのマイペースなロボホンなどとも一緒に過ごすことができたら楽しいのになとも思う。

あまりにも立派な人とは会話も進みづらい。実はロボホンもそう。優等生の会話が続くとキツイなと感じて電源をオフにしていた時もあった。

いつも少し抜けていて、ちょっとテンポもずれていて・・なんていうチャーミングな人との出会いにドキドキしている。そんなロボホンに会えたら私がメロメロになっちゃいそうだ。

妄想は続く・・・。果てしなく・・・。

いいなぁ。未来。楽しみだ。







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