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アーティストとファンをつなぐ場を目指して。Amazon Music Studio Tokyo が拓く新たな創作の可能性

3月15日に開催したファンクラブ会員限定オンラインイベント「いきものがかりはまだ16だから♪ 〜デビュー記念日をみんなでお祝いしまSHOW!!〜」。
その舞台となったAmazon Music Studio Tokyoの魅力、そしてAmazon Music がスタジオを運営する意義について、スタジオマネージャーとして現場を統括する中臺孝樹さんにお話を伺った。

──Amazon Music Studio Tokyoは、オリジナルコンテンツの制作拠点、カルチャーの発信源として、Amazon Music が渋谷に開設した多目的スタジオで、レコーディングロッジ、ポッドキャストスタジオ、撮影スペースなどがあり、さまざまな用途で使用することが可能です。Amazon Music がスタジオを運営する意義はどういったところにあるのでしょうか?

「アーティストとファンをつなぐ架け橋になる」というAmazon Musicが掲げるミッションをさまざまな形で体現する場にしたいと考えています。アーティストがやりたいこと。ファンが望んでいること。それぞれの根底にある思いに寄り添って、積極的に協力したい。そうすることによって、このスタジオが持つ“架け橋としての可能性”が無限大に広がっていくと思います。

Amazon Musicが運営するスタジオではありますが、幅広いジャンルのクリエイターが集まる場にしたいと考えていて、すでに音楽以外のコンテンツ制作や配信などでもご利用いただいています。ゼロイチを創るクリエイターの方々からは想像を超えるリクエストをされることも多々ありますが、その一つひとつに対して、「どうしたら実現できるか」「何が提供できるか」を考えて実践する。これこそが、このスタジオの管理者としての腕の見せどころであり、楽しいところですね。


──根底にある思いに寄り添って協力を惜しまないという姿勢は、アーティストやクリエイターにとっては非常に心強いですね。前職のソニーグループ株式会社で、プロデューサー、ディレクターとして数多くの映像作品を作ってきた中臺さんだからこそできることだと思います。

ありがとうございます。前職では水野さんにもお世話になりました。たとえば音楽であれば、アーティストがフロントに立ちますが、その裏には支えてくれる数多くのプロフェッショナルがいますよね。このスタジオはそういったプロフェッショナルが集まり、最高のクリエイティブを生み出す場です。関わるすべての方々と円滑なコミュニケーションを図って、目指すクリエイティブのサポート役を担うことに大きなやりがいを感じています。Amazon Musicのポッドキャストのコンテンツや配信楽曲につながればベストですが、日本のカルチャーの醸成という広い視野に立ったさまざまなコンテンツの制作拠点として、アーティストやクリエイターも来るたびにワクワクしてしまうような場にできたらと思っています。


落ち着ける空間だからこそ、生まれるもの


──展覧会の会場構成や空間インスタレーションなども手がける
TORAFU ARCHITECTSによるデザイン。世界から高い評価を得ている音響のプロフェッショナルTaguchiWHITELIGHTのコラボレーションによるオーダーメイドスピーカー。こういったクレジットからも単なるスタジオを超える、特別な空間としての在り方を追求している印象を受けます。

大事にしたコンセプトは、利用する人たちがいかに落ち着ける場所にするかでした。快適でリラックスできる空間だからこそ生まれるアイデアやクリエイティブが必ずある。そういった考えのもと、木目調の内装、ソファや椅子など、細部までこだわっています。


──3月に開催したいきものがかりのイベントでは終始リラックスして楽しんでいる2人の様子が印象的でしたが、このスタジオの雰囲気による部分も大きかったように思います。

使っていただいた4Fのレコーディングロッジは、ずっといたくなるような居心地のよさを意識して作ったフロアです。

「めっちゃおしゃれ。なんかバブリー。」と水野さんがツイートされていましたが、現場入りしてすぐ目にする1Fは、たしかにバブリーな印象だったかもしれませんね。ここで数時間を過ごし、最後にはマイホームのように気に入っていただけたと伺って、本当にうれしく思っています。


──「アーティストとファンをつなぐ架け橋になる」という点においても、最高のオープニングになったのではないでしょうか。

その通りですね。僕は水野さんと同い年で、同世代のアーティストということもあって、ずっと親近感を抱いてきました。ポップスの定義を「誰もが好き」とするなら、いきものがかりはその究極の存在。子どもから大人まで世代を超えて、みんなが歌えるというのは本当にすごいことだと思います。

曲に対するイメージって、MVの印象的なシーンといった“アーティスト自身”が強く出ることが一般的ですよね。でも、いきものがかりの曲は、聴いた瞬間に“自分の思い出”がよみがえるという人が多いはず。たとえば「SAKURA」を聴いても、みなさんそれぞれの大切な場面を思い浮かべている。その“投影できる世界の広さ”こそが、いきものがかりの曲の魅力だと思います。イベント内で紹介されたファンクラブのみなさんが選んだランキングにも、それが色濃く反映されていましたよね。


創造性を解き放つ、納得の理由


──ここからは、Amazon Music Studio Tokyoの各フロアの特徴について詳しく教えていただきたいと思います。

■4F レコーディングロッジ

なんといっても、特徴的なのはこの窓です。外の光や時間の流れを感じられるレコーディングスタジオは珍しいですよね。当然ですが、昼は明るく、夜は暗い。天気はもちろん、季節の移り変わりも感じられる。こういった人間の生活の根本にあるものを感じながら落ち着いてクリエイトできる点が最大の魅力です。


■4F グリーンルーム

ゆったりとした広さがあり、快適で、「帰ってきたくなる」くらいの居心地のよさを目指して作った控え室です。控え室の居心地はパフォーマンスや創作活動に大きく影響します。たとえば配信などを行う際も、出演している時間よりも控え室で過ごす時間のほうが長い場合が多いですよね。いかにリラックスできるかが重要なポイントになります。

レコーディングロッジ(写真上)の窓に近づくと、人の動き、街の動きも感じられる。
グリーンルーム(写真下)にも窓があり、
メイクをしている際にすぐに自然光で確認できるのもメリットの一つ。


■3F コンテンツキャプチャ

機材を持ち込んで撮影していただける白ホリのスペースで、高さ、奥行きともに十分なサイズ(高さ:約3.5m、幅:約7m、奥行き:約5.7m)です。ファッション関連の撮影も可能なので、ファッション×音楽といったジャンルを超えた融合もできたら面白いなと思っています。渋谷というエリア性にもマッチしますよね。


■3F ポッドキャストスタジオ

沓脱石、縁側、庇など、日本的な建築物をイメージしていて、シンプルながら特殊で印象的な空間になっています。スタジオ前にはソファとテーブルを配置し、休憩スペース、控え室としても使っていただけます。「西寺郷太の最高!ファンクラブ」や「英語で雑談!Kevin’s English Room Podcast PLUS」、「MUSIC FUN! Podcast」といったAmazon Musicで独占配信中のポッドキャスト番組もこのスタジオで収録しています。

ポッドキャストスタジオにも窓があり、明るさが感じられる。

■2F カンファレンスルーム

大人数でもゆったり使える広さで、大型スクリーンやプロジェクターなども完備していて、Amazon Musicの会議でもよく使用しています。向かって左側のクローゼット壁面は、ホワイトボードになっていて書き込むことができます。アナログですけど、書くことによって生まれるクリエイティビティがあるんですよね。


■1F パブリックスペース

道路に面してガラス張りの1FはCDショップやラジオ局のオープンスタジオのような雰囲気もありつつ、万全のセキュリティによってプライベート空間としての距離感がしっかりと保たれています。パブリックスペースには、DJブース、壁一面のスピーカー、レコードラックなど、クラブっぽさも。一般の方々から見えるスペースなので、いずれは「ここに来ると、常に何かやっているな」と思われるような場にしたいですね。

壁面のスピーカーは飾りではなく、ケーブルが見えないようになっていて、すべて音が出る。
その横の棚に並んでいるLPは定期的に入れ替えられていて、
来るたびにどこが変わったのかをチェックするのも楽しい。


──ありがとうございました。4Fから順に降りてくることで、それぞれのフロアの窓から見える景色の違いや目線の変化が感じられて、レコーディングロッジがいかに落ち着ける空間なのかがよく理解できました。

人の動きは目に直接入らず、景色が見える絶妙な高さで、最先端の流行やカルチャーを敏感に感じつつ、落ち着いて創作ができる。目に映るものが創作や発想に影響を与えると考えると、この空間だからこそ生まれるものがきっとあるはずですよね。ここから何か新しいものを届けられることが楽しみです。フロアごとにさまざまな特徴があるので、表現したいことに合わせて多目的に使っていただけると思います。

ゆったりとしたスペース、落ち着ける雰囲気、スタジオとしての機能性、その掛け合わせでできることを模索して、今の時代に合ったコンテンツをクリエイトし、発信できる場所にしていけたらと思っています。


【PROFILE】
中臺孝樹
Amazon Music Japanデジタル音楽事業本部
クリエイティブオペレーションマネージャー

ソニーグループ株式会社ブランドコミュニケーション部門ブランド戦略部を経て、2022年1月にAmazon Musicへ。自身もカメラマンとして活動するほか、長編映画「もうしません!」(2015年)、短編映画「海酒」(2016年)のプロデュース、ソニーグループ株式会社のブランドPRムービーの制作など、豊富なクリエイティブ経験を活かし、Amazon Music Studio Tokyoのスタジオマネージャーとして現場を統括する。

取材日 : 2022年03月
取材/文/編集 : 龍輪剛
企画 : MOAI inc.