慶應義塾大学SFC研究所地域おこし研究機構連携自治体合同研究会2024in壱岐
こんにちは!久々の更新になります。壱岐なみらい研究所事務局の中村です。
今回は、壱岐なみらい研究所のように、慶應義塾大学SFC研究所と連携して政策研究などに取り組んでいる自治体の合同研究会を壱岐市で開催しましたので、その内容をまとめてみたいと思います。
主体的に挑戦している地方公務員(改めて、レアキャラだなぁと感じた素敵な人たち)が集まって、活動をシェアすることで、「触発と共創」の充実した時間となりました。
地域おこし研究機構とは
全国各地の地域とSFC研究所(社会イノベーション・ラボ)が連携して、地域に根差した実学の研究開発を行うためのコンソーシアムです。
大学院政策・メディア研究科の社会イノベータコースで推進する「地域おこし研究員」プログラムと連携し、全国各地の地域の現場に根ざした「地方創生の実践」と「研究開発」の相乗効果を追求する、現場での実践的な研究開発を行います。
本コンソーシアムでは、慶應義塾大学SFC研究所の研究者による研究推進や助言・支援のもとで、自治体・公的機関・企業等から派遣される研究スタッフや関係者への学習機会を提供しながら、共同での研究・開発を推進します。
DAY1.壱岐市の取り組み(地方創生、SDGs、脱炭素、テレワーク、エンゲージメント)
初日は、全国各地から集まっていただくので、移動日兼壱岐市の概要を知るための視察day。
昨年、脱炭素チャレンジカップ2024でグランプリ環境大臣賞を受賞したRE水素システム(再エネ×水素のエネルギーマネジメントシステム)と併設する陸上養殖場の視察
その後、壱岐市の地方創生の拠点となっている壱岐テレワークセンターに移動して、施設の視察と地方創生、SDGs、テレワークなど先駆的に取り組みを進めている各種事業の概要説明。
最後に、壱岐市政策顧問(株式会社リクルート)の中村駿介さんから、持続可能な地域社会の実現に向けて「エンゲージメント」に着目した政策と、その実現のために今、壱岐市が取り組んでいる市役所の組織開発の取り組み。例えば、Slackを活用したデジタル本庁舎構想、篠原市長が推進している「シン市役所〜前向きで主体的な市役所〜」の実現に向けた取り組みの方向性など解説いただきました。
DAY2.合同研究会
2日目は、終日、壱岐テレワークセンターに缶詰で、合同研究会!
ポスターセッション形式で、参加自治体ごとに各研究員の活動のシェアと、より深めていくためのグループ対話を行いました。
まずは、全体に研究テーマ概要を説明。その後、関心のあるテーマのテーブルに別れて対話しました。
研究テーマ一覧
花巻市(宮城県)
学校と地域の連携・協働による新たな地域再生の一方策〜JR土沢駅を拠点とした共創の東和づくりをめざして〜
マンガを活用して読書を楽しく〜こどもの自発的な学びにつなげる〜
公共施設が地域コミュニティと「自発的で楽しい防災活動」を実践し、同時に地域の担い手を掘り出す
花巻市の地域資源を生かした”ご当地スポーツ”によるまちづくり〜障がいの有無に関わらず運動・スポーツが楽しめるまちを目指す〜
火災予防広報における新たな手法の開発〜地域を巻き込む野火火災予防〜
大刀洗町(福岡県)
自分たちでつくる新しい学校!「たちあらい高校」プロジェクト
まほうのどうぐ開発プロジェクト〜未就学児の健康づくりをいつもの生活に。食や遊びを通して行動変容を促す〜
こねっとランチで町にシンクタンクをつくろう
コスモポリたちあらい(コスモポリタン+大刀洗)
公民館を中心とした地域住民の交流拠点作りプロジェクト
大刀洗町まちの人事企画室構想〜まちづくりが人を、人が仕事を呼び込む好循環〜
長島町(鹿児島県)
古墳の力で地域再生へ〜古き良きを知り未来へつなぐ〜
ぶり奨学プログラム〜つなぐプロジェクト〜
住宅支援プロジェクト
就職支援プロジェクト
東川町
都市部企業から地方派遣された人材を研究員とするリビングラボ運営の仕組みの研究〜東川町リビングラボの実践に基づく分析〜
壱岐市
市民の意欲に投資する「壱岐なみらい倶楽部」の創設〜人がつなぐ住み続けたい壱岐の島の実現〜
未利用水産資源の価値化プロジェクト〜持続可能な漁業の実現を目指して〜
まちづくり協議会組織進化プロジェクト〜まちづくり協議会を未来に投資する装置に〜
エンゲージメント組織開発プロジェクト〜職員同士も市民とも信頼で結ばれて、共創する組織へ〜
壱岐の人々の「やってみたい」を応援する郵便局に〜プロダクト開発型コミュニティビジネス支援モデル〜
各研究所の運用方法の共有
ポスターセッションの後は、これらのテーマがどういう環境の中で生まれてきているのか、各地域での研究所の運営方法を共有することで、より良い活動に繋げていくための時間でした。
https://www.town.tachiarai.fukuoka.jp/js/finder/upload/files/jichishinkou/ATFチラシ.pdf
各地域ごとに工夫がされていて、個人的には住民の皆さんとオープンに研究活動や成果発表をされていたり、積極的に地域に出ている、関わっているところが印象的でした。
壱岐なみらい研究所からは、Day1 である程度お話ししていましたので、研究活動の中で大切にしている「ゴールデンサークル理論」について、共有しました。
壱岐なみらい研究所では、「WHY(なぜ)」を毎回、問います。それは、誰でもどうしてもHOW、WHATの具体的に何をするのかという手段にばかり気を取られて、目的と乖離してしまいがちになるためです。「WHYを問う」ことで、軌道修正や発散した思考を収束させていくようにしています。今回、各地の研究テーマを伺う中で出てくる「悩み」も、WHYが言語化できていないので、現場で試行錯誤していても、結果がうまく出ない。壁に当たってしまっているといった事例がいくつかありましたので、少しでも参考になればと思いました。
ゴールデンサークル理論とは、「WHY(なぜ)→HOW(どうやって)→WHAT(何が)」の順番で伝えることで共感を得られる、という理論です。説明を「WHY(なぜ)」から始めると、他者の感情や信念の部分に触れられるため、行動を促しやすくなります。
ゴールデンサークル理論は、マーケティングコンサルタントのサイモン・シネックが提唱した考え方で、人間の脳の働きに沿っていると言われています。
(出典:TED「Simon Sinek: How great leaders inspire action」)
ワールドカフェ「各々の地域おこし研究所がもっと触発・共創しあうには?」
合同研究会の最後は、慶應義塾大学山口覚先生のファシリで、地域おこし研究所がもっと触発・共創しあうには?をテーマに、ワールドカフェを開催しました。
地域がより良くなるために向き合っている者同士、同じ悩みも抱えながら、各テーマや人に共感してきた1日の最後ということもあって、すごく前向きな時間でした。Slackなどのデジタル活用や定期的な会議、合宿、視察などの自治体の枠を超えたコミュニケーションの活性化や、役所内の巻き込み、地域との連携、学術的な発表だけでなく、一般向けにもわかりやすく伝える広報の必要性などなど、これかの活動につながるアイデアがたくさん生まれました。
そして、ワールドカフェ形式が良かった。各アイデアは、参加者一人ひとりから出てきた内発的なものなので、今後の行動に主体性が発揮されるような仕組みになったんじゃないかと(勝手に納得してました。そこまで設計されていたのか。。)
非常にモチベーションの上がる機会になりましたので、今後も、自治体間でも連携して、お互いに高め合いながら、各地域がより良くなるような活動を、そして、それが全国各地の課題解決にもつながるように、研究活動を推進していきたいと思います。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。