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推したい会社:キッチンスタジオ月
料理家 ハットリミドリ
すてきな取り組みを推したい!
彼女の名前はハットリミドリさん。
友人からご紹介いただいた料理家だ。
東京都文京区の路地裏の昭和の長屋をリノベーションし活動している。
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https://reciplus.jp/#__service
1階は料理教室やレシピ開発のためのキッチン、2階には料理の撮影をするためのスペースと年季の入ったタンスが置いてあり、契約の際に大家さんからタンスも込みで使って欲しいと相談されたようで引き出しには箸や茶碗など、料理撮影で使う小物や備品入れとして活用している。
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長屋の外壁には金子荘「月」という表札があり玄関前には立派は月桂樹の木が来る人を出迎えてくれる。月桂樹(またの名はローリエ、ローレルとも呼ばれる)はシチューなどの煮込み料理に使われるハーブ。料理家としてここを拠点にしたいと思った大きな決め手でありアトリエ月の名の由来でもある。
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けっして広くも新しくもないのだが、なぜだか居心地のよさがある。あるものをありのまま。彼女の人柄のようだ。 因みに月の隣には、金子荘「紅」 人々を誘うのは紅葉の木。 路地裏の金子荘はノスタルジックな趣はあるが、ここを職場として選定した彼女には独特の感性があるようだ。
さて、そんな彼女が取り組んでいるのは「タイアップ企画」個人事業主になって、会社員時代とは違った困難を痛感しているという彼女。 小規模なので何から何まで自分でやらなくてはならず日々雑務に追われやりたいことが実現できずに悩んでいたという。
自分自身が潰れてしまいそうな危機感や焦燥感を感じる中、同じく苦戦している米糀屋をスタートさせた同級生で友人みずほさんから相談を受けた。 米糀をもっとたくさんの人に知ってもらうにはどうしらよいか…友人の相談を受けミドリさんは試食販売や米糀の魅力を伝えるワークショップ開催を提案するもみずほさんは人前に出る勇気もなく、まず何から準備したら良いかもわからない無いと…。何より一人だと限界だと。
自分自身の経営の厳しさに直面していたミドリさんが双方にメリットのある戦略として思いついたのがタイアップ料理教室。 糀屋みずほさんと料理家みどりさんが一緒に1つのレッスンを開催するというシンプルな企画。
みずほさんもミドリさんと一緒なら心強いと一歩を踏み出せ、ミドリさん自身も米糀を使った料理なら心と身体に優しい家庭料理を伝えることができるし活動の幅も広げられる。 彼女たちは共に試行錯誤しながら毎月旬の食材を使った心と身体にやさしい料理教室を開催し続け1年以上経った今ではファンが増え、告知を出すと毎回満席の反響のようだ。リピーターからは開催リクエストを催促されるまでに成長した。
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ミドリさんは人のためと思った行動は実は自分の利益にも繋がったと話す。何より健康的な料理を広めることを一緒に頑張れる仲間ができたことは原動力になったとも。その後ミドリさんは、自身のアトリエでスリランカカレー、フレンチ、ワイン、米粉パンと続々と一人で頑張る専門家たちとタイアップレッスンを企画し開催している。 そんな取り組みをSNSで発信しているうちに、彼女の元に経営や方針に悩む個人事業主やワンオペ店主らから相談される機会が増えたそうだ。 でも彼女は料理家。コンサルタントではないので相談料を取るほどではないけどボランティアで奉仕するというわけにもいかない。
でもなぜか相談が続々と続き 「これって、、決断しなさいってこと」 だと思ったとのこと。 きっとそう!大げさに言ったら、天の啓示。 そう思考を切り替えて、ミドリさんは自分ができそうな内容であればチャレンジをサポートする役割をしてみようと覚悟を決めたらしい。
ただし彼女は来るもの拒まずというわけではないという。理由は自分自身が堂々と紹介できるものでないと売れない。消費者を欺くこと、裏切ることだけはしたくない。だからまずは「おいしい」感動がある商品であることは大前提で、何より作り手がなぜ、その商品を作っているのか、という動機に情熱を感じられるか彼女なりに事前の聞き込みやリサーチをするそうだ。 彼女に会うたびに新たなタイアップの取り組みを聞く。たとえばプロ並みの縫製技術を持つ主婦とタイアップして制作したオリジナルエプロン。
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制作のノルマや制限を設けずに在宅でも自分のペースで取り組める約束にしたらしい。そうすれば家庭の諸事情があっても作り手にとっては無理なく製作ができ自分のやりがいにもなる。アトリエ月にとっては小ロットで資金に無理なくオリジナル商品を仕入れることができる。双方にとってメリットがあるという。何よりも思い入れのある商品を共に作り上げる喜びがあるという。
現在進行形で取り組んでいるのは、お弁当作家ちあきさんとの新企画。ちあきさんは3人の子育てと親の要介護で生活に追われ、本当はチャレンジしたかったお弁当屋さんの夢があったという。でも自分はもう還暦でミドリさんはやりたいことをどんどん実現している姿を見て、せめて何か手伝いならできると夢に向かって突っ走るミドリさんのサポートを申し出たそうだ。
そこでミドリさんはちあきさんに意志を確認してみた。無理強いはさせたくないし、たとえどんな技術があったとて本人のやる気がないのにサポートしても意味がない。だから「本心ではどうしたいのか?」を確認するそうだ。自身の飲食店勤務や運営の経験上、想定すべきリスクやタスクを伝えた上、最終的に時間をかけ本人の意思を確認するそうだ。本人の「やりたい」という情熱を確信しないと動かないそうだが、確信したら実行日をすぐに決めて動くそう。
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ミドリさんのこのマインドは板前の父親背中を見て染みついた心得だという。ミドリさんの父親は60歳過ぎてから娘たちが置き去りにしたピアノや英語を学び始めたそうだ。やがてスラスラとメロディを弾けるように演奏したり、外国人の前でスピーチをしたり。チャレンジに年齢を言い訳にはできないということを口数少ない父親から学んだという。
かく言う私も実は「コーヒーが育む学びと未来」というコンセプトのもと事業に取り組んでいる。ご縁があり2年前、ヒマラヤを訪問した際に直面した女性や子どもたちの生活を目の当たりにした際に何とかしたい!という気持ちになった。使命感に突き動かされコーヒーのことをはじめてしまったのである。
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大胆にスタートしたが人々の暮らしを守るための運営は簡単なことではない。現地の人々や環境を守るためにはフェアトレードが必要。しっかり対価を払い、環境にもやさしいコーヒーは大量生産を主にした珈琲ほど安くは提供できない。とはいえ、ビジネスとしてボランティアというわけにはいかない。
志はありつつも、経営は空回り・・・実はそんな時に友人に紹介されたのがミドリさんだった。 彼女の提案は珈琲豆そのものを売るのではなく、私が珈琲農園をスタートした想いを伝えるエシカルな消費の提案。彼女のアトリエ月では保健所で製造許可を取得しており、不定期でマルシェを開催している。彼女はヒマラヤのコーヒーを引き立てるためのお菓子とコーヒーをセットにした商品を作ってお客さま一人一人にコンセプトを伝えた。 コーヒーとお菓子をセットにすることで利益を出すための工夫とインパクトを作りたいと。
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彼女が今一番やりがいを感じているのは、個々の想いや情熱を伝えることだという。お客さまはその想いに投資してくれて、コーヒーの継続に繋がればよいと。実際にこのセットを買ってくれるお客様は自分の買い物で誰かが助かるなら喜んでと伝えてくれた方もいたそうだ。
ミドリさんはチャレンジする人々に必ず言うことがあるそうだ。
それはチャレンジしたからといって必ずしも成功するとは限らない。叶えたい夢があるのにチャレンジしないまま終わることは失敗より大きな後悔を生むと。だから諦めるのではなく、一度はチャレンジする後押しができたらと。
今後は、もっと一人でがんばっている人同士のつながりを広げて各自の持つ魅力的な商品の販路を広げていけるように成長したいと意欲的に行動しているミドリさん。 頼られることで共に歩める喜びや情熱を感じているのは、彼女自身なのかもしれない。
私が彼女を推す理由は、彼女の想いと行動のすばらしさです。
そして、女性が生き活きと自分らしく輝いて生きていける社会は、
みんなに笑顔としあわせをもたらしてくれると思っています。
社会を変えていくのは
よそ者
若者
ばか者
そして、女性!
そう、ミドリさんは、社会を変えていける人なのです。
彼女を応援することで心と身体にやさしく、地球にやさしい活動になると信じています。