イキダネ!大湊!ねぶた紙貼りツアー2013(イキダネvol.3)
《こちらは2013年7月に開催した旅に関するfacebook投稿をリライトしたものです》
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イキダネ!プロジェクトの第三弾は、本州最北端の下北半島、大湊に行ってきました。
今回は大湊ねぶたの制作現場にお邪魔して、職人さんの想いのこもったお話を聞くとともに、紙貼りというめったにできない体験をしてきました。
―大湊ねぶたの概要―
大湊ねぶたは青森や弘前のものほど大規模ではありませんが、地元の皆さんが手作りで作り上げる、アットホームなねぶた祭りです。
ねぶたの制作は各町内や職場単位で行われており、8月第一週の金・土・日に開催される本番には、大湊地区の各町内会とむつ市城ヶ沢、むつ市役所、海上自衛隊大湊地方隊などの12団体が出陣します。
「参加している人だけでなく、観にきてくれるお客さまに楽しんでもらうために」という想いから、制作者のみなさんは春から夏への4ヶ月間、毎日休みなしで夜中までねぶた制作に没頭するのです。
話によれば下絵は2月後半に書きあげるとのこと。1年の半分はねぶたに費やしていることになりますね。
ねぶたはお祭りが終わると解体され、また次の年、新たなねぶたを組み上げます。
今回、制作者で師匠のタケシさんとその弟子の大久保さんのお二方にお話を聞くことができました。
師匠は現在48歳(訪問当時)。21歳からねぶたを制作し始め、今年でなんと27台目だとか。
こちらの町内の作品は制作賞という賞を4年連続で受賞しており、今年は5年連続がかかっているそうです。
「大湊ねぶたを青森の人が真似してくれたら、アイデアを取り入れてくれたら」
と話すのは大久保さん。それも大きなモチベーションになっているのですね。
「仕事は別に持っていて、趣味でやっているようなもん。だから自分たちで時間を作ってやっている、昨日も2時までやってたなあ」
と語る師匠タケシさん。
寝る時間を惜しんで制作に勤しみながらも笑顔で語れてしまうところに、ねぶたが師匠タケシさんの人生そのものといいますか、生きがいの一部になっているということを感じ、その強い想いに感動しました。
―ねぶたの制作工程と職人のこだわり―
大湊駅から車で5分ほど行ったところに、タケシさんと大久保さんのいらっしゃる「大湊上町」の皆さんの制作小屋があります。
青森県内で広く行われているねぶたですが、専用の制作小屋を持っている地域は実はあまり多くないのだそう。
それでは、タケシさんと大久保さんの制作の様子を見てみましょう!
◆ねぶたの制作行程
まず、デザインの元となる一枚絵を描き上げます。(これだけでも素敵です!)
その絵を元に全体構成をイメージしながら木材で基礎となるフレームを組み上げます。
ねぶたの輪郭や細かなパーツは針金で形作っていきますが、細かな設計図もないとは…まさに職人のなせる技ですね!
同時に照明の配線作業を行いますが、ここまでに80日程度を要します。
次に、少し厚手の和紙を針金の周りに貼っていきます。見学の際はまさにこの段階で、私たちも実際に紙貼り体験をさせていただきました。
紙を貼ったら、墨入れを行い、パラフィン(ろう)でコーティングです。
ろうを塗ることで、色がにじみにくくなり、より発色しやすくなるそうです。
最後に、師匠が色付けを行い、筆やスプレーを用いて、ねぶたに華やかな色を塗っていきます。墨入れから10日ぐらいで完成まで持っていき、怒涛の追い上げとなるとか。夜通し作業することもあるそうです。
◆電球へのこだわり
使われる電球の数はなんと500~600個と、他の団体の2倍ほど。今は白熱電球自体ほとんど製造されておらず、これだけの数を集めるのが大変とのこと。前々年の電球をもう一度使ったり、他のねぶたで使用されたものなどを集めているそうです。
蛍光灯ではなく白熱電球を使うのは、温かみのある光で発色に対する独自のこだわりから。
電球が多い分搭載する発電機は他団体よりも多く、10台近く計25kgを積んでいます。
このように、ねぶたは下絵から大迫力の立体へと作り上げられていきます。
少し見学をさせていただいただけでも、とても繊細で根気の要る作業でしたが、毎年進化したねぶたを作り続けていらっしゃる皆さんの、ねぶたへの深い愛情と、強い想いを感じました。
-ねぶたの和紙貼り体験-
制作現場を見学中、大久保さんの粋な計らいで和紙貼りを体験させていただくことに!
骨組みとなる針金に木工用ボンドで縁取りしてから、和紙を貼っていきます。
大久保さんの助けをいただきながら、いざ体験です。
『ボンドが出ると色が載らなくなってしまうので出しすぎないように』
『紙の表面はつるつるな方を採る。ふわっと乗せる感じで貼っていく』
『カッターは奥までいれるとすぐ使えなくなってしまうので先端で』
『針金の段差があるところは紙を押したくなるけど押さないで』
『影に見えているところに沿って切る』
『繊維少し残すぐらいの気持ちで切るときれいにできる』
・・・・・等々のアドバイス。
参加者はみんな真剣そのもの。「失敗できない!」という緊張感が伝わってきます。
貼り直しが利かなかったり、隣の箇所にすでに和紙が貼ってあるところは、下に貼った紙を切らないように上の繊維だけを切る感覚を身につけないといけない(まさに紙一重!)など、体験だけではわからない難しさも教えていただきました。また、和紙なので湿気で切れ味が全然違うのだそうです。
「様々なアドバイスを受けながら行ったのですが、とても難しかったです。」「胴体の上の部分や入り組んだところはどう和紙を貼っていくのだろう。」
と紙貼り体験を終えた参加者たち。
師匠からも無事OKサインをいただくことが出来ました。
なかには上手で「ここに残って、手伝ってくれ〜!」と言われた参加者も。
私たちが貼った部分もそのままに本番で引き回してくれるとのことで、出来上がりが楽しみです。
―その後―
8/2~4に大湊ねぶたが開催されました。
参加者が和紙貼りしたねぶたは、師匠がそのままの形で絵付して頂き、立派な形でデビューしたそうです!
今回のイキダネ!大湊!も地域の方の想いをたっぷり感じることが出来、実り多いものとなりました。
Team Fantasy-sta.では、引き続き大湊ねぶたとタケシさん、大久保さんに注目していきます!
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ー イキダネ!プロジェクトとは ー
「地域の魅力はヒトにあり」
地域のヒトにフォーカスし、地域のいいコトモノを伝えるツアー。ヒトとの交流を通してコアなファンをつくることでまた来たくなる。地域との継続的なコミュニケーションを図ります。