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あてもなく、しかし警らのようでもある。
猫が来て1年が経った。
小雨が降っている。ふしぎと寝覚めが良かった。すぐに作業に取り掛かったので、上々ではないか。冷房を切って部屋のドアを開けておけるようになったので、猫が家中をうろうろしている。あてもなく、しかし警らのようでもある。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) September 26, 2021
世話をするために朝、余分に早く起きて一緒に居るようになった。顔を舐め、胸を踏みつけて起こしに来るので、寝ていられないということでもある。それから朝食(というかコーヒー)までの時間を、機嫌と体調の良い時に取り掛かりたい作業にあてている。かれが横にいてくれていると、僕は少し楽になれる。猫は人の変容を促す担当であり、深刻なありようを解除する。
1年で体重は倍くらいになった。長毛に覆われていて、もともと膨らんだ姿をしていたので、見た目は倍というほどでもない。
未だに蛇口が好きだし。
未だに箱に飛び込む。
振り返れば見張っている。
僕が私淑している人から学んだ、特に重要なことの一つに、自分と世界の間にあるものをただ記述せよ、という教えがある。ただ記述をするだけで変身が始まる。クリエイティブなものや、エンタテインメントをわざわざつくろうとするのではなく、生活を、事実を、出来事をただ記述すること。面白いアイデアはそこから自ずと出てくるのであり、いちばん静かなところからこそ革命は起きる。淡々としたプロセスから最も過激なものが出てくる。以上は全て受け売りの、いつも読み返しているメモのコピペだ。
僕と世界の間を猫は尻尾を立てて横切る。向こうに居てはこちらを見張り、キーボードを踏みつけて向こうへ去っては物陰からまた見張っている。そういう猫の佇まいで、目にして初めて知ったことを僕はいつの間にか短い文章で書いてみるようになっていて、僕は自分の変身を感じることがある。かれは具体的な一個の生物だが、他者ではない。かれが僕と世界の界面にいて、その向こうの他者に視線を送るときの解像度の、上げ下げをする練習に付き合ってくれているような感じがしている。
そうやって時々ツイートしている。
Twitterで猫
目が合うと、猫はお腹を捻って颯爽と去ろうとする。からだに詰まっている柔らかい色々のものがよじれて、きゅるっと音が鳴るので、僕はつい笑ってしまう。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) August 12, 2021
猫が一番ながい直線コースを見つけて、何度も疾走している。まさに執拗だ。壁の手前で前脚をブレーキにして止まろうとするが、近いし長毛で滑るしで勢いはしなず顔からぶつかっている。調整の最中なのかもしれないが、さっきから上達しているようにも見えない。ご飯を少し残している。何がしたいのか。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) August 17, 2021
猫がのそのそと歩き回る。新しい隙間を発見しては頭から押し入っていく。長毛種の膨らんだ姿では無理に思える狭い所ばかりだ。気に入るとしばらく奥の暗がりに居て、一通りのことをする。一通りというのは居眠りすること、こちらを監視すること、わざと鈴を鳴らして迎えに来させること。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) October 4, 2021
初めて毛玉を吐いた猫が、以来ぐったりしており二日間まともに食事もしなかった。心配でたまらず苦しかったが、今朝ご飯の催促に来てくれて安堵した。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) October 6, 2021
長毛種の猫の尻尾は僕の顔より大きい。ディスプレイに向かい始めると、それを立てて揺らしながら、わざわざ間を横切って歩く。手首を踏みつけていくので打鍵が止まる。穂先で撫でられた鼻の穴の周りに抜け毛がくっつく。くしゃみが出そうで出ない。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) October 18, 2021
Instagramで猫
Instagramも続いている。開設してから一度も止めずに、毎日、写真を一枚だけ投稿している。実名で、アイコンも僕自身だが、猫の写真しか載せず、猫のことしか書かない。フォローするのもガチの猫アカウントだけ。ガチの猫好きの先輩たちが褒めそやしてくださるし、何か困ったことがあると助言をくれる。
運営スタイルは前回↓のnote記事で書いたことを続けている。
もうすぐ200投稿になる。この先どうするかは、365投稿になったら考えてみよう。今のところ、向こう半年分くらいの写真のストックに追いついていないので、公開のクラウド倉庫に、自分で編集加工したベスト版をバックアップしていっているという用法に留まっている。ガチの猫アカウント先輩たちとの緩やかな交流は予想外であったが、これからも、そんな感じでいけばよろしい。
以上、猫が来て1年になり、始めてみたInstagramも続いているので、節目でnote記事をつくった。
猫が幸せに生きてくれますように。
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![池谷和浩](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111645859/profile_c997b5e5c39bec69191b0295282e9b26.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)