【小説】似せ俳優 2話 依頼「親父にカミングアウトするから彼氏のふりをしてほしい」
「ここには二度と帰ってくるな。顔も見たくない。」
僕の隣で親が子を全力で殴った。
ただしさんは殴られた頬を押さえ畳に
うずくまったまま。
お父さんは殴った自分の手を庇いながら
息が荒くなっている。
はっきり言って居心地は最悪。
ただ僕は今でも不思議だ。
何であの時あんな言葉が出たんだろう。
「OK!ここまでにしよう!延長料金
かかっちゃうからあと10分で撤収ね!
携帯を確認しながら誰よりも早く着替える吉永さん。
顎髭は稽古前より伸びている気がする。
20時50分。あと1