終わる日記(2024/11/30)
2024/11/30
たこ焼き屋におそるおそる電話をかけた。電話でも注文できますかと言うとはいと言う。20分ほどお時間いただきますがよろしいですかと言うので大丈夫ですと言った。お名前をお願しますと言うので言うと、いつもありがとうございますと言った。どうしてわかったのだろうか。どうして「いつも」だと。名前を言ったことはないのだが。
洗濯をスタートしてタイマーをセットする。答え方でわかったんだろうか。ともかくうれしかった。20分後に行ったら12個ですかと言われるのでお金を払って、いつもありがとうございますと返した。
ベンチに座って公園を眺めながらたこ焼きを食べた。茶色い土の上に大きな枯れた楓の葉っぱが落ちていて、その周りに小さな木の葉がぱらぱらと散らばっていた。椿が咲いている。とてつもなく長く引き伸ばされた影が通り過ぎていくのをいつまでも眺めていた。
帰り道、知らない道を歩こうと思って、行ったことのないのところを歩いた。サッカーボールが入ったネットを蹴るみたいにたこ焼きの袋を指で弾きながら軽やかなリズムで歩いた。
帰ってから怒涛の家事の時間を過ごした。炊飯器をセットして、洗濯物を取り込んで、洗濯物を干して、掃除機をかけた。掃除機を立てかけてから戻るとがらがらと音を立てて倒れている音が聞こえて、まあいっかと思って、しかしやっぱり駄目だと思って立て直しにいった。
チャーハンを作った。油を敷いたフライパンを熱して溶き卵が半熟になるまで炒めて、皿に取り出してから粗みじんに切った焼豚としいたけと玉ねぎとねぎと人参を炒めて軽く塩こしょう。ご飯を加えてシャンタンをドバドバ入れて味をつけて混ざったら卵を戻して軽く炒めて、最後に鍋肌で醤油を焦がして完成。シャンタンの気分になりシャンタンと春雨とわかめのスープをつけた。チャーハンを炒めている最中に歌を歌った。大声で歌っていたらひとりで気持ちよくなってきて、壊滅的に音を外して間抜けな裏声を交えながら聞くにたえない歌をやかましく歌った。
食後、ヨドバシから届いていたデンタルフロスを開けた。イタリアで作られた400本近い糸の束で、250mもあるらしい。振ってみるとカラカラ鳴って、いかにもテンヨーの手品にありそうな音だと思った。試しにやってみると歯間に糸を通すのが難しくて、とりわけ奥歯は指の方向と糸の長さを色々試してみたが、じょうずに通るまで時間がかかった。慣れていくまでにすこし時間がかかりそうだ。もう虫歯になりたくないよお。まあ、頑張ろう。頑張ってやっていくしかない。ジンジバル・プラークを毎日取り除くこと。永久歯。ずっと守っていくために。
窓を開けると夜風が入ってきて――いつものように焼肉の匂いが混じっている――それが思いのほか冷たくて、気持ちいいというよりはむしろ寒いくらいで、時期も時期で体にこたえるようになった。明日からは12月。師走。シャンタンの味が濃かったのか喉が乾ききっていて、氷をグラスにぎしぎしに入れて冷たい水を飲んだ。