見出し画像

生きづらさとともに生きていく

仕事でも恋愛でもガムシャラに駆け抜けた20代の頃、
会社の40代の先輩に
「40超えたら楽しくなるから」
と言われた。
20代の私には40代の先輩は、びっくりするほどババアに思えたものだ。
厚塗り化粧で、営業スマイルが板についた女性の先輩たちは、ほとんどが未婚でちょっとした妖怪のようだった。
「仕事だけの人生でこの人たち平気なのかな?」
「若くないんだしそろそろ会社辞めて後輩に場所を譲ったら?」
とすら私は思っていた。
20代の私は、いずれ自分も40代になるというイメージすらできなかったのだ。
そんな私が気付けば40代になっている。

あの頃から40代になるまでは本当に一瞬だった。
一つ一つの出来事を思い返せばちゃんと記憶には残っているものの、
体感的には、20年間が5年間くらいで過ぎ去った感じ。
浦島太郎が竜宮城でもらった玉手箱を開けたら爺さんになったというエピソードは、あながちおかしくはないんじゃないだろうか。
何人もの男性と枕を交わし、転職も4回ほどして、結婚して子供も2人もうけたなんて、どこか他の人の人生を聞いているような感覚にすらなる。

結婚を機に地方へ移住したのをきっかけに35歳で起業した。
起業当初は若手起業家枠だったけど、
40代も半ばになった今は、もうベテラン枠に入れられるようになった。
自分でもフレッシュさは無くなったと感じているので、それについて特に思うところはない。
経営者という分類でいくと、ベテラン枠は40代から60代くらいまでで、
70代以降はレジェンド枠だと思っている。
これは私の勝手な枠組みではあるけど、70代を超えて現役バリバリの経営者はやっぱり尊敬できるし、自分も生涯現役のババアで居続けたいものである。

起業当初はファッションブランドを立ち上げて起業したものの、
今では女性の起業をサポートする活動なんかもしている私。
他人のことなんか全く興味なかった私が今では人様の人生をサポートしているなんて、大学生時代の私が知ったら鼻で笑うだろうな。
「綺麗事やってんじゃねえよ」
って。
「お前のことだ、何か裏の思惑があるに違いねえ」
とも思うかもしれない。
でも、明らかに私は、ある時を境に性格含めてまるっと中身が入れ変わったと思う。
その境とは、子供を産んだ時だ。
昔は付き合っている男に好かれようと「子供好き」だと言ってはいたが、
本心では子供が欲しいかどうかも正直わからなかったし、
自分の人生に必要かどうかの判断すらできなかった。
でも、実際に子供を産んでみると、人生観も変われば、人を愛する気持ちとやらも生まれてくるから不思議なものだ。
私は子供を持ってやっと人間としての感情が芽生えた、そんな気がする。
だから、今人間として愛を持って人様の人生をせっせとサポートしている。
そしてそれがライフワークとなっている。

女性が起業を考え始めるのは、
「将来が不安だから」
「今の仕事がつらいから」
「自分の好きを仕事にしたいから」
「もっとお金が欲しいから」
起業という選択肢を考え始める理由はいろいろあれど、
「将来が不安でたまらない」というのは
みんなに共通してある想いであり、一歩踏み出さざるを得ない大きな理由な気がする。
私の元にくる女性たちの多くが40-50代というのもあるかもしれない。
この年代の女性は本当に生きづらいのだ。
家のこと、子供のこと、夫とのこと、親のこと、友人のこと、ご近所さんのこと、
頭を悩ます問題を抱えまくっている上に
現実問題お金も稼がなくちゃ生きていけないというのもある。
旦那の稼ぎだけで奥様をやっていけるほど、今の時代は甘くない。
しかも、45歳からは更年期が始まるから心も体も揺らぎまくって、
悩みの種に対してつい過剰反応してしまうようになる。
特に更年期症状がつらい女性たちはなおさら生きづらいだろう。
今までに感じたことのないような長く暗いトンネルの中をひとりで歩くような感覚というか、冷たく荒々しい日本海を目的地もなくクロールで泳ぎ続ける感覚で人生を生きて行かなくてはいけないのだから。

私はそんな女性たちに過剰に寄り添うことはしない。
誰かが寄り添ったところで、その人が変わろうとしなければ何も変わらないから。
私は、誰に対しても深入りせずに俯瞰して把握するように意識しているし、もっと女性たちは「経済的自立」をがむしゃらに求めるべきだというスタンスをとっている。
今もしあなたがパートで月8万円稼いでいるとしよう、それが月50万円稼げるようになったらどんな人生になるだろうか?
きっと、今まで我慢していたものが買えるようになるし、人付き合いも良くなるだろうし、家族にももっと優しくなれるかもしれない。
経済的自立は精神的安定にも精神的自立にもつながるのだ。
そして、自分と自分の周りにいる近しい人を大切にできるように意識していけば、必ず幸せになるし、その幸せは知らぬうちに伝播し波及していくものだと思う。

世界を変えるような発明なんぞは、天才と呼ばれる奴らに任せておけばいい。私たちは、天才にはなれないのだから。
むしろ、普通の感覚が一番の武器であり、その無知さが最高なわけで、人よりちょっとだけ優れているもの、人よりちょっとだけ得意なもので戦っていけばそれでいい。
自分の半径数メートルくらいにいる人たちだけを気持ちよくしていければ、人生は変わると、私は信じている。

生きづらさを受け入れて、それと共に前を向いて生きていく、
その覚悟ができた女性は強い。




よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは書籍出版の夢を叶えるために使わせていただきます!