【書評】予測不能の時代
この本は、予測不能は未来に対しての心構え・対策方法・行動の必要性が書かれている。
個人的に、6章の「変化にデータで向き合おう」が一番面白かったので、この章だけの感想を書いていきたい。
興味深い点は3つ
・AIは「過去の事象をマネする」だけ
・変化に敏感になること
・データのズレに着目して行動せよ
AIは「過去の事象をマネする」だけ
世の中では「AIを活用しよう」と連呼されているが、著者はそれに懐疑的であるようだ。
理由は、「AIは過去のうまくいったことを繰り返すだけ」というのである。
過去のデータは状況が変わればで何の役に立たなくなる。
これは自分も「確かに」と思う。
予測不能な未来にたいして、AIは無力なのである。
変化に敏感になること
データを取得しつづけるなかで異常な値が現れた時、過去の実績で判断すると変化を無視してしまうことが多い。
これはこの本によるとアンチパターンのようだ。
予測不能な変化の中で大事なことは、変化に柔軟に適応することである。
逆に、最もやっていなけないことは、それまでやっていることにこだわって、変化を無視することである。
この問題に対応するために、3つのサイクルが紹介されている。
1. 予測
過去データを用いて過去の延長ではどうなるかを予測する
2. 気づき
過去の延長と現実との重要な乖離を特定する
3. 優先化
乖離が起きている対象にたいして優先的に行動を起こす
データのズレに着目して行動せよ
データが現実との乖離を見つけた時、行動の優先度を変えることが重要である。
しかし、組織の中でこの行動を起こそうとする場合、既存のルールや人が障害になることが多い。
「それが大事だという根拠は何ですか」
「大事というなら説明してください」
「検証はできているのですか」
こういう批判的な言葉が阻むからだ。
また、行動するとしたら今日の「効率・成果・売上」という現在を捨てることにもなる。
通常のオペレーションから外れているからだ。
しかし、この機を逃してしまうと「後の祭り」となってしまう。
どうするかというと、予測不能に挑む人や組織をつくる。
特に心理的安全さは大事だ。
そして、現在と未来の両方に対応していく。
つまり、現在をデータとAIで「現実と予測のずれ」を検知し、
未来に影響のある行動を優先度をあげて起こす。
データとAIを環境変化のアンテナとして使うのだ。
最後に
この本を読んで、自分のなかでボンヤリとしていたAIの役割がだいぶ鮮明になってきた。
また、「AIは過去をマネるだけでコスパが悪い」という表現も新鮮だった。
何もよりも大事なのは、AIやデータを集める技術ではなく、未来に向かって挑戦するエネルギーと方法が必要なんだ、と感じた。