
帝国の所在地について
皆さんはルパン帝国が果たして何処に在るか御存知でしょうか??
試しに原作(旧)の中からルパン帝国に関する情報を拾ってみるならーー
●ルパン三世は何年か前に帝国を出奔した(第12話「健在ルパン帝国」)
●帝国を築いたのはルパン二世 (同上)
●北海道に在る(恐らくは厚岸郡浜中町) (同上)
●ルパン一族の国である島 (第92・93話「我が盗争」)
●誰も侵入した事の無い島 (第94話「さらば愛しきルパン!」)
といったところになりますが…
しかし実は旧原作の本編以外にもルパン帝国に関する資料が存在します。それは「週刊漫画アクション」に掲載されたカラー折込み口絵(※)。何とこの中にも、謎の多いルパン帝国の所在地を突き止める手掛かりがこっそりと残されているんですね。
(※)ルパン帝国を取り上げたカラー図版にはこの他に、漫画アクション増刊「ルパン三世/その秘密全公開」の特製カレンダー裏面として掲載された「これがルパン帝国だ!!」もありますが、これには「通常は海底に在る」という言及があるだけで、帝国の具体的な所在地を判断出来る材料は載っておりません。
アタシの基本姿勢は本編至上主義なので、カラー口絵付録などの類いは本来であれば基本的に視野の外、精々が副次的な資料に過ぎないんですが、何しろ原作本編中には手掛かりが全くありませんから、本編からは外れるけれど、重要な資料として浮上して来るのでござーますよ。
問題の図版はこれ(↓)
漫画アクション昭和44年5月8日号カラー折込み口絵「これがルパン帝国だ!」
図版の中央には帝国の地図が載っています。
賢明な皆さんはすぐに判ったでしょうが、この地図、このカラー口絵の為に誰かが描き下ろした物ではないという事は明白ですね。有り物の地図を拝借して流用したんだろうという事ぐらいは容易に察しが付きます。それじゃあ果たしてこれは何処の地図を流用した物なのか…??
有り難い事にこの図版、外国語で地図上に表記された地名・施設名等はそのまま残してあって、上から矢印等を書き加えた上で、周囲に描き下ろしのイラストを鏤めてあるだけですから、この外国語表記の地名・施設名を調べさえすれば、果たして此処が何処であるかはすぐに判る筈です。
調べた結果判ったのは、この地図はフィレンツェの地図だという事。
ルパン帝国はイタリアに在ったんですね。アルセーヌ・ルパンはフランスの怪盗なので「帝国が在るのはフランスなのかな?」と思いきや、実際はイタリアのフィレンツェだったのです。宮崎ルパンの設定として「ルパンはイタリア人気質を持っている」という解釈がありますから、ルパンとイタリアとを結び付けるのに特に大した疑問は感じない…と言いたいところですが…これは宮崎駿流解釈よりずっと先行しており、尚且つこの時点、原作(旧)の時点ではイタリアが云々という設定は影も形も無かったにも関わらず「それでも何故かイタリアの地図を流用している」というところが何だか実に面白いじゃないですか。
まぁしかし現実的な話をすれば…この口絵頁を纏めたのが果たして原作者モンキー・パンチであったにしろ編集者であったにしろライターであったにしろ…口絵内にイタリアの地図を流用したのは「何か特に深い考えがあって」という訳じゃあなく「丁度適当な地図がたまたまイタリアのフィレンツェの地図だっただけ」…というのが実際のところなんでしょう。それにしても奇妙な符合ではありますけども。
恐らく実際のところはただ単なるパッと見の雰囲気、それっぽさを出す為の地図流用だったんでしょうし、だから「件の地図がフィレンツェの地図である」という事には大した意味は無かったんでしょうが、敢えてこれを本当に「ルパン帝国の所在地はフィレンツェである」と妄想解釈してしまうのも、あくまでも遊びとしては面白いかも知れないですね(何しろ記事内には「緑の公園があり教会の塔が見える一見平和な田園都市/ところが秘密のベールをひとたびはがせばこれこそ泥棒貴族ルパン帝国の本部なのだ!!」との記述がある位ですから・笑)。
そうするとしかし「島である」とか「北海道に在る」とかいった原作の設定と矛盾してしまう訳ですが…どうせそもそもが原作自体、各種の設定を統一して固めようとはせず、パラレルに併置させてあるってのが実際ですから、この程度(苦笑)の矛盾は構う事ぁ無いでしょう。
ちなみにこのカラー口絵の中では、以下の実在の建物がそれぞれ、ルパン帝国の施設として(勝手に)解説されています。御参考までに。
●サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(SANTA MARIA DEL FIORE)
※地球裏儀(地下水道・地下鉄・地下道・各国主要銀行が克明に記されている)
●オルサンミケーレ教会(ORSANMICHEL)
※変装用具研究所
●ストロッツィ広場(PALAZZO STROZZI)
※コンピュータールーム
●サンタ・トリニタ教会(SANTA TRINITA)
※時限爆弾製造所
●サン・ヤコポ・ソープラルノ教会(SAN JACOPO SOPR'ARNO)
※映写室(もっぱらブルー・フイルムの試写に使用)
●サント・スピリト教会(SANTO SPIRITO)
※秘密兵器研究所
●フィレンツェ国立中央図書館(BIBLIOTECA NAZIONALE CENTRALE DI FIRENZE)
※特殊カー研究所
●ヴェッキオ宮殿(PALLZO VECCHIO)
※ミニ・ミサイル発射基地
●ホーン美術館(MUSEO HORNE)/アルベルティ館美術館(PALAZZO DEGLI ARBERTI)
※暗殺兵器研究所
●ピッティ宮殿(PALAZZO PITTI)
※ルパン三世専用トイレ
(※初出 / mixi / 2011年9月15日)