池本倉庫

池本剛が文章やイラストなどを保管しておく所。

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ルパン帝国設定試案

※注意※ 以下の文章にはモーリス・ルブラン著「アルセーヌ・ルパン」シリーズ諸作品の重大なネタバレが盛大に含まれています。 つい先日の日記で、「漫画アクション」付録のカラー口絵を引っ張り出し、その中の『特に深い意図は何も無かったであろう』瑣末な部分を敢えて『きちんとした設定』と看做し、「ルパン帝国が在ったのはイタリアのフィレンツェである」と解釈してしまうという遊びを披露しましたが…これ、自分でも結構気に入ってるんですよね。何か色んな意味でそれっぽくて。 あくまでも遊び

    • 早撃ち0.3秒のプロフェッショナル

      原作ではなくアニメ版こそが「ルパン三世」というシリーズの基本フォーマットを決定した面というのが少なからずあってーーそれはまず例えば銃器や車両などといったメカニックに関する設定なり描写なりに関してだったりする訳であります。アニメ「ルパン」が確立した所謂実証主義といったものは原作の時点では存在しなかった要素で、その後の「ルパン」シリーズの基本フォーマットを決定しただけに留まらず、アニメ作品全体に広く深く影響を及ぼした事は皆さんよく御存知のところでしょう。 あるいはレギュラーキ

      • 居合抜きの達人

        昨日は「原作の次元には『ルパンの相棒』であるという事以外にはアイコンらしいアイコンが存在しなかった」「『射撃の名手』という側面はアニメ化の際に加えられた要素である」(※1)といった事を書きましたが、今日は五右ェ門についてを採り上げてみようと思います。 五右ェ門と言えば斬鉄剣。斬鉄剣と言えば五右ェ門。 五右ェ門とその愛刀・斬鉄剣との切っても切れない関係性。 その辺を踏まえて押井守がかつて「五ェ門に至っては、ただの兇器ですから(笑)。あれは特殊兵器であって、あるシチュエ

        • 左甚五郎の系譜

          「THEレイプマン」という漫画があります。弩マイナー作品という訳ではありませんが、間違ってもメジャー作品ではない(マイナーメジャーではあってもメジャーマイナーとは呼べない)存在なので、「知らない」という人が大半でしょう。タイトルにいきなり『レイプ』などという単語を大きく掲げてあるので、何だか如何にも、下劣で無責任な男性の欲望を全開にしたような類いのそれであろうと思われてしまいそうですが、実際はそうではありません。まぁ勿論、劣情を刺激するレイプ場面が眼目の一つにはなっている

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        ルパン帝国設定試案

          アルセーヌ・ルパンの遺産

          久しぶりに原作ルパンを纏めてちょっと見返していたんですが… 原作(旧)第60話「ジャリ」の中で、前からボンヤリと気になっていた事が、やっぱりどうにも気になってしまったので、その件について今回ちょっと調べてみたところ…五里霧中になってしまいました(苦笑) 引っ掛かってるのは「ジャリ」におけるアルセーヌ・ルパンの遺産の問題なんですが…まずこの回は第58話「遺産7200億」とリンクしてるのかしていないのか?ってのがありますよね。まぁ基本的にパラレルな原作ではありますが、「遺産

          アルセーヌ・ルパンの遺産

          ルパン腹案

           (前略) まさか此処まで時間がかかるとは自分でも思ってなかった訳で…当初の予定としては、年に一本ずつルパン漫画を描くつもりでした。今から考えると夢物語以外の何物でもないですね(苦笑) まぁだから作品のアイデアはいくつか持っているんですが、最早こうなってはそれらを形にする事も無いだろう(また何年越しで付き合う訳にはいかない)と思うので、この日記に書き留めておきます。いつか何か別の形で使う事もあるかも知れませんが、誰か気が向いた人がいれば持って行って使って下さっても結構でござ

          ルパン腹案

          「風魔一族の陰謀」の問題点

          「風魔一族の陰謀」という作品は演出・構成面に難があるという話をこれまで再三に渡って繰り返して来ましたが…具体的には何処がどう問題だったのか、もうちょっと詳しく私見を纏めておこうと思います。 まず最初に断っておかなければならないのは、前半部には全く何の文句も無いという事です。此処で言う前半部というのは、温泉街のカーチェイスの後、山道を逃げるルパン達に不二子が合流し、煙幕(けむりまく)によって銭形が退場させられてしまう件りまでを指します。此処までは文句無く面白かった。開巻

          「風魔一族の陰謀」の問題点

          「風魔」絵コンテ(シーン77・78・88・89)

          ●シーン77・78 ルパンが五変化する幻覚シーン。大塚康生と言えば、『歴代ルパンの様々な顔を並べる』という遊びをそれまでにも何度か版権イラストで試みていた訳だけれど、此処へ来て遂に、アニメ本編でそれを実現してしまったというのが傑作ですね。しかも「幻覚の場面である」という設定を巧く活かしたサービスだってのが実に見事です。 ●シーン88・89 ラストの場面。解説ではこの場面を「五右衛門と紫の恋の決着がドライに過ぎ、余韻に乏しいので、ラストショットの9秒は実に長く感じる」と

          「風魔」絵コンテ(シーン77・78・88・89)

          「風魔」絵コンテ(シーン26)

          操車場の場面。この場面が大塚康生の趣味全開となっているのは解説にもある通りです。解説では続けて「(※大塚康生が担当した)5つのシークエンスのうち、もっともカメラワークが盛ん。横並びの機関車群の横PAN、光の当たった機関車のトラック・アップ、機関庫全景を捉えた縦のPANなど、機関車の物量・大きさを表現するカットにカメラワークが集中」「対峙の緊張感をFix(固定)の長回しで表現し、ルパンが放り投げた壷の空中FOLLOW、五エ門が壷を慎重に地面に置く長いPAN DOWNの緩急が

          「風魔」絵コンテ(シーン26)

          「風魔」絵コンテ(シーン24・シーン25)

          怒濤のカーチェイスシーン。大塚康生の独壇場。ルパンと銭形のコミカルな再会シーンが対向車の出現によって急展開し、川への突撃、銭ブルの水没、銭ブル復活、そして木造橋上のチェイスといった具合に、見せ場が立て続けにギュウギュウに詰め込まれた名場面。秀逸なアイデアが惜しみなく注ぎ込まれ、尚且つそれを魅力的に描き切っている物凄さ。 更に特筆すべきなのは、その緩急の付け方が素晴らし過ぎる程に素晴らしい点でしょうか。執念も空しく銭ブルが水没してしまい「面白いチェイスシーンが終わってし

          「風魔」絵コンテ(シーン24・シーン25)

          「風魔」絵コンテ(シーン4・カット8~シーン5)

          冒頭のアクションシーン。映像研究家の叶精二氏も解説部分で指摘しているように、カメラワーク等に頼らず、複雑なアクションをじっくり見せている点が素晴らしい場面です。こうやって動きを丹念に描き切るのは当然難度が高いですから、テレコムだからこそ見事に達成出来た場面だと言えるでしょう。そしてこの見事なアクションシーンが物語の冒頭に置かれる事で、観客はグッと作品世界に惹き込まれる訳ですね。物凄くキャッチーな開巻部だと思います。 まず最初、厳かに神社の階段を上る正装姿の五右衛門が映り、

          「風魔」絵コンテ(シーン4・カット8~シーン5)

          「風魔一族の陰謀」絵コンテ

          「おもちゃ箱2」は滅茶苦茶に資料性の高い同人誌な訳ですが、とりわけこの「風魔」コンテ・大塚康生パートの収録は大快挙でありましょう。「風魔」の絵コンテと言えば、「CGWORLD」2007年11月号にその一部(※1)が掲載された事がありましたが、何しろ今回は『大塚康生担当分全部』ですかんね。映像研究家・叶精二氏の解説(※2)に拠れば、大塚パートは「風魔」本編中の約2割に相当するとの事。その解説では大塚コンテの特徴として「ワンカットが長い」「アクションと時間軸に省略が無い」「カ

          「風魔一族の陰謀」絵コンテ

          「風魔一族の陰謀」 の新規路線と問題点

           (前略) より詳しく改めて語られた制作の流れだとか、あるいは絵コンテの分担の詳細、ロケ地・モデル地の詳細、大塚康生自身が総括した反省点などなど、興味深い言及が盛り沢山な内容となっている本インタビューですが、個人的に最も収穫だったのは「ルパンと風魔の取り引き場所に機関庫を設定したのは大塚康生だった」という部分でありました。勿論それは容易に推測可能でしたから、新事実・新発見といったニュアンスではなく、「やっぱりそうか」で終わる話ではあるんだけれど、それでも、本人の口から明言さ

          「風魔一族の陰謀」 の新規路線と問題点

          近日参上!ルパン三世

           (前略) ところで、此処で大きく採り上げられている「風魔一族の陰謀」という作品は、ルパン史を考える上で極めて重要なターニングポイントになっていると同時に、個人的にかなり思い出深い作品でもありますので、今回はちょっと「おもちゃ箱2」の感想から外れて、「風魔」に関連する自分語りを垂れ流しておこうと思います。 OVA(※1)「風魔一族の陰謀」(※2)製作決定のニュースを最初に知った時はそりゃあもう滅茶苦茶に驚喜したものでした。何しろ「ルパン」の新作をまた見れるぞ!という極め

          近日参上!ルパン三世

          吉川惣司談話

          昨夜、東京は池袋の新文芸坐にて、「アニメスタイル セレクション vol.27 『ルパン三世』スーパー・コレクション」と題したオールナイト上映会(※)が開催され、併せて、マモー編を監督した吉川惣司を招いてのトークショーも開かれました。 (※)パイロットフィルム(シネスコ版)/旧ル第1話「ルパンは燃えているか‥‥?!」/旧ル第5話「十三代五ヱ門登場」/新ル第99話「荒野に散ったコンバット・マグナム」/新ル第148話「ターゲットは555M」/マモー編/カリ城の計7作品を上映

          吉川惣司談話

          ルパン三世とキリコ・キュービィー

           (前略) このPARTIII前夜の記事が目当てで買った「ジ・アニメ」83年11月号だったんですが…それとは別に、もう一つ思い掛けない収穫があったんでござーますよ。「装甲騎兵ボトムズ」の特集記事として脚本家・吉川惣司のインタビューが掲載されていたんですが、その中で「マモー編」に関する言及が。 「そう……こう言うと誤解されるかもしれないけど、ボクは『ルパン三世』(劇場映画第1作。吉川氏が監督だった)でやりのこしたことをやりたかったんです。つまり、キリコもルパンも、アウトサ

          ルパン三世とキリコ・キュービィー