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骨盤位外来で外回転術について聞いてきた

こんにちは。

我が子は36週になっても、まだ逆子(骨盤位)です。34週の時点では外回転術には後ろ向きな私でしたが、「身体の将来的なことを考えると、やっぱり帝王切開は避けて経膣分娩したい」「そのために、出来ることはやっておきたい」という考えになりました。

今回は、骨盤位外来を受診して外回転術について質問してきたのでそれについて書きます。

1.外回転術の成功率について

①初産婦か経産婦か、②羊水量によって確率が変わる。初産婦の場合は69%、経産婦の場合は88%、羊水が少ない場合は60%、羊水が正常〜やや多い場合は81%。
私の場合、初産婦であり、羊水量はごく普通なので70%程度の成功率だと思われる。

2.外回転術の諦め時について

術者の感覚や経験に基づいて決めている。基本的には最初の2~3分が勝負。粘っても10分。あまり長くやってもいいことはないので20分まではやらない。

3.術後に麻酔が切れたら痛みが出るということはあるか?

ない。手術中も麻酔をかけているので、何かされている感覚はあるが、痛みはない。

4.外回転術後、3%の症例で緊急帝王切開になることについて

外回転術の主な合併症として、①胎児心拍数異常、②胎盤早期剥離、③性器出血がある。
①胎児心拍数異常は半分程度の赤ちゃんに起こるが90%以上が5分以内に回復する。
②胎盤早期剥離は0.6パーセントとごく稀だが、見落とすと重篤な結果となるので、一番注意している合併症である。ただ、超音波での診断が難しく、胎盤早期剥離を起こしているのか診断に悩む症例も多い。
③性器出血は3%で起こる。重篤な状況による出血の場合もあるし、ただ単に赤ちゃんが子宮の中で擦れて出血しているだけの場合もある。重篤な場合と問題がない場合を見分けるのは難しい。

ここの病院では安全を一番に考えているため、疑わしいと判断した場合は、外回転術の10分後には緊急帝王切開に移行している
緊急帝王切開をした症例の中には、もしかしたら帝王切開をする必要はなかった場合もあったかもしれない(例えば、30分ぐらい待っていれば赤ちゃんの心拍は戻ったかもしれない、胎盤早期剥離ではなかったかもしれない、問題のない性器出血だったかもしれない)。それでも、安全を優先しているのと、外回転術を行わなければいずれにしても2週間後には帝王切開になっているので、躊躇せず帝王切開に移行する方針で行っている。

5.外回転術のあとに経膣分娩で産める確率について

外回転術で頭位に戻した場合と、もともと頭位だった場合で、経膣分娩で産める確率は変わらない(論文によって結果が異なり一定の結論は出ていない)。
帝王切開になるかどうかは、年齢の方が影響が強い。40歳を過ぎると、帝王切開になる確率がぐんと高くなる。
先生の経験では、外回転術で頭位に戻った場合、90%は経膣分娩で出産している。

6.我が子はこれまでずっと逆子だが、それは私の骨盤の形と子供の頭の形が合わないからではないか?こういう場合は、 頭位になったとしても経膣分娩できる確率は低いのではないか?

そんなことはないと思う。母親の身長がとても低い場合(140cmとか)は、骨盤の形と子供の頭の形が合わないということもあるが、その場合は子供が固定されないので頻繁に回転する。私の場合は一般的な女性の身長(160cm)であり、骨盤の形が合わないという可能性は限りなく低い。頭位になれば経膣分娩できる確率は、一般の人と変わらない。

7.なぜ日本では外回転術が普及していないのか?

①外回転術の合併症で緊急帝王切開が必要になった場合、5〜10分後には手術を開始する必要がある。国内の多くの病院は、1時間後なら手術を開始できるが、5分後にすぐ手術を開始できる病院は少ない。そのため安全性を担保できないので、外回転術自体を行わない病院が多い。
②外回転術は病院としては赤字の手術である。1回やると二桁万円の赤字になるため、やらない病院も多い。
ただ、海外では帝王切開の方が敷居が高いので、外回転術の方がポピュラーである。

8.腰椎麻酔ではなく全身麻酔ではだめか

すべての産科麻酔は、腰椎麻酔ということになっている。

9.赤ちゃんを持って回す時に、当たり所が悪くて眼や鼻が潰れてしまわないか

その心配はない。外回転術は、後頭部を持って回すようにしている。
また、子宮の筋肉は分厚いステーキのようなものなので、ステーキの上から押しても目や鼻を傷つけてしまうことはない。


私の質問に、丁寧に答えていただき、満足できる外来でした。成功率70%、緊急帝王切開になってしまう確率3%という手術ですが、頑張って受けてきます~。


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