医療インストラクショナル・デザインを用いた認知クイズの創り方、など
このシーンの状況は、
小学校のクラスで遠足にでかけました。クラスにはアナフィラキシーがありいつもエピペンを持っている女の子がいます(フォトの女の子)。学校の先生(フォトの右側)はもちろんお友達もそのことを知っています。
遠足ではお家からお弁当を持参しています。アナフィラキシーのある子のお母さんはアレルゲン抜きのお弁当を作って持たせています。
でも遠足ではおかずの交換が行われることもあります。
このシーンは、お友達とおかずを交換したらその中にアレルゲンが含まれていて、いまアレルギー反応がおき蕁麻疹、かゆみに続けてお腹が痛くなってきたところです。
先生は子供の急な変化に気付き駆け付けます。
このとき、先生はどのような既有知識を使って、さらに目の前で女の子が示している現象からどのような情報を選択し、入力し、情報処理を行い、情報処理の結論に従って合理的な判断を行い、さらに判断に従って取るべき問題解決行動を選択し、選択した行動を勇気を持って(状況によって行動には勇気が必要になることがあります)実行するのでしょうか?
アナフィラキシーがありエピペンを持参しているこの女の子の状況(ここまでは生徒のプロフィールとして既有知識に相当)は、
アレルゲンに暴露された可能性がある(状況判断)。
アレルゲンに対し反応(アレルギー反応)が起きている(全体観察)。
単純なアレルギー反応ではなく、アナフィラキシーショックの症状を呈している(状況判断と推測)。
このままだと呼吸困難から心停止に陥るリスクがある(プランB)。
リスクを回避するためにエピペンを投与することを頭のなかで選択。
選択したエピペン投与を体の筋肉を使って運動技能として実行する、になります。
運動技能は最後のエピペン投与だけで、それまでの情報処理は頭のなかで行なうので言語情報と知的技能を使います。
ID式・クイズのよい適応は言語情報と知的技能になります。
学校の先生を対象としたエピペン講習会の学習目標は、
1.プロフィールをみてアナフィラキシーショックのリスクを判断できる。
2.学校生活のなかでアナフィラキシーショックを起こすとしたら、どのような場面で起こるかをリストアップできる
3.リストアップした状況での対応をリハーサルできる
4.1から3の認知技能をメンタル・シミュレーションでできる
5.4に合格したらフィジカル・シミュレーションに挑戦する
6.フィジカル・シミュレーションの合格条件は、さまざまな学校生活の場面でアナフィラキシーショックを判断しエピペンを正確に投与することができること
になると思います。
ID式・クイズの出番は、1,2,3,4になります。What If形式で口頭で行うID式・クイズはフィジカル・シミュレーションでも応用できます。
さて、この教材ムービー(下記のアドレルから予告編をご覧いただけます)を使うことを前提にID式・クイズの創り方を一般的に説明すると・・・。
https://www.youtube.com/watch?v=3ShQ3o_TyQM&feature=youtu.be
1.生徒のプロフィールと学校生活の場面を記述し、リハーサルできるかどうかを質問する
2.リハーサルするプランの立て方(それは生徒にとって安全化、という視点)について質問する
3.状況を与え、生徒の行動を記述し、最初の変化をナラティブに記述・・・ナラティブな記述をアナフィラキシーに関連した用語に置き換えられるかどうかを質問する(知的技能の中の具体的概念技能を問う)
4.複数の具体的概念からアナフィラキシー、アナフィラキシーショック(定義された概念)を想起できるかどうかを質問する
5.定義された概念と判断したとき、その問題を解決するルールや原理を想起できるかどうかを質問する(アナフィラキシーショックと判断したら、エピペンを打つ)
6.ルールや原理を具体的にどのように用いるのかを質問する(ジーンズを履いている場合、どうやってエピペンを打つのか)
ザックリと書くとこのようになります・・・。