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学校文化とID式・クイズについての考察

#医療教授システム学

#医療ID

医療ID勉強会ではクイズの作り方について学びました。
ID式・クイズを作ったり解いたりする上で障壁になるのは学校文化の悪影響です。

このテーマについては佐伯胖先生の以下の講義を参照してください。
http://coref.u-tokyo.ac.jp/utresource/frm/utocw0261-01.html

簡単に説明すると、
学校で知識を学び、知識の暗記・再生技能による序列化制度のなかで成長してきた人は、学校文化のなかで素朴な学び方、不思議を不思議として受け止めて学ぼうとする人間特有の能力を忘れてしまい、学校文化の三段論法で考えるようになる、ということ。

例えば、
1)すべてのバナナはピンク色です。
2)ジョンはバナナを食べています。
3)そのバナナは何色ですか?
という非現実的三段論法に「ピンク色です」と解答することができます。

このときバナナは黄色だよね、という既有の知識と矛盾していても、あれ?おかしいな、という疑問よりも、これはテストでありテストとして正解することが大事だと無意識のうちに考えてしまいます。

このクイズ、就学前の児童だと、バナナは黄色いよね、ピンク色のバナナはないよ、ということになるらしいのですが、学校に行くようになると、ピンク色です、と答えるようになる、そうです。

学校文化でクイズ、試験問題に直面したとき、学習者は状況の中の問題としてではなく、状況から問題文を切り取りその言語情報的な正確さや論理性を検証し正解を選ぶという態度をとるようになります、ということが心理学の発展の歴史とともに語られます。
もう何度見たか覚えていませんが、名講義です。

心理学的には、学校文化のなかで医師・看護師になった人は、クイズや試験、患者や家族から問題を提示されたときに、学校では正解のような考え方をしてしまいがちになるけれど、本当の問題は状況に埋め込まれていて、文章や言葉だけでは捉えきれないと理解することができる、という視点を与えてくれます。

話を戻すと・・・。
ID式・クイズ(お話のなかで、状況の中にすっぽりと入り込んで考えること)を試したり作ろうとするとき、学校文化で身につけた非現実的三段論法が邪魔をしますね、ということが印象的だった、ということなのです、言いたかったことは。
特に医師はこの傾向が強いようです・・・、他の職種に比べると。

21世紀に活躍できる人は、現実的な問題のなかで、何が問題なのか、どうやって解決すればよいのか、解決するプロセスはどうすればいいのか、そのためにはどうやって効果的なコミュニケーションを取ればいいのか、何に注意しながら効果的に共同するばよいのかと言った、唯一の正解のない現実のなかで効果的に考え、効果的に行動し、効果的にコラボし、そして期待通りの成果を上げることができる人。
そのための障害は過去の教育経験と過去の成功体験にあります。

注意しましょう・・・、お互いに。



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