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医療教授システムは心の発達を支援する

医療教授システム

 2022年9月、医療教授システムというものの全体像がおおよそ見えてきました。
 医療教授システムの目的は、医療・ヘルスケア系の教育機関に入学した医療系学生(看護学生、医学生、薬学部学生などをはじめ、救急隊員や介護職員など将来的にはチームで医療・ヘルスケアの仕事に従事する)がその領域の職種のロールモデルの心を獲得し、自らがロールモデルとなるべく自分の心を発達する(医療系学生になった時を起点として)生涯にわたる学びを支援すること、になります(2022年9月7日の時点)。

 「心」を発達する、と書いてしまうと次は「心」って何という問いに答えなくてはなりません。

心と脳

 ここでは心は脳がつくる様々な機能であるという認知科学の考え方を採用します。脳、brain、というモノ・臓器があって、人間の知覚器(目、耳、皮膚・指、鼻、舌)で感じ取った生理学的な刺激が脳の領域に伝わると、そこで感覚したこと(言語化できる形式で)に変化し、その情報を使って心がさまざまな解釈や意味付けを行い、その解釈や意味からその人がアウトプットを生成する、というのが認知科学的な心と脳の関係になります。

心のはたらき

 心には様々なはたらきがあります。ごくごく簡単に言えば、感情を自動車のアクセルとブレーキのようにコントロールする機能や、人の理解・判断・決定・実行の方向を決めるハンドルのような機能などがあります。
 心は人間の脳に生まれながらに備わっている機能です。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいるときから、お母さんとの関わりを通して心を発達します。オギャーっと生まれるやいなや、外界のすべてのことと関わりながら赤ちゃんの心は急速に発達します。

 心は、既存の心のはたらきを使って様々なことを経験し、その経験を通して心を発達するという無限サイクルのたどりながらグングン発達していきます。

 勉強する、勉強ができるようになる、試験に合格する、学校に合格する、自分の将来を決定する、目的を設定する、設定した目的を達成するために勉強する、などはすべて心のはたらきになります。

 心の成長のひとつの小さなステップとして、何か(教科)を勉強しその結果として何かができる(試験に合格する、技術ができるようになる)ようになる、という小さなブロックに相当する学びの経験があります。こういうタイプの学びの効果・効率・魅力を高めるテクノロジーとしてインストラクショナルデザイン(教授システム学、ID)があります。

 IDの守備範囲は長期間に渡る心の発達のなかでしばしば生じるパッケージ化された学習の効果・効率・魅力を高めることで、長期間の心の成長を支援するためにはIDとは異なる考え方・方法が必要になります。

医療者の心の発達を支援する医療教授システム学

 医療系学生を含む医療者の長期間に渡る心(医療者の)の発達を支援するサイエンスとテクノロジーがあるはずで、それが医療教授システム学になります。

 これまでの医療教授システム(日本医療教授システム学会の経験やプロダクト、考え方、テクノロジー)が人間の心に真正面から向き合い、心と脳の視点(認知科学)を基盤に、医療教授システムの再構築を始めたのが2022年8月になります。

 多くのパーツは組み上がっているので、再構築の作業はパースの意味付けの更新が主な作業になります。プロダクトの使用説明書は大きく変わるだろうと思います。

メモとして

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