「できる」看護師の患者安全の力クイズ 第2問目

#医療教授システム学

#医療ID

「できる」看護師の患者安全能力を表すthink系動詞に該当するのはどれか。すべて選べ。

a. 認識できる(例:カルテを見て患者の病状を認識できる)
b. 理解できる(例:教科書に書いてある事実を理解できる)
c. 説明できる(例:質の高いCPRの要素について説明できる)
d. 判断できる(例:患者を訪室し変化の有無を判断できる)
e. すべて

答え
a, d

解説
 「できる」看護師の患者安全能力はthink系動詞として書き出すことができます(ガイダンス6ページ)。

 患者の病状を認識する状況認識の能力は「できる」看護師のコンピテンシーと言えます。「カルテを見て患者の病状を認識する」というコンピテンシーを記述する文章の動詞である「認識する」は、「できる」看護師の患者安全能力を表す動詞、すなわちthink系動詞と言えます。看護師の「カルテを見て患者の病状を認識する」能力を評価するには、入院患者の山田花子さんのカルテを見せて、山田花子さんの病状をどのように認識したのかを口頭で述べさせたり紙に書かせ、なぜ・何を根拠にそのように認識したのかを質問します(評価の例として)。山田花子さんの病状が正しく認識できたら、次に加藤博之さんのカルテを見せ同じように病状認識と質問を行います。加藤博之さんの病状が正しく認識できたら、次に佐藤弘子さんのカルテ・・・という具合に複数の違う患者に対し同じ行動特性を発揮できるかどうかを評価します。

 「教科書に書いてあることが理解できる」の「理解できる・理解する」は、次のような場面でも用いられます。インターネットで検索し書いてあることを読んで理解する、教員やインストラクターが説明することを聞いてその内容を理解するなどです。知識を獲得するためには、書いてあることや説明されたことを「理解する」技能が必要になりますが、理解できた・知識を獲得したらコンピテンシーが獲得されたわけではありません。理解できたこと・獲得した知識を使って患者の問題解決ができるようになれば、コンピテンシーを獲得した評価することができます。

 「説明できる」と「理解できる」は同じ種類の技能になります。例えば、学校の授業で先生が教科書に書いてある事実について説明し学習者がその事実を理解したとします。先生は学習者の理解を確認するために、理解したことについて説明せよ、という問いを発し、学習者は説明します。先生は学習者の説明が正しければ理解できていると評価し、説明が誤っていれば理解していないと評価します。教科書に書いてあることや、質の高いCPRの要素について説明できる技能と、それらの知識を使って患者の問題を解決する技能は異なります。


 「判断できる・判断する」の例は、患者をパッと見判断して意識がある開式がないかを判断し、判断に応じて次に取るべき行動を選択します(意識があればそのまま全体観察を開始する・意識がなければ患者に接してBLS評価を行う)。判断と判断に応じた行動の選択は外部から観察することができるコンピテンシーであり、「判断できる・判断する」はコンピテンシーの中核となる能力を表すthink系動詞と言えます。

答え 
a, d

解説 
- 「理解できる」「説明できる」技能は言語情報に分類され、think軽技能(知的技能)とは別の種類の技能になります。
- 言語情報の学び方は基本的に暗記になります。
- Think系技能、例えば「判断できる・判断する」技能の学び方は言語情報の学び方と全く異なります。「判断できる・判断する」技能の学び方は、事例を与える、与えられた事例に判断のルール(思考の文法)を当てはめる、その事例における判断を形成するという練習を正しい判断ができるようになるまで繰り返し行います。

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