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サービス(モノ)の価値

新型コロナウイルス感染症が発生してから、各社生き残りをかけて、様々なサービスに挑戦しているようです。特に飲食店は多くの会社がテイクアウトに算入しています。ただ、うまくいっている会社というのは非常に少ないのではないでしょうか。

飲食店は、今までおいしい料理を提供するために、一生懸命努力してきました。そしてその対価としてお金を頂いてきました。それがテイクアウトという形になると、突如、比較対象がスーパーやお弁当屋さんの惣菜となってしまい、今まで平気で4,000円から20,000円くらい払っていた飲食店の料理が高く感じてしまいます。

急に高く感じてしまうというのは、今まで飲食店が提供していたサービスというのが、実は料理だけではなく、「料理」+「空間」という社交の場を提供するというのが価値だったからです。

「大切な女性と素敵な時間を過ごすため」

「重要なお客様をおもてなしするため」

「家族旅行で思い出に残る時間を過ごすため」

上記のような価値を相手に感じてもらうためには、安すぎてはいけません。多少高額なくらいがちょうど良かったんです。でも、家で食べるとなるとそうはいきません。日常的な空間では、日常食べているものと比較することになります。

私も先日こんな経験をしました。私は、現在注文住宅を契約して、打ち合わせをしている最中なのですが、住宅メーカーを決める当たり、こんな出来事がありました。

まず初めに家を建てようと考えたときに、私はネットで情報収集をし、自分の好みのデザインの会社から相談に行きました。そして1件目に相談しに行った会社で初めて仮の設計図面を書いてもらいました。

初めての図面。出来上がってきた素敵な図面にワクワクしながらも、そこでしか図面を書いてもらった経験がなかったので、比較対象もなく、決めかねていました。私たちは、しっかりと考えたかったので、約1年近く様々な住宅メーカーの内覧会に赴き、自分たちの考えを固めるための準備をしてきました。

ただ、1年近く住宅メーカーを回ったにも関わらず、最初に図面を書いてもらった会社を超えるような会社には出会えませんでした。そこで、私たちは最初に設計してもらった会社がたまたま内覧会をやっているのを発見したので、そこに訪問し、「1年近く見て回ったが、御社が1番でした。ある程度自分が建てたい家の方向性も決まってきたので、御社で再度設計をお願いしたい。」ということを伝え、帰りました。

そこから約2週間・・・私はどのような図面があがってくるのかを楽しみに待っていました。

そしてその会社の営業マンから電話が鳴りました。

図面の打ち合わせの日程調整かなと思い、電話に出るとこんなことを言われました。

「1度設計しているので、2回目はもし建てなくても50万は頂きますが、それでもよろしいですか?」

私は、その会社にすることを決めていたにも関わらず、それを言われた瞬間になぜかそこの会社で建てる気が失せてしまいました。

どうせその会社で建てるのであれば、掛かるお金です。別に高いとも思いません。ただ、その裏にあるメッセージを感じてしまいます。

「この人は建てないかもしれない・・・」

私は、注文住宅である以上、自分が満足できる家を建てたいという想いで、様々な住宅メーカーを見て回りました。誰もがうらやむような豪邸が建てられるわけではありませんが、注文住宅で建てる以上は、ただ単にお金で決めるのではなく、自分が好きな家を建てたいと考えていました。

私は、おそらく住宅というものを買うということと同時に、一生に一度しかない最も高額な買い物という体験も求めていたんだと思います。

結果的に、私は当初の住宅メーカーが見積もってくれた金額の1.5倍近くの金額で別の住宅メーカーで家を建てることを選択しました。

人は、商品を売っていると考えがちです。とくに商品にこだわればこだわるほど、その傾向は強くなっていくように思います。

でも、実は提供している価値というのは、商品を含めた体験にあります。

・別に寝るだけなのに、わざわざリッツカールトンに泊まる。

・町の車屋さんでも同じ車が買えるのに、ディーラーで買う。

・高級腕時計をネットでも買えるのに、わざわざ店で買う。

これらはすべて体験を含めた価値にお金を払っているということです。新型コロナウイルス感染症のお陰でこのようなことを改めて考えさせられました。

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