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教えるプロは、できた経験よりできなかった経験を記録する

 「教えるプロ」(講師、コンサルタント、専門家など、誰かに教えることを職業とする人の総称)を目指す、あるいはすでに活動を始めた人が自分自身の経験を商品化したいと思ったときにまずやっておいて欲しいのは、「できなかった経験を、今のうちに生々しく記録しておく」ということだ。

 「先生と呼ばれる人になるのだから、できたことを教えるんでしょ?できるようになったノウハウを記録するならまだしも、できない経験を記録してどうするの?」と思うかもしれない。もちろんそれは正しいが、半分間違っている。

 学んで知識を得れば得るほど、どうしても、自分が初心者だったときにどこに行き詰まって、どうやって克復したかという個別具体的な気持ちや素朴な疑問から離れていってしまう。できることが当たり前になってしまってから、初心者の目を取りもどすことはできない。だからこそ今、初心者のうちに記録し、成長の記録を残しておくのだ。それがのちほど、誰かに教える時の宝になっていく。学びでひっかかるプロセスが過去の記録に網羅されるようになるからだ。

 学ぶことは楽しい。深く知ることで知識の幅が広がる。しかし、学べば学ぶほど、そもそも何のために勉強し始めたのかを忘れ、知識の習得にだけ走ってしまう危険性もある。学び始めたころの新鮮な驚きがなくなることで、普通の人の感覚と、ちょっとずつずれてきてしまう。

 悩む相手に「なんでこんなことで悩んでるんだろう?」「○○すればいいのになんでやらないんだろう?」と不思議に思ってしまうようになったら、教える相手は救えない。

 新しい知識を得るときは誰もが必ず素人だ。素人は分からないことを分からないと正直に口にすることができるし、新しい知識がどんどん蓄積されることの楽しさをダイレクトに味わうことができる。分からないことが分かっていく面白さ、分からないと言っていい安心感も、学び始めたときだからこそ得ることができるものだ。その瞬間を、しっかりと覚えておこう。

 マラソンでも早起きでも資格の勉強でも新規プロジェクトスタートでも何でもいい。何かを初めて身につける時は、なるべく具体的に悩みや進捗を記録しておこう。

 すでに「教えるプロ」として活動し始めた人や、教えるプロとなる分野を決めている人は、今からでも遅くはない。初心者だったときに何に困って、どういうことを調べたか、どんな検索ワードで調べていたかなどをさかのぼって思い出し、記録をしていこう。

 記録するのに便利なのはブログだ。簡単に検索できて、過去も手軽にさかのぼれる。「教えるプロ」になりたいと思う人は「専門知識を得てからブログで発信しよう」と思いがちだが、そんなこと言っていたら始められるのは3年後になってしまうよ。

 プロになってから始めよう、じゃ遅いのだ。始めながらプロになる覚悟を決めよう。名前を出す自信がないなら匿名でもいい。ダメなプロセスを記録しておいたほうが圧倒的に成長するし、記録すればするほど、過去に振り返ったときに成長が見えるし、検索でどんなことに悩んでいたかを探ることができる。

 外部に公開せずに自分にしか見ることができない日記に書いても良いが、外部に公開するというプレッシャーが人を成長させるし、誰かが見てくれていると思って書くことにより、文章力は圧倒的に上がるので、早く「教えるプロ」になりたいなら、公開して書くことをおすすめする。

 ちなみに私は会社員時代、趣味のワイン・チーズ・日本酒・天然酵母パンなどの資格を活かした料理教室を週末起業(会社公認)で開催していた。料理教室を開催できるようになる数年前から、資格を取るときは匿名で「○○を目指して!」というブログを書いていた。資格を取ろうとするたびに、1資格1テーマでブログを立ち上げ、試行錯誤のプロセスを記録していた。その経験が今、「教えるプロ」としての表現力、文章構成力、コンテンツ作成力の向上にたいへん役立った。今は飲食を教えることはないが、「教える」という本質を、記録することで身につけることができた。

「できるようになってからやろう」じゃなくて、今すぐ!はじめよう。まずはそれからだ。

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池田千恵
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