話すのが苦手なことについて,私の思うありがたい対応
第5回かんもくフォーラムに参加しました!
支援者の方の参加が多かったようでうれしく思いました。
今回のかんもくフォーラムの質問の中にもあったと思いますが,「場面緘黙(選択性緘黙)の人にはどのように対応したら良いの?」というのはよく聞かれることです。
私は診断を受けてはいませんが,状況によって話せないことがあった者であり,場面緘黙だったのではないかと思っています。
今でも,話すことが困難なこともあります。
そんな私個人にとってのありがたい対応について書きます。何か少しでも参考になれば幸いです。
1.腫れ物に触れるようにしない
「場面緘黙だったと思う」とか「今でも話しにくかったり,話せなかったりすることがある」と話したときに,「かわいそう…」みたいな反応をされることがあります。
かわいそうな子として腫れ物に触れるような扱いをされると,距離を感じてしまって悲しいです。
私が緘黙の話をしたときに,「へーそうなんだー」という感じで興味深げに聞いてくれた人がいました。
私はそんな感じの対応が好きです。
(どんな感じかいまいち伝わらなさそう…文章力が欲しい…)
2.「わかるよ」は微妙
「わかるよ」と言われると「嘘だろ」と思います。
上述の「へーそうなんだー」の人は,「私にはわからないけどそういう症状があるんだね」みたいなことを言ってくれたことがありました。好き。
場面緘黙の感覚なんてきっと経験しないとわからないと思います。
(経験したところで,他の場面緘黙の人のことはわかりません。)
わからなくて良いと思います。
「わからない」ということを把握しておくことが重要だと思います。
わかった気になってしまうと,良かれと思って本人に相談せずに余計な配慮(??)をしてしまうということも起こると思います。
わかっていないと思っておけば,きっと本人に確認しようと思いますよね。
「へーそうなんだー」の人は,私が特定の集団で話せなくて困っていた時期に,個別に相談に乗ってくれて,「こうしたらどうかな?」,「これはできそうかな?」のように私に確認しながら,いろいろな策を提案してくれました。
本当にありがたかったです。
3.音声以外で答えられる質問にする
これは,場面緘黙の人への対応としてよく聞くと思います。
「はい」か「いいえ」で答えられる質問にしてもらえると,うなずき/首振りが使えるので答えやすくなります。
「うどん」か「そば」か「その他」のように,いくつか選択肢がある質問では,それぞれの選択肢の位置を作ってもらえると,指差しが使えるので答えやすくなります。(うどんは左,そばは真ん中,その他は右,とか)
または,「1.うどん」,「2.そば」,「3.その他」のように提示するというのも良いと思います。そうしてもらえると,指で数字を示すという回答方法が考えられます。
※どちらでも構わない,どちらも嫌などなど…いろんな場合があるので,選択肢に「その他」があるとありがたいです。
ただ,これらのような質問の仕方にすれば確実に答えられるということではありません。
緘動(思うように身体を動かすことができない症状)のような動きににくさがあったり,自己開示に不安があったりして答えられないということもあります。
答えられなくても,どうか怒らないでください…
4.音声以外のコミュニケーション手段をうながす
これは,場面緘黙当事者でもどのくらいの人が共感してくれるかわかりませんが,私は自分から筆談やチャットを使うのが苦手です。
うなずき/首振り,指差し,指で数字を示すのは,だいたい自分からできるのですが,筆談やチャットはうながされないとできないことが多いです。
なので,話せずに固まっているときには,「筆談/チャットにする?」と言ってもらえると助かることがあります。
また,筆談/チャットで話しかけてもらえると,私も同じ手段で反応しやすいです。
5.どのような対応が良いか,聞けるなら聞いてほしい
以上の内容は,私個人がありがたいと思う対応(一部)です。
少しでも参考になれば良いなとは思っています。
しかし,場面緘黙の人といっても,望む対応はひとりひとり違うと思います。
実際に場面緘黙の人とかかわることがあるなら,どのような対応が良いのか,可能であれば本人に聞いてみてほしいと思います。