few[little],if any,「例えあるとしてもほとんど〜ない」の意味は?
few[little],if any,「例えあるとしてもほとんど〜ない」の意味は?
few, if any,(little,if any,)「たとえあるとしてもほとんど〜ない」という熟語があリます。
どの参考書も「few(little)『ほとんど〜ない』の強調」と説明しています。
間違いです。正しいのは「noの婉曲」。
「全く〜ない」を遠回しに言っているのです。
「全く〜ない」の婉曲であることの証明
「彼が治る可能性は、、、、たとえあるとしてもほとんどない」というセリフを、治る可能性が少しでもある場合に言うでしょうか。
治らないから「たとえあるとしても…」と言うのです。
治る可能性が、「少しでもある」のと「全くない」のでは全く違います。
ですから”few(little),if any"を「few(little)の強調」と説明していたら惜しいように見えて、完全に間違いです。
英英辞書の定義
Merriam Websterの定義です。(NHKの朝ドラ「花子とアン」で主人公の村岡花子が使っていた辞書がコレ。そのWeb版のスクリーンショットです)
"not very many or none at all"「あまり多くはない、ないしは全くない」
私は後者が正しいと思いますが…
「例えあるとしてもほとんど〜ない」と日本語でも言われると、少しはあるように感じてしまいますね。
ですからネイティブスピーカーでも同様に勘違いをし、"not very many"と勘違いする人がいるのだ、ということを表している定義だと思います。
しかしあくまで正しいのは、noの婉曲です。
not very manyは勘違い・誤りです。
とは言え、確かに勘違いして覚えてしまっている人もいるでしょう。
私なら、相手がfew(little), if any,を使ったらDo you mean "no" or"very few"?と確認します。
以下に説明するようにこのfew(little), if any,は非常にずるい表現です。
(ここから後ろは余談です。以上で十分結論を言っているのでもう読まなくて大丈夫ですよ。でも興味があればぜひここから後ろも!)
few[little],if any,はずるい表現
会話をしているA、Bという二人がいたら、AさんとBさんの発している内容と受け取っている言語の内容は全く同一でなくてはなりません。
Aさんが「明日は雨だろう」と発したら、Bさんも「明日は雨だろう」と同一の言語の内容を受け取ります。
Bさんが「Aの言う天気予報は当てにならないから、雨じゃないだろうけどな」と思うかもしれませんが、それはあくまでAさんが「明日は雨だろう」と言ったのを受けてです。
「明日は雨だろう」という言葉がBさんに伝わっています。
「明日は雨だろう」という情報を二人が共有しています。(ですよね?)
さてfew(little), if any,ですが、医者が「彼が治る可能性はありません」と言うのが忍びなくて「彼が治る可能性はたとえあるとしてもほとんどありません」There is little, if any, chance that he will get well.と言うとします。
「たとえあるとしても」という表現は、治る可能性が少しでもある人間には使いませんから(治る可能性がある患者さんに「(治る可能性は)例えあるとしても……」などとは絶対に言いません!)、医者の側は遠回しにno chanceということを伝えたと考えています。
しかし聞いている患者の家族の側は「ほとんどない」と言っているから治る可能性は少しはあるのだろう、と伝えられたと考えてしまいます。
このようにAさん(=医者)とBさん(=患者の家族)で同じ言葉を聞いているのに違うように捉えてしまう。
医者は「治る可能性はない」、患者の家族は「わずかだが治る可能性がある」という内容で言葉を聞いている。
これはまずいですね?
言葉は「同じ内容を共有する」というのが絶対のルールです。
なのにそれに反することを狙っている表現、ないしはそれが生じてしまうことを認める表現であるがゆえにこのfew(little),if any,はずるい表現なのです。
言葉に二面性はない
繰り返しになり恐縮ですが、当たり前のことですが、言葉というものは発信者と受信者の言葉は絶対に同じ内容です。
「私、コート脱ぎますわ」と一方の人間が言ったら、もう一方の人間も「私、コート脱ぎますわ」と相手が言ったな、と同一の内容を認識するのが言語の絶対のルールです。
「私コート脱ぎますわ」と言ったから「この人はコートを脱ぐだろうなぁ」と推量するのだとか、「いやこの人そう言っておいて違うことをするかもしれない」などと考えるわけはないのです。
「私、コート脱ぎますわ」という言葉をAさん、Bさんで共有するのです。(その後に上記のようなことを考えるかもしれません。でもそれをするとしても、「私コート脱ぎますわ」と言ったことを共有したからこそです。発言内容を必ず会話をしている二人かそれ以上は、一旦必ず同一の内容を共有します)
紛らわしさ(=二面性)は一切ありません。
しかしこのfew(little),if any,のようにわざと紛らわしさを狙う場合があります。
この表現に関してはすべての英文法、構文の本が騙されています。(現時点ですべての本がfew、littleの強調と記載されています。正確な内容の本があればご一報いただければ幸いです)
「たとえあるとしてもほとんど〜ない」という表現を聞いてすべての人が「なんじゃそりゃ?」と思うと思います。
そこから一歩進んで「なぜ?」と考える習慣は、英語に限らずどの分野でも大切だと思います。
「たとえあるとしてもほとんど〜ない」は実は完璧な訳
「たとえあるとしてもほとんど〜ない」 は 正確で、素晴らしい訳です。
これを何言ってるかわからない、と言っている方々こそ、本質がわかっていない。
英語の学習者、先生方には、コペルニクスのように考えて頂ければと思います。
Merriam Websterも混乱してます
few, if any,が"not very many or none at all"なら
little, if any,も"not very much or none at all"になるかと思いきや…
なんと"almost no"だそうです。(「ほとんど〜ない」)
few, if any,の担当者とlittle ,if any, の担当者が違ったのでしょう。
池田英語塾の結論
if any「たとえあるとしても〜」というのは、「全くない」から言うのです。
ですから、few[little],if any,はno「全く〜ない」の婉曲表現です。
ただし、和訳でもそう聞こえるようにfew[little]の強調のように勘違いの可能性が高く、実際に勘違いしている人が多い。
だからあくまで間違っているのだがvery few[little]という意味で相手が言っている可能性もある。
故に言われたら"Do you mean no or very few[little]?と確認しましょう。
これが池田英語塾の結論です。