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桜島で被害拡大中!害虫キオビエダシャクの対処方法

こんにちは、池田農園中の人です。
今回は、最近九州で被害が拡大している害虫キオビエダシャクについて、被害の影響と対策について書いていきたいと思います。

キオビエダシャクとは

鱗翅目(チョウ目)シャクガ科に属する蛾の一種です。
近年このキオビエダシャクが九州地方で大発生して、イヌマキ(ヒトツバ)を枯らしています。
もともとは、九州でも沖縄をはじめとした南西諸島にのみ生息していましたが、近年九州本土に上陸して年々被害が拡大しています。
九州以外の方は実際に目にする機会も少ないと思うので、蛾による被害と言われてもあまりピンと来ないと思います。ですが、現在キオビエダシャクはその生息域を段々と北へと広げています。
現在確認されている地域は鹿児島をはじめ、熊本や宮崎といった南九州地域になります。
もともと南西諸島に生息していたキオビエダシャクが鹿児島に上陸し、さらに熊本や宮崎といった具合に繁殖地域を広げている事を考えると、今後北九州地域へ被害が広がっていくのは時間の問題で、今後本州への上陸の恐れもある危険な害虫です。

成虫

羽の色が非常に色鮮やかで蝶に間違えられる事もありますが、鱗翅目(チョウ目)シャクガ科に属する蛾の一種です。
大きさは開長約6cmあり、体長約2cmです。
成虫は花の蜜を吸い、各種花を訪花します。
成虫自体は特に害はありません。ですが、成虫が増えてくると繁殖して数が増えていくので注意が必要です。

幼虫

幼虫の大きさは体長約5cmです。
黒い体に白い網目が入り、黄色い模様の入った尺取虫です。
この幼虫がイヌマキ(ヒトツバ)の葉を食べてしまい、枯らしてしまいます。

キオビエダシャクによる被害と影響

発生時期

5月~12月頃まで、キオビエダシャクの成虫が定期的に木の隙間に産卵を行います。
産み付けられた卵は約10日ほどで孵化し、約1か月ほど幼虫の期間を過ごします。
その後、土に潜り蛹になります。蛹の期間は約15日ほどです。
成虫は約2週間ほど生き続け、その間に産卵を行います。
ですので、大体約2か月の周期で世代交代を行いイヌマキ(ヒトツバ)を食い荒らしていきます。

被害と影響

今回はイヌマキ(ヒトツバ)を被害の中心として取り上げましたが、キオビエダシャクは他にも「ナギの木」や「ラカンマキ」に卵を産み付け、枯らしてしまう事が確認されています。
イヌマキ(ヒトツバ)は生垣や防風林として使われる事が多く、キオビエダシャクに葉を食い荒らされ枯れ木となってしまうと、折角の生け垣や防風林が機能しなくなってしまいます。
今後、台風の季節に防風林が機能しなくなると、台風の被害が大きくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。
ナギの木は神社などに多く植えられており、神聖な木として親しまれていますが、キオビエダシャクはそんな事関係なく食い荒らしてしまいます。
ナギの木の中には、国の天然記念物に指定されるようなものもあるため、そういった重要な木を枯らさない為にも早急な対処が必要です。

キオビエダシャクへの対策

キオビエダシャクへの対策は大きく分けて二つあります。

①成虫、幼虫、蛹を物理的に駆除

効率は悪いですが、一匹ずつ駆除していく事で数を減らし、卵を産む数を減らすことが出来ます。
成虫はそこら中飛んでいるので、虫の網などで捕まえて駆除していきます。
花の蜜を吸う習性があるので、花に寄って来たところを狙うと捕まえやすいです。

幼虫は食用となるイヌマキ(ヒトツバ)やナギの木を揺らすと、上から落ちてきます。

落ちて来たところを一匹ずつ駆除していきます。

蛹は食用となるイヌマキ(ヒトツバ)やナギの木の根元の土の中にいます。

土を掘り返し、出てきた蛹を一匹ずつ駆除していきます。

ここでは物理的な駆除方法を紹介しましたが、正直なところ非常に効率が悪いですし、虫嫌いな方は触るのもためらわれると思います。
そういう方は次の方法で駆除を行ってください。

②農薬による駆除

キオビエダシャクには、一部の農薬が効果あることが確認されています。
ただし、農薬の効果があるのは幼虫のみで、成虫と蛹、卵には効果がありません。
ですので、木にキオビエダシャクの幼虫を見つけた際、農薬を散布すると効果的です。
数ある農薬の中で、鹿児島県が推奨する農薬と効果のあったものを紹介します。

一つ目がトレボン乳剤です。
希釈倍率4000倍で使用してください。
広い範囲の害虫に有効で、速効性と残効性に優れています。
速効性と残効性に優れているので、安全性が高く、公園や住宅街などでも安心して使えます。

二つ目がアディオン乳剤です。
希釈倍率4000~8000倍で使用してください。
優れた残効性と特異な忌避作用を示します。
即効性が高く広い範囲で有効です。

他にも鹿児島県ではスプラサイド乳剤40ロックオンも推奨しています。

農薬を散布する際は、噴霧器を使います。
霧吹きなどでも散布は可能ですが、広い範囲の散布は大変なため、噴霧器の使用をオススメします。

長期的な防除を考えないのであれば、家庭で簡単に手に入る薬としてアースジェットも効果があるようです。
農薬がなかなか手に入らない場合は、こちらも試してみてください。

地域によっては農薬の配布や散布用の道具を貸し出ししている地域もあるようです。
詳しくは各市町村の自治体へ確認してみてください。

自分で農薬散布等が難しい場合には、近くの造園業者にお願いする方法があります。

注意点

繰り返しになりますが、農薬が効果あるのは幼虫のみになります。
成虫や蛹、卵には効果がありません。
また、農薬は同じものを使い続けると、害虫に耐性が出来て効果がなくなってきます。
薬をかけなおす場合は、必ず同じ薬を続けて使わないように気を付けてください。

キオビエダシャクは地域に広く発生するため、個人で対策しても効果が薄いです。
農薬を使う場合は、地域全体で同時に対処すると効果的です。

最近の農薬は人体への影響は少なくなっていますが、マスクやゴム手袋、雨がっぱなどを身に着けて、農薬が体にかからないように気を付けてください。
農薬を使う場合には近所に声をかけたり、農薬が飛散しないように細心の注意を払ってください。

住宅での農薬散布については、農林水産省が注意点をまとめたリーフレットを出しています。詳しくはこちらを参照ください。

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